ニデック、車載・家電モーター事業を売却へ 買い手に会社ごと売られる前に

就任から2日のミチオ・カイダ最高経営責任者(CEO)は、6320億円の減損の大半を生んだ家電と車載の事業を売却に打って出て、残る会社の命運をAI時代の電源関連機器に賭ける。東京証券取引所は今月中の内部統制報告書の提出を求めており、上場廃止も選択肢に浮かんでいる。

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Vincent JiangVincent Jiang · 3 min read
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2010年、来訪者を迎えるニデック創業者の永守重信氏
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永守重信氏は1973年にニデックを創業し、半世紀にわたって経営を率いてきた。2月以降は役職に就いていないが、82歳になった今も同社株式の8.3%を保有する。今、そのニデックの行方が俎上に載っている。

不祥事で壊れた事業、新社長が売りに出す

小部博志氏の後任として最高経営責任者(CEO)に就任して2日、ミチオ・カイダ氏は京都で会見に立ち、ニデックの低収益な家電用・車載用モーター事業を売却対象に挙げた。代わってデータセンター向け機器、発電、蓄電への集中を打ち出した12。「今、最も喫緊の優先課題は企業としての原点に立ち返ることだ」と70歳のカイダ氏は述べた1。33ページの計画は、2027年3月期に売上高2兆8000億円、営業利益2000億円を見込む1。

売却は1件がすでに調印済みだ。ニデックコンポーネンツはカーライルの関連会社に1029億8000万円で売却され、完了は12月1日の予定34。売却先を探る車載事業には、フランスでステランティスと出資比率50%ずつで組み、700人を雇用する合弁会社「eMotors」のニデック側持分(50%)が含まれる。売却がこの合弁に及ぶかどうかステランティスに尋ねたが、回答は得られなかった1。

署名なき5650億円の赤字

2026年3月期は最終損益が5646億円の赤字となった。6321億円の減損損失を計上したためで、前期は修正後で846億円の黒字だった56。PwC Japanは2年連続で監査意見の表明を見送った。不適切な会計処理に関与した、把握していた、あるいは虚偽の説明をした幹部が、今も財務報告に関わる職に就いているためだ5。株価は10月1日、一時20%下落し、終値は11%安。2021年に約8兆円だった時価総額は2兆5000億円に縮んだ71。

減損の9割はカイダ新社長が売りに出す事業に集中

¥0bn¥200bn¥400bn¥600bn¥800bn全セグメント(合計)¥632.1bn家電・商業・産業¥335.1bn車載¥231bnいずれもカイダ社長が売却対象に挙げた事業
Data
Value
全セグメント(合計)¥632.1bn
家電・商業・産業¥335.1bn
車載¥231bn
2026年3月期に計上した減損損失(単位:億円)。開示された合計と、ニデックが内訳を示した2つのセグメント。出所:JAPAN Forward 2026年9月30日付、MarketWatch(ダウ・ジョーンズ・ニューズワイアーズ)2026年9月30日付5,7

期限を握るのは東証

東証は2025年10月、ニデックを特設注意市場銘柄に指定し、内部統制報告書の提出を今月末までに求めている。うわべだけの是正では上場廃止もあり得る58。関西学院大学のタカトシ・ハヤシ氏は「上場廃止のリスクは現実的な水準にある」と指摘する5。

カイダ社長はPwC Japanに今月中の監査意見の表明を求め、同監査法人は10月末までの表明に向けて対応を進めていると説明する8。その見直しを進める取締役会は、企業風土の立て直しのために招いた社長を直前に全会一致で解任した。解任理由について会長のソウイチロウ・サクマ氏は、財務報告に関わる「不適切な発言」だったと説明した19。もう一つの時計も並行して進む。The Inferenceが10月2日に報じたように、ニデックは約6000億円の銀行借入枠を、監査法人の署名のない帳簿をもとに更新しなければならない。銀行側の回答期限は10月28日だ。

モーターは今も売れる

減損を抜けば、機械は回り続ける。大和のクレジットアナリスト、ヒロキ・ウチダ氏は、減損を除けば営業黒字となる公算が大きいとみる。社債の償還を巡る流動性への懸念も限定的だとする7。当のPwC Japanの代表者も、監査意見の不表明は複雑な調査で必要な情報が得られなかったことを反映したもので、不正を示すものではないと説明する18。

回転子にニデックの旧称「日本電産」と印字された小型モーター
旧称「日本電産」の刻印が入ったモーター。ニデックはこの名のもとで育った。いま売りに出た家電と車載の両事業は、減損損失を除けば営業黒字の見通しだ。 · Emilian Robert Vicol (Flickr)

満期日のついたコールオプション

株価の急落で、ニデックは抵抗力を大きく失った買収対象と化した。アクティビストが付け狙い、減損や費用の計上は1兆1000億円超に上る110。創業者の永守重信氏(82)は2月から役職に就いていないが、いまも株式の8.3%を保有する1。上場が今月を生き延び、事業売却がまとまれば、買い手が手にするのはより小さく、よりクリーンな買収対象だ。内部統制報告書が失望を招けば、会社の解体は東証の条件で、さもなければ誰のものでもなく進む。ニデック株は買収提案を原資産とするコールオプションだ。その満期日を握るのは東証である。

Deepdive

AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.

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