アクセル、Modalの評価額を3倍の150億ドルへ 出資交渉、自社の5月出資も値上がり

Modal Labsは約150億ドルの評価額での資金調達を協議している。46億5000万ドルのシリーズCから4カ月での話だ。主導するのは5月に出資したアクセルと報じられている。Modalが最後に開示した年換算収益でみると、新たな評価額はその約50倍となる。5月は約15倍だった。

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Vincent JiangVincent Jiang · 2 min read
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データセンター内のサーバーラックの列。網目状の扉の奥にブレードサーバーとステータスランプが見える
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データセンター内のサーバーラック。Modalは半導体を自社で所有せず、13のクラウド事業者にまたがって借りている。

評価額は4カ月で3倍

Modal Labsは2021年設立のサーバーレスコンピューティング基盤で、エヌビディアのGPUや汎用チップで推論を実行する。事情に詳しい関係者によると、同社は約150億ドルの評価額での資金調達を協議している12。4カ月前のラウンドでの評価額の約3倍だ。主導するのはアクセルだと報じられている3。アクセルは5月、3億5500万ドルを調達したModalのシリーズCに出資していた4。Modalはコメントを控えた1。

倍率こそが本題

5月の投資後評価額は46億5000万ドル4。会社自身が開示したランレートである年換算収益は3億ドル超で4、倍率は約15倍だった。同じ収益のまま150億ドルをつければ50倍になる。この倍率が成り立つのは、ランレートが5月からおおむね3倍の約10億ドルに達している場合だけだ。9月から5月の間に、ランレートは約6000万ドルから3億ドルへと増えていた4。新たな評価額は、このペースが止まらないことを前提に置いている。

12カ月で11億ドルから150億ドルの可能性へ

  • 投資後評価額
  • Estimate
$0B$5B$10B$15B2025年9月2026年5月2026年9月(協議中)$4.65Bアクセルが主導で協議中
Data
投資後評価額
2025年9月$1.1B
2026年5月$4.65B
2026年9月(協議中) (estimate)$15B
各資金調達時点の投資後評価額。2026年9月の数値は協議中の評価額であり、成立した調達ではない。2025年9月の数値は、Modalの資金調達史に関するremioの記述という単一ソースに基づく。出所:ブルームバーグ[1]、ロイター[2]、remio[4]1,2,4

評価額はどの時点でも開示収益を上回る

  • 投資後評価額
  • 年換算収益
  • Estimate
$0B$5B$10B$15B2025年9月2026年5月2026年9月(協議中)収益の約15倍直近開示収益の約50倍
Data
投資後評価額年換算収益
2025年9月$1.1B$0.06B
2026年5月$4.65B$0.3B
2026年9月(協議中) (estimate)$15B$1B
評価額は各資金調達時点の投資後評価額。収益はModalが自ら開示した年換算ランレート(2025年9月は6000万ドル、2026年5月は3億ドル超)。2026年9月の組は報告された収益ではない。評価額は協議中の数値であり、約10億ドルの収益は、倍率が50倍で成り立つと仮定した場合に暗黙に必要となるランレートだ(本稿の計算による)。出所:ブルームバーグ[1]、ロイター[2]、remio[4]1,2,4

150億ドルの評価額には10億ドル近いランレートが必要

  • 年換算収益
  • Estimate
$0M$500M$1,000M2025年9月2026年5月2026年9月(試算)会社開示のランレート50倍成立に必要な額(未開示)
Data
年換算収益
2025年9月$60M
2026年5月$300M
2026年9月(試算) (estimate)$1,000M
Modalが開示した年換算ランレートは、2025年9月の約6000万ドルから2026年5月には3億ドル超へと増えた。2026年9月の棒グラフは開示値ではない。150億ドルの評価額が収益の約50倍で成り立つと仮定した場合に必要となるランレートであり、約10億ドルとなる。出所:remio[4]4

アクセルがアクセルを値洗い

150億ドルのラウンドを主導すれば、アクセル自身が5月に得た持分は3倍に値上がり、それ以前の出資者全員の持分も一緒に膨らむ34。この再値付けの代金を払うのは新規資金で、直近開示の収益の約50倍という価格で買うことになる。旧資金は、アクセルも含め、追加の払い込みなしに3倍の含み益に乗れる。表向きの評価額は、実際に支払われた価格を過大に示すこともある。Basetenの6月の資金調達は、投資家ごとに異なる価格を巡る交渉を経て、ようやく130億ドルで成立した4。同社が現在進める協議は260億ドルで、1四半期で評価額を倍増させる計算になる1。

サンドボックスが賭けを背負う

Modalの収益の3分の1超を稼ぐのがサンドボックスだ。エージェントが信頼できないコードを実行し、テストするための隔離環境で、累計起動数は10億件を超える4。Modalのエンジニアは7月、100万個のサンドボックスを同時に動かすスケーリング手法の解説執筆に費やした5。賭けはこうだ。エージェントのワークロードは、ハイパースケールクラウド上に自前で構築するのではなく、他人のGPUインフラを借り続ける。その自前構築こそ、特化型事業者の真の競合相手である4。Modalは半導体を持たずに借りており、計算資源が逼迫するなかで13のクラウドプロバイダーに分散してきた4。オーケストレーション層は、ハイパースケーラー経由という別の道があるなかで、収益の50倍という評価でも持続的な利益率を維持できるのか。この評価額は、その問いを最初からなかったことにしている。

夕暮れ時のデータセンターキャンパス。低く横に長い建物の両脇に冷却装置が並ぶ
夕暮れ時のデータセンターキャンパス。建物の側面に沿って冷却装置が並ぶ。Modalは13のクラウドプロバイダーに分散しており、半導体は持たず借りている。 · Qdrddr / Wikimedia Commons

正当化するのは10億ドル前後の収益開示だけ

今回の評価額が妥当な再値付けなのか、背伸びなのか。それを決めるのは2つの数字だ。1つは、今回のラウンドが良好な条件で150億ドル前後で成立するかどうか。いま1つは、Modalの次の開示で年換算収益が10億ドル前後まで届くかどうか。推論用の計算資源への支出は、一部の推計では訓練向け支出を追い抜く見通しだ1。収益数字が公表されるまで、50倍は信念であって、帳簿に載る数字ではない。

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