アーカンソー州教員年金、デジタル・リアルティのAIデータセンターに出資 目標利回り9~11%
年金の理事会資料から、デジタル・リアルティの次期ハイパースケールファンドの条件が浮かび上がった。調達目標は約30億ドル、純内部収益率(IRR)の目標は9~11%。同じ週、同社株が140ドルから178ドルに上昇する間保有し続けた運用者が、まさにそのリスクを理由に売却した経緯を語った。
Vincent Jiang · 2 min read
理事会資料がハイパースケールに値段をつけた
運用資産263億ドルの米アーカンソー州教員退職年金(ATRS)は、北米のハイパースケールデータセンターを取得する償還期限のないオープンエンド型ファンド、デジタル・リアルティの「フラッグシップ・ファンド・アメリカズ」に1億ドルの出資を承認した。その条件を記したのがエーオンが作成した理事会資料だ71。ファンドはコーナーストーン投資家から約30億ドルの出資確約を募る。目標は純IRR9~11%、分配金利回り4~6%、LTV(借入比率)40~50%で、平均取引額は5億5000万ドル以上。出資の少なくとも10%はデジタル・リアルティ自身が引き受ける1。ATRSはこのほか、リターン目標12~14%の米中堅市場向けバリューアッド(価値向上型)ファンド「Long Wharf Real Estate Partners VIII」にも7500万ドルの出資を確約した1。
ハイパースケールのコアプラス型、純利回り目標は9~11% 通常のバリューアッド型より3ポイント低い
- 目標下限
- 目標上限
Data
| 目標下限 | 目標上限 | Change | |
|---|---|---|---|
| DLRフラッグシップ・ファンド・アメリカズ(コアプラス) | 9% | 11% | +22.2% |
| Long Wharf VIII(バリューアッド) | 12% | 14% | +16.7% |
条件の裏にある「手数料マシン」
ハイパースケールデータセンター向けファンドは、世界最大のデータセンター所有・運営会社であるデジタル・リアルティにとって2本目となる 2。第1号は3月、32億5000万ドルを集めて組成を完了した。このときデジタル・リアルティは20%を自己出資し、運用の座も維持した 3。6月には投資会社コロンビア・キャピタル(Columbia Capital)を約4億8500万ドルで買収する取引が加わった。対価の大半は株式で、プライベートキャピタル(私募)プラットフォームの加速が狙いだ 4。その引力は2026年4~6月期の決算説明会で数字となって表れた。1株当たりコアFFO(不動産事業の利益指標)は2.13ドルと14%増。バックログ(受注残)は過去最高の19億ドルで、開発中案件は200億ドル超に達し、63%が事前リース済みとなっている 5。CFO(最高財務責任者)の話では、プライベートキャピタルは「手数料収入を生み出しながら」キャパシティー(収容能力)への資金を供給するという 5。バランスシートを供給するのは年金。手数料を手にするのは上場しているオーナーだ。
「大家」の株を売ったプロ
ジェフ・オリン氏が率いるビジョン・キャピタル(運用資産約7億ドル)は、2024年5月に平均140ドルでDLR株を買い付け、9月に売却した。10月2日の終値は178.55ドルだった 2。氏が挙げた売却理由は、皮肉にもこのファンドの商品そのものだ。想定される電力関連の規制逆風と、AIが孕む国家安全保障上のリスクは、ハイパースケーラー(超大手クラウド企業)に偏ってのしかかる――そんな見立てだ。そのため同氏は、コロケーション(共同利用型)事業者のエクイニクスやDigital Core REITに投資先を切り替えた。「AIの普及が減速しても、より粘り強い成長特性」を持つとみるためだ 2。逆風はすでに票を投じている。データセンターの税収で財政が潤うバージニア州ラウドン郡は、新規申請の受け付けを12カ月間停止することを賛成7対反対1で決めた。全米で数百件あるモラトリアム(申請停止)の一つで、正式決議は10月20日に予定されている 86。デジタル・リアルティ自身も、決算説明会で「高まる世間の監視と規制上の課題」に言及していた 5。
コーナーストーン出資、ファーストクローズ、次の売り手
デジタル・リアルティは新ファンドについてコメントを控えた 1。この取引の行方を決める指標は3つある。(1)30億ドルの目標に対し、コーナーストーン投資家からの出資確約がどこまで集まるか。(2)Long Wharf VIIIが2026年下期に迎えるファーストクローズ 1。(3)年金資金がATRSに続いて流入する中、オリン氏に続いて株を手放す運用者がさらに現れるかどうか――。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.



