グーグルはLovableの家主、販売店、そして頭脳の後ろ盾
グーグルクラウドとの協業拡大で、スウェーデンのアプリ構築スタートアップLovableの利用規模は5倍に膨らみ、同社のエージェントはグーグルの法人向け店頭に並ぶ。アルファベットは一社の新興企業から3カ所で使用料を徴収する。ポーランドのメディアが10月1日に報じた66億ドルという評価額は2025年12月の水準の再掲であり、新たな資金調達ラウンドではない。
Vincent Jiang · 3 min read
グーグルはいま、Lovableに計算資源を貸し、Lovableのエージェントを販売し、Lovableのモデルを開発する研究所にも資金を提供している。6月3日、両社は「Cloud Summit Nordics」でグーグルクラウドとの協業拡大を発表した。関係者によると、AIを含むプラットフォーム全体の利用は5倍に膨らむという12。「Lovable Agent」はすでに「Gemini Enterprise Agent Gallery」で販売されており、その調達と課金はグーグルの法人向けの仕組みが受け持つ1。フランスの一部報道は契約期間を5年としている3。
3つの蛇口、一人の借家人
グーグルは計算資源のメーター、モデルのメーター、そしてマーケットプレースのレジという3カ所で集金する。今回の合意でLovableは、ジェミニに加えてAnthropicのクロードの利用も広げる。グーグルは3500億ドルの評価額でAnthropic株を100億ドル分保有し、業績目標を達成すれば300億ドルをさらに上積みする2。グーグルが320億ドルで買収したセキュリティー部門のWizは、Lovableが生成したコードの脆弱性をリアルタイムで見つけて直す。かつて自社アプリがデータベースを公開したままに置いたことのあるプラットフォームには、重宝する機能だ7。
蛇口の先には2000億ドルの請求書
蛇口が重要なのは、その先に請求書があるからだ。アルファベットは7月、2026年の設備投資ガイダンスを1950億〜2050億ドルに引き上げ、2026年4〜6月期だけで449億ドルを消化した4。支出の約6割を占めるサーバーは6年掛けて償却されるため、2027年の利益が今年導入する機械の代金を払い始める4。記録に残る相殺材料は、クラウド収益が82%増の248億ドル、受注残が5140億ドルという数字だ4。
アルファベットの四半期設備投資、2年で3倍超に
Data
| 設備投資 | |
|---|---|
| 24年7〜9月 | $13.06B |
| 24年10〜12月 | $14.28B |
| 25年1〜3月 | $17.2B |
| 25年4〜6月 | $22.45B |
| 25年7〜9月 | $23.95B |
| 25年10〜12月 | $27.85B |
| 26年1〜3月 | $35.67B |
| 26年4〜6月 | $44.92B |
存在しない66億ドルラウンド
10月1日、ポーランドのメディアが、アルファベットとエンヴィディアがLovableを66億ドルの評価額で支援すると報じた6。アルファベットによる出資の話は、実在する資金調達ラウンドの焼き直しだ。2025年12月、Lovableはアルファベットの成長投資ファンド、CapitalGが主導し、米Menlo Venturesも参加するラウンドで3億3000万ドルを調達した78。一方、エンヴィディア側には裏付けとなる記録がない。記録に残る同社の役割は顧客であり、Lovableのプラットフォーム上で開発する企業の1つだ89。
仮に66億ドルという新たな評価額が正しければ、8月12日に評価額133億ドルで4億ドルを調達した会社の価値が半減する計算になる。このラウンドにはテンセントとBaldertonが参加していた8。英語メディアを調べても、新たなラウンドを報じた記事はほかに見当たらない。Lovable自身も存在を認めておらず、条件面の記録もない6。この数字は12月の評価額の焼き直しとみるべきだ。
実際にあったこと
実際にあったのは、成長だ。ただし、そのペースは鈍っている。共同創業者のファビアン・ヘディン氏はアムステルダムで開かれた「HumanX」サミットで、年換算売上高が6億ドルを突破したと明らかにした。6月の約5億ドルから増えた9。2月には従業員146人で月に1億ドルずつ伸びていたが、6月以降の上乗せは四半期で1億ドルにとどまる29。フォーチュン500企業の約3分の2で働く人が利用しているという。ただし同社は、この数字は法人顧客ではなく個人を数えたものだと説明している9。
Lovableは「深さ」も買っている。9月18日にはバックエンド全体を定義できる独自言語「SLang」を擁するSutroを買収した。創業者のトマシュ・ハルガス氏とエンジニア3人が移籍し、ハルガス氏が技術伝道を率いる10。従業員数は300人近くで、約450人を目指す増員計画を進めている138。
Lovableの従業員数、2月から2倍に 目標は約450人
- 従業員数
- Estimate
Data
| 従業員数 | |
|---|---|
| 26年2月 | 146 |
| 26年9月 | 300 |
| 計画 (estimate) | 450 |
足元の土台、値下がりが進む
土台となるレイヤーはコモディティー化が進む。メタのコストを武器に8月に投入した「Muse Code」エージェントに続き、オープンAIの「Dots」も9月29日に登場した1112。ヘディン氏が盾にするのは製品そのものだ。Lovableが売るのはコーディング作業ではなく、ホスティング済みの完成品アプリケーションだ9。
焦点はアプリ層の消費が減価償却の溝を埋められるか
アルファベットにとってLovableは、巨大なビルの一テナントにすぎない。見極めのポイントは、アプリ層での消費が2027年から掘り始まる減価償却の溝を埋められるかどうかだ4。一方、Lovableにとってエージェントを並べる「棚」は諸刃の剣だ。自社のエージェントを棚に並べてくれる大家が、家賃もモデル利用料もマーケットプレイスの手数料も取り立てていく。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.



