アドビ、解約金訴訟で1億5000万ドル──その金が今度は無料クローンの「売り文句」に

アドビが連邦裁判所の解約金訴訟を1億5000万ドルで和解してから数週間後、一人の開発者がClaudeに作らせた同社アプリの無料クローン7本を公開した。ただし、この損得を物語るのはクローンではなく決算文書だ。受注残高は8%増、利益率は低下、2026年度のARR(年間経常収益)伸び率目標10.2%は、出したばかりの実績11.2%を下回る。

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Vincent JiangVincent Jiang · 3 min read
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アドビ「フォトショップ」の編集画面。ツールバーとパネルが並び、修復された1892年のカラー写真の上にレベル補正のダイアログが開いている。Artcraftの無料クローン「Photocraft」が再現を目指すインターフェースだ。
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Artcraftの無料クローン「Photocraft」がツール1つ1つで再現しようとする、フォトショップの作業画面。ブランドン・トーマス氏はMITとApacheのライセンスの下でアドビ7アプリのクローンを公開した。本家アプリは今も、検証対象の275億ドル規模のサブスクリプション基盤を支え続けている。

ブランドン・トーマス氏は、アドビ+0.46% — アドビ, up 0.46 percent todayの解約金に「ついに我慢の限界を超えた」と振り返る。ある週末を使って氏が送り出したArtcraftは、フォトショップ、イラストレーター、プレミアプロ、ライトルーム、アフターエフェクツ、インデザイン、アクロバットプロ――7つのアプリのインターフェースを複製した無料のオープンソースソフト群だ。アンソロピック$350B — アンソロピック, private, latest valuation $350Bの「Claude Opus 5.5」にRustで書かせ、MITとApacheの2つのライセンスで公開した12。「ソフトウェアは終わった」と氏は宣言した。1か月以内に100%の機能一致をうたった当初の公約は数日しかもたず、達成は「数年ではなく数か月」で測るとする99%一致に変わった1。

怒りの値段は1億5000万ドル

この怒りは連邦裁判所の記録にも残っている。米司法省は2024年6月、年間プランの早期解約手数料を隠していたとしてアドビを提訴した。アドビは2026年3月、1億5000万ドルで和解した。半分は民事制裁金、残る半分は顧客への無償サービスで、違法性は認めないまま23。クローンはこの記録を、そのままローンチの売り文句に変えた。市場の方も独自の「再価格付け」を済ませた。2026年のアドビ株は33.5%下落している4。

AIモデル企業、敵味方双方に武器を供給

クローンを作ったのはClaudeだが、同じClaudeがアドビの内部でも動いている。アドビは4月、アンソロピックが提供を始めたコネクター「Claude for Creative Work」のローンチパートナーだ。このコネクターはフォトショップ、イラストレーター、プレミアプロで50を超えるツールを駆動する3。アンソロピックの新ツール「Motion」が書き出すアニメーションは、そのままアドビ製品で開ける5。グーグルのNano Bananaは今やライトルームの中で画像を生成する6。一方、アドビのもう半分を担う法人向け事業は逆方向へ力を込める。2026年10月8日に発表されたヒースロー空港との提携では、年間8450万人の旅客が利用する空港に「Brand Visibility」を売り込む。旅客は旅行の計画をますますChatGPTやGemini経由で立てるようになっている7。

アドビの守りはすでに数字の中にある

アドビは9月10日、2026年度第3四半期の決算を発表した。売上高は67億6000万ドルの13%増、ARR(年間経常収益)は275億ドルの11.2%増となった8。だが内側では、契約済み受注残高の伸びは8%にとどまった。経営陣はアナリストに、伸びが一桁台に落ちたのは無料プランの利用者獲得を優先したためで、値上げは控えていると説明した4。6月に打ち出したフリーミアム転換は、割り切りをはっきりさせた戦略だった。経営陣自身、「短期的なARRを犠牲にすることになる」と述べていた10。代償はすでに数字に表れている。営業利益率は34.8%と、前年同期の36.3%から低下。売上高が12.9%増える一方で、純利益の伸びは3.1%にとどまった9。

アドビ、売上高は加速も利益は伸び悩み

  • 売上高伸び率
  • 純利益伸び率
0%5%10%15%2025年度Q22025年度Q32025年度Q42026年度Q12026年度Q22026年度Q312.9%フリーミアム転換を発表
Data
売上高伸び率純利益伸び率
2025年度Q210.6%7.5%
2025年度Q310.7%5.2%
2025年度Q410.5%10.3%
2026年度Q112%4.3%
2026年度Q212.7%1.2%
2026年度Q312.9%3.1%
2025年5月終了四半期から2026年8月終了四半期までの、アドビの前年同期比伸び率。米証券取引委員会(SEC)の提出書類に基づく。経営陣が短期的なARRを犠牲にすると説明したフリーミアム転換は、2026年度第2四半期の決算で打ち出された。9

アドビの2026年度のARR伸び率目標は10.2%で、出したばかりの11.2%という実績を下回る4。

アドビの目標、自らの第3四半期実績を下回る

  • Estimate
0%5%10%15%第3四半期末のARR伸び率11.2%2026年度のARR伸び率目標10.2%第3四半期末の受注残高伸び率8%
Data
Value
第3四半期末のARR伸び率11.2%
2026年度のARR伸び率目標 (estimate)10.2%
第3四半期末の受注残高伸び率8%
アドビのサブスクリプション関連指標の前年同期比伸び率。ARRと受注残高は2026年度第3四半期末(2026年8月28日)時点。10.2%は経営陣が掲げる2026年度目標で、2026年9月10日時点で変更されていない。4,8

それでも決算は上振れ

業績見通しは引き下げではなく、引き上げられた。アドビは2026年度の売上高目標を265億7600万~266億2600万ドルに上方修正した。AIファーストARRは6億5000万ドルを突破して150%超の増加、クリエイティブ向けフリーミアムのユーザーは1億人を超えて70%超の増加となった8。しかもそのすべてが、予想PER(株価収益率)10倍未満の株価で評価されている10。一方、クローンの方はまだアルファ版のソフトにすぎない。あるレビュアーはPhotocraftを「不具合だらけだが、本物のフォトショップ」と評したが、その直後にフリートランスフォーム機能が動かなくなるのを目の当たりにした11。時間課金で仕事を請け負うスタジオが、制作パイプラインをそんな代物に移すことはない。

判決は12月に出る

2026年度第4四半期の決算は12月に控える。12月1日にはアニル・チャクラバルティ氏が最高経営責任者(CEO)に就任する8。ただし、この一連の動きとArtcraftそのものを結びつける事実はまだ何も出ていない。勝負を分けるのは、10.2%という計画に対する経常収益の伸び率だ4。下回れば、無料プランと無料のエージェントネイティブなクローンが、経営陣が織り込んだ以上の速さでサブスクリプション基盤の再価格付けを進めていることになる。上回れば、アドビは1億5000万ドルの和解で解約しやすくすることを余儀なくされたサブスクリプションそのものを、利益率を犠牲にして無料でばらまいていることになる。

Deepdive

AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.

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