ペイパルの削減名簿、15億ドルのAI賭けが削るのは技術者

8月31日付のWARN法(大規模雇用縮小の事前通告を義務付ける法律)に基づく届け出は、サンノゼの251人が10月30日付で会社を去り、うち100人超がエンジニア職であることを明らかにした。エンリケ・ロレスCEOがAIに15億ドルを注ぎ込む経費削減計画で、誰が代償を払うのかを文書で示したのはこれが初めてだ。3週間後、ペイパルはメタの買い物エージェント「ミューズ(Muse)」の決済レールに加わった。ただしそのレール、今のところ値段はゼロである。

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Vincent JiangVincent Jiang · 3 min read
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暗い背景の前で撮影された2025年のマーク・ザッカーバーグ
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2025年のマーク・ザッカーバーグ。同氏の買い物エージェント「ミューズ」は9月22日、ペイパルを自身の決済レールに載せた。メタはその対価をまだ設定していない。

最終日は金曜日

ペイパルが8月31日にカリフォルニア州へ提出した届け出は、サンノゼ本社の251人に共通の最終日を一つ示している。10月30日の金曜日だ 14。名簿には、プラットフォームを作り上げた人々がずらりと並ぶ。シニアソフトウェアエンジニア50人超、ディレクター50人近く、シニアマネージャー40人超――エンジニア職だけで計100人超にのぼる 4。同社の広報担当者は、サンノゼの削減がより広範な組織再編の一環であることを認めた 4。

名簿の先にある計画

ロレス氏は3月にトップの座に就き、4月に ペイパル を3つの事業単位に分けた 6。5月には投資家に対し、2~3年かけて従業員の約2割、2万3800人のうちおよそ4760人を削減すると伝えた 14。目標は、グロスベースで年換算少なくとも15億ドルのコスト削減だ。ロレス氏は浮いた資金を「AIの採用と自動化」に充てるとしている 4。「われわれは再びテクノロジー企業になる。開発プロセスにはAIを積極的に導入している」と同氏は語った 1。

ダークスーツに青系の柄ネクタイを着けたエンリケ・ロレス
3月にペイパルの経営を引き継ぎ、4月に同社を3つの事業単位に分けたエンリケ・ロレス氏。 · Scriptur, cropped by Pixlr

インドでは約220人、アイルランドでは164人がすでに職を失った。イスラエルでもさらに数十人規模の削減が出ている 1。

サンノゼの251人は単独では最大の削減枠

0100200300サンノゼ(WARN)251インド220アイルランド164
Data
Value
サンノゼ(WARN)251
インド220
アイルランド164
地域別の発表済み削減人数。インドは概数。「数十人規模」としか説明されていないイスラエル分はグラフ化していない。出典:Startup Fortune 2026年9月30日、SFGate(Yahoo Finance経由)2026年9月3日1,4

借り受けたレール、価格はゼロ

届け出から3週間後、ペイパルは自社が所有しない決済レールを借りた。メタは9月8日、買い物エージェント「ミューズ」を投入し、ストライプ(Stripe)のウォレット「リンク(Link)」を組み込んだ 35。リンクを導入する100万社超の店舗では、ミューズは利用者が保存済みの支払い方法から代金を支払う。それ以外の店では、リンクが承認済みの購入に限定した使い捨てのバーチャルカードを発行する 35。

ショップペイ(Shop Pay)は9月21日、ペイパルはその翌日にミューズへ参画した。ともに「世界中のペイパル加盟店にまたがる決済」を約束したもので 57、基盤の決済レールはマスターカードの「エージェントペイ(Agent Pay)」が担う 7。このニュースを受け、ペイパル株は約5%高となった 7。

アマゾンはエージェントを排除、手数料は約束だけ

レールはまだ完成していない。ミューズはいったんカートに商品を投入し、注文の完了は利用者をブラウザーへ引き渡して行う 2。アマゾンはこのエージェントを全面的にブロックし、メタに削除を求めた 3。メタ自身の取り分は、価格ではなく約束にすぎない。ショッピファイ(Shopify)のヘルプページには、メタの直接決済について決済処理以外の手数料の記載はなく、ザッカーバーグ氏は「取引から少額の手数料を取って」利益を得るのはあくまで長い目で見た話だと説明する 3。

計画を上回る買い手はもういない

単独経営の計画が、今や唯一の計画となった。ストライプとアドベント(Advent)による1株60.50ドル、総額約530億ドルの買収提案は、取締役会が不十分とみていたもので、8月28日に撤回された 89。ペイパル株は同日12%急落して54.26ドル。断った買収価格を大きく下回る水準だ 8。

人員削減が答えるべき物語を、第2四半期決算がすでに語っていた。売上収益は87億ドルに達し、通期の1株当たり利益(EPS)の見通しは5.38ドルに引き上げられた 1。決済額は10%増えた 10。一方、営業利益は前年同期比5.1%減と、2四半期連続の減少となった 11。

売上収益は増え、営業利益は減る――15億ドルの削減が埋めるべき差

  • 売上収益
  • 営業利益
$0B$2B$4B$6B$8B$10B23年4Q24年2Q24年4Q25年2Q25年4Q26年2Q$1.43B
Data
売上収益営業利益
23年3Q$7.42B$1.17B
23年4Q$8.03B$1.73B
24年1Q$7.7B$1.17B
24年2Q$7.89B$1.33B
24年3Q$7.85B$1.39B
24年4Q$8.37B$1.44B
25年1Q$7.79B$1.53B
25年2Q$8.29B$1.5B
25年3Q$8.42B$1.52B
25年4Q$8.68B$1.51B
26年1Q$8.35B$1.49B
26年2Q$8.68B$1.43B
数値は四半期ごとの10億ドル単位。ペイパルの米証券取引委員会(SEC)提出書類をシャラダー(Sharadar)がまとめたデータ(2026年10月1日取得)に基づく。営業利益は2026年第1・第2四半期に前年同期比で減少した。11

ロレス氏は、この計画を上回る価値を生む提案なら取締役会は検討すると述べている 10。バーンスタイン(Bernstein)のアナリストは、求められる価格を70ドルを大きく上回る水準とみる 8。買収提案が立ち消える前の報道では、同社は70ドルに近い水準を想定していたという 10。

彼らに代わるもの

251人は10月30日に去る。彼らの代役を務めるのは、15億ドルのコスト削減効果と、ミューズがどれだけの決済額を運んでくるかだ。だが、一連の書類のどこを見ても、エンジニアリングの仕事そのものを何が担うのかは示されていない。251人を失った状態で迎える最初の決算発表が、利益率を問う最初の試金石となる。ペイパルは1株60.50ドルの提案を拒んだ。自社の価値はそれ以上だと証明するため、いま費やしているのはエンジニア戦力だ。

Deepdive

AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.

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