エバースピンのCXL接続MRAMデモは営業活動、木箱の上のデモ機がそれを物語る

世界初とされるCXL(Compute Express Link)接続MRAM(磁気抵抗メモリー)の実証は、PCIe Gen3でやり取りする4GBのメモリーの上に成り立つ。23年間で調達した資金は8030万ドルで、この会社に売り込みが示唆する量産製造を賄う資金力はない。誰がカネを払い、誰が得をするのか。独インフィニオンが11億2000万ドルでメモリー事業を手放した事実が、その勝算を物語る。

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Vincent JiangVincent Jiang · 3 min read
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2001年にモトローラが製造した1Mb MRAMチップの200mmウェハーで、木製の記念プレートに取り付けられているもの
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2001年6月にモトローラが製造した初の200mm・1Mb MRAMウェハー。米DARPA(国防高等研究計画局)のシンポジウムで展示された。四半世紀後のいまもMRAMは大規模化を追いかけており、それこそがエバースピンのCXL売り込みの核心だ。

エバースピンは9月29日、「世界初のCXL接続MRAMプラットフォーム」と発表した。中身は、FPGAカードに搭載した1GBのMRAMメモリーモジュール4枚をCXLリンクでスーパーマイクロのサーバーにつなぐもので、書き込みはNAND型フラッシュストレージ比で最大100倍速いとしている。1 2 業界メディアの報道の大半はリリースをほぼ原文のまま転載した。ある記事は、学習のチェックポイントでGPUクラスターを遊休させる「メモリーウォール」への解決策だと評した。3 だが、この装置の実態と、それが現実に持ちうる価値を検討すると、別の話が見えてくる。

装置の実態は宣伝より小さい

問い合わせたメディアは1社だけで、回答を得られた。デモに使われたのは、エバースピンのPERSYST DDR4 MRAMの4GB分(1GBのUDIMM4枚。Blocks & Filesは1モジュールあたり1ギガビットの製品ファミリーと特定)で、米AMDのFPGAカード「Alveo U250」に搭載した。1

CXLリンク自体は8レーンのPCIe Gen3で動作していた。エバースピンが公式回答として認めた。だが、リリースが売り込むのは、AIサーバー向けのチェックポイント処理や永続的なKVキャッシュだ。1 こうした用途にはGen5かGen6のリンクが必要になる。Blocks & Filesが問い合わせる前に指摘していたとおりだ。1 デモは営業活動であって、製品ではない。

過去最高の四半期も事業モデルにはならない

より大きく開いているのは事業面の溝だ。エバースピンは2003年以降に計8030万ドルを調達し、2017年に新規株式公開したが、売上高は一進一退を繰り返してきた。1 MRAMの歩留まりは推計で70~85%にとどまり、成熟したNANDの90%超には及ばない。1GBモジュールを、データセンターが購入する数テラバイト級の密度まで拡大するのは、カネで解決するしかない製造上の問題だ。3

8四半期のうち7期で増収、過去最高の1870万ドルに

$0M$5M$10M$15M$20M24年7~9月期24年10~12月期25年1~3月期25年4~6月期25年7~9月期25年10~12月期26年1~3月期26年4~6月期4000万ドルの防衛関連契約を背景に過去最高の四半期
Data
売上高
24年7~9月期$12.09M
24年10~12月期$13.24M
25年1~3月期$13.14M
25年4~6月期$13.2M
25年7~9月期$14.06M
25年10~12月期$14.8M
26年1~3月期$14.87M
26年4~6月期$18.74M
四半期別売上高(100万ドル単位)。エバースピンのSEC提出書類をSharadar経由で取得(2026年10月2日)。6

エバースピンはこのほど、2026年4~6月期の売上高が1870万ドルと過去最高で、前年同期比42%増となったと発表した。押し上げたのは4000万ドルの防衛関連契約だ。だが、訴訟関連費用の計上により、米会計基準(GAAP)では360万ドルの赤字を計上した。5 株価は16.37ドル。過去52週の安値6.12ドル~高値51.50ドルという振れ幅が示す通り、株主はこのストーリーをすでに一度、上にも下にも織り込んでいる。5

手放されたニッチ事業でも、エバースピン全体の3倍近い値

その手がかりは、すぐ隣の市場で起きた値づけだ。9月30日、独インフィニオンは、エバースピンよりはるかに規模の大きいNOR型フラッシュとF-RAM事業を、ウィンボンド(Winbond)に現金11億2000万ドルで売却することで合意した。4 売却額はエバースピン全体の時価総額3億9600万ドルの約2.8倍にあたる。4 5 手放された専門事業が、会社1社丸ごとの3倍近い値で売れる。エバースピンの貸借対照表がどこに立っているかを正直に測る物差しは、この数字だ。ニッチから抜け出す道は、どれもどこかのパートナーの貸借対照表を通っている。ウィンボンドか、マイクロチップ・テクノロジーか、はたまた防衛関連企業か。注視すべきシグナルは、次の決算発表までに、量産に見合う資本を背後に持つ製造またはライセンスのパートナーと契約が結ばれるかどうかだ。そこで沈黙が続けば、今回のデモは技術の品定めの場に過ぎなかったことが裏づけられ、AI向けメモリーの「通行料」は米マイクロン、SKハイニックス、サムスン電子の手に残り続ける。3

Deepdive

AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.

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