米マックスリニア、ケーブル向けチップで値下げ攻勢 CEOは数週間前に5000万ドルの自社株売却
9月28日発表の新チップ「プーマ9(Puma 9)」は、ケーブルモデム機器のコストを3~5割引き下げる。ケーブル事業者への贈り物であると同時に、シェア6割を握るブロードコムに突きつけた刃でもある。だが、1年で459%上昇した株価90ドルを支えているのは、そのどちらでもない。8四半期で売上高を倍増させたAI向け光半導体だ。
Vincent Jiang · 3 min read
ケーブルチップの唯一の売りは「安さ」
マックスリニア(MaxLinear)は9月28日、新チップ「プーマ9(Puma 9)」を発表した。8ナノメートルのモデムチップで、ドクシス3.1、3.1+、4.0の各方式を単一のシリコン上で動かせる1。目玉は価格だ。このチップを搭載した機器は、競合するドクシス4.0対応機器より3~5割安く、従来のドクシス3.1機器を上回らないコストに収まる見通しだ1。搭載端末の登場は2027年。チップはインテルのx86コアを排し、アーム(ARM)コアに切り替えた。同社は「複数の確約」を得たと主張する2。
時価総額84億ドルの足場は「もう半分」の事業
この84億ドルの評価4が依拠しているのは、ケーブルモデムではなく、AIデータセンターを結ぶ光インターコネクトだ。発表に対する市場の反応は冷ややかだった。株価は4.1%安の90.00ドルで取引を終え、過去52週間の高値128.30ドルを約3割下回った3。投資分析サイトのGuruFocusは、この株価に対して1株あたり20.86ドルの内在価値を示し、331%の過大評価と判定した3。株価が初めて噴き上がったのは4月で、光半導体を材料に1日で84%上昇した9。
4~6月期(第2四半期)の売上高は1億6880万ドルと、前年同期比55%増えた。押し上げた主役はインフラ部門で、前年同期比145%増の約8500万ドル。ブロードバンド部門は約4500万ドルだった5。経営陣は2026年の光半導体売上高見通しを2億1000万~2億3000万ドルに引き上げ、当四半期(7~9月期)は2億1000万~2億2000万ドルの見通しを示した5。アナリストは今年のブロードバンド部門を7%減の1億9000万ドルとみる一方、インフラ部門は3億9800万ドルに向かうとみている4。
プーマ9が投入されるのは、縮み続ける側の事業だ。
売上高は8四半期で2倍、けん引役はAI向け光半導体
- 売上高
- Estimate
Data
| 売上高 | |
|---|---|
| 24年7~9月期 | $81.1M |
| 24年10~12月期 | $92.17M |
| 25年1~3月期 | $95.93M |
| 25年4~6月期 | $108.81M |
| 25年7~9月期 | $126.46M |
| 25年10~12月期 | $136.44M |
| 26年1~3月期 | $137.19M |
| 26年4~6月期 | $168.85M |
| 26年7~9月期(見込み) (estimate) | $215M ($210–220M) |
株を売ったのは社内の人間
CEO(最高経営責任者)のキショール・シーンドリプ氏は8月に2回の取引で計59万1454株を売却し、約5040万ドルを手にした。売却価格は1株85ドル前後だった6。役員らは直近12か月で計6060万ドルを売却し、買いはゼロだった3。直近の売却ラッシュの累計は5700万ドルに上るとの集計もある7。打ち出したのは値下げだ。株を売ったのは、そのチップを作る側の人たちだった。
ブロードコムはドクシスのチップセット市場で既に約60%のシェアを握り、マックスリニアは約40%にとどまる。出荷されるケーブルモデムのうち、ドクシス4.0対応は約8%にすぎない2。マックスリニアは2023年、2024年、2025年にそれぞれ7300万ドル、2億4500万ドル、1億3700万ドルの最終赤字を計上した6。
3年連続の最終赤字、最大は2024年の2億4500万ドル
Data
| 純利益 | |
|---|---|
| 2023年 | -$73M |
| 2024年 | -$245M |
| 2025年 | -$137M |
強気筋の材料と、決着が付く日
強気筋にも裏付けはある。少なくとも7四半期続いた赤字を経て、GAAP(米国会計基準)で1株当たり2セントの黒字に転換した58。光半導体の売上高見通しは4月以降、2回にわたって引き上げられている59。米調査会社デルオロ(Dell'Oro)のジェフ・ヘイネン氏は、プーマ9について「ケーブル事業者の導入リスクと設備投資を大幅に低減する」と評価する1。ただし同氏は、プーマ9がドクシス4.0へのネットワーク更新そのものを加速させることはないとみている2。
提携先として名前が挙がったのは、モデム端末を製造する機器メーカーのAskey、Gemtek、FRITZ!の3社。米ケーブル事業者のメディアコムは、まだ「検討中」だ1。決算は10月27日に発表される6。その席で示されるべきは、形容詞ではなく顧客名を挙げたプーマ9の確約だ。値下げがシェアを取るのか、それとも単に市場を安くするだけなのか——決着はそこでつく。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.


