アンソロピックが封じ込め求めるGLM-5.3、シンキングマシンズラボが本番運用
クルーソー(Crusoe)との年間6500万ドルの契約では、シンキングマシンズラボ(Thinking Machines Lab)の本番ワークロードにZ.aiの「GLM 5.2」と「GLM 5.3」が含まれる。米NISTのAI標準・イノベーションセンター(CAISI)がGLM-5.3を「これまでに公開された中で最もサイバー攻撃能力の高いオープンウェイト(open weight)モデル」と評してから、6日後のことだ。Z.AIの2788億9000万香港ドルにのぼる時価総額は、普及が封じ込めに勝るという賭けにほかならない。
Vincent Jiang · 3 min read
米ラボのクラウド利用料にZ.aiのモデルが並ぶ
クルーソーは9月23日、シンキングマシンズラボ向けに年間6500万ドルで本番推論を担う契約を発表した。シンキングマシンズラボは、OpenAIの最高技術責任者(CTO)を務めたミラ・ムラティ氏が創業した新興企業で3、推論はエヌビディア(NVIDIA)の「HGX B200」で構成した専用クラスター上で実行する2。クラウド関連の報道が見逃したのはワークロードの一覧だ。同ラボ独自の9750億パラメータの「Inkling」に並び、北京のZ.ai製オープンウェイトモデル「GLM 5.2」「GLM 5.3」が記載されている12。
確認できる報道の範囲では、この契約は、Z.aiのGLMモデルを本番環境で提供する西側チャネルとしては、名前の判明した最初の事例となる。契約により、クルーソーのマネージド推論事業は契約ベースの年間収益1億ドルの大台を、事業開始から1年以内に超えた12。
実測値が裏付ける封じ込め論
アンソロピックのフロンティア・レッドチームは9月29日、GLM-5.3が410回の試行のうち50回でエンドツーエンドで機能するエクスプロイトを構築したと報告した。この成功は、同社が審査を経たサイバー防御者にのみ「プロジェクト・グラスウイング(Project Glasswing)」を通じて提供する「Claude Mythos Preview」の記録を6回下回るだけだった45。
安全策の側は、安上がりな問題だ。単純な手法でGLM-5.3の安全策を回避できた割合は64~100%にのぼり、同じ手法は安全策を施したClaudeモデルには通用しなかった5。公開ウェイトから拒否挙動を取り除くコストは、計算資源でおよそ4400ドル、経験を積んだチームならおよそ1200ドルで済み、拒否率は90%超から最低2%まで低下した45。
クルーソーの発表の6日前にあたる9月17日、CAISIはGLM-5.3を「これまでに公開された中で最もサイバー攻撃能力の高いオープンウェイトモデル」と評し、米国の最先端モデルより約4か月遅れだと指摘した4。アンソロピックも、自社の結果はこの評価とおおむね一致すると述べた4。
Z.aiの反論:4249件の脆弱性を発見
Z.aiは数時間で応戦した 5。グローバルオペレーション責任者のリ・ズーシュエン(Li Zixuan)氏は、GLM-5.3が389のオープンソースプロジェクトの防御を支え、4249件の潜在的な脆弱性を発見したと述べた。さらに7月には、Claudeが作業の一部を拒否したため、Hugging Faceが旧モデルの「GLM 5.2」を使ってOpenAIのモデルによる自律的な侵入を封じ込めたとも明らかにした56。
公開は段階的に進められた。Z.aiは8月14日の提供開始から2週間、ウェイト(重み)の公開を保留し、8月28日に売上高100億ドル超の事業者のみを制限対象とするライセンスの下で公開した。9月28日にはコンコルディアAI(Concordia AI)と共同で、6段階のオープンウェイトリスクフレームワークを公表 78。第三者の検証を受けていないZ.ai自身のテストでは、GLM-5.3は欠陥の発見で「Mythos 5」を上回り(ベンチマーク「CyberGym」で84.5対83.8)、見つけた欠陥を攻撃に転用する武器化では下回った6。
市場はもう一方のシナリオに売上高約330倍の値をつける
香港市場に「2513」の銘柄コードで上場するZ.AIは、売上高が7億2433万元に対し時価総値は2788億9000万香港ドル。9月の増資前後に提示された為替レートで換算すると、売上高の約330倍に近い910。封じ込めが実現すれば、この倍率は何ひとつ生き残れない。
9月の調達額は50億ドルだった。内訳は、714香港ドルで実施した20億ドルの新株発行(プレイスメント)と、2027年満期のゼロクーポン転換社債30億ドル。7月に約40億ドルを調達して以来、2か月で2回目の資金調達となる101112。この発表を受けて株価は10%超下落した11。
Z.AI、7~9月に香港で計90億ドル調達
Data
| Value | |
|---|---|
| 追加増資(7月) | $4B |
| H株新株発行(9月) | $2B |
| 転換社債(9月) | $3B |
計算資源をめぐるこの取引のもう一方の当事者、シンキングマシンズラボは、評価額を最低400億ドルとする10億ドル規模の資金調達を協議していると報じられている。年換算の売上高は1億ドルを超える13。
止める手段はまだあるか
アンソロピックは実現すれば2兆ドル規模となる上場を模索しており、目論見書は全261ページのうち約80ページをリスク開示に充てている。その一方で、審査を経た利用者によるClaudeのサイバー能力へのアクセスを広げ、能力の高いモデルの安全性テストを政府に求めてもいる47。米中両政府が正式なAI対話の枠組みの設立で合意してから数日後の9月29日、トランプ大統領はAIの安全性をめぐって中国と協力したくないと述べた5。
残された手段はいずれも民間の手にある。Z.ai自身のライセンス制限、同社の段階的公開フレームワーク、そしてCAISIの次回評価だ。注目は、クルーソーのクラスタが合成データの一括生成へと拡大するかどうか、そして次のGLMのウェイトが公開初日に提供されるのか、それとも再び2週間の保留を挟むのかだ128。これまでに公開されたオープンモデルの中で最もサイバー攻撃能力が高いモデルが、今や米国の本番クラスタ上の課金対象明細となっている。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.



