メルカドリブレの新社債、年75%の与信拡大コストを値付け
メルカドリブレは年75%成長する与信残高を支えるため、10年物の資金を利回り6.139%で調達している。その価値をめぐり市場の見方は割れている。株には1株2450ドルを見込む「買い」、新規発行の2036年償還債には「ホールド」。そして本日、ブラジル規制当局の期限を迎える。
Vincent Jiang · 3 min read
一つの貸借対照表に「買い」と「ホールド」
メルカドリブレは9月9日、2036年償還の無担保普通社債10億ドルを発行した。クーポン利率は5.850%、利回りは6.139%、発行価格は額面の97.864%だった12。調達資金は一般企業目的に充てる。昨年12月に7年物7億5000万ドルを発行しており、1年以内のドル建て債としては2本目となる1。
債券側の審判は10月1日に下った。新債は「ホールド」。今回の発行にはニューイシュー・コンセッション(新規発行債への利回り優遇)がなく、総債務は141億8000万ドル、グロス・レバレッジ(総債務倍率)は約3.64倍に上昇する。クーポン支払いは年5850万ドル増えるが、プロフォルマ(発行後ベース)の流動性カバレッジ約1.10倍がこれを相殺する。デスクは期間の短い2031年償還債を好む3。
総債務は3年で2.5倍に膨らんだ
Data
| 総債務 | |
|---|---|
| 23年7~9月 | $5.24B |
| 23年10~12月 | $5.33B |
| 24年1~3月 | $5.29B |
| 24年4~6月 | $5.4B |
| 24年7~9月 | $6.32B |
| 24年10~12月 | $6.85B |
| 25年1~3月 | $7.73B |
| 25年4~6月 | $8.98B |
| 25年7~9月 | $9.88B |
| 25年10~12月 | $11.39B |
| 26年1~3月 | $12.35B |
| 26年4~6月 | $13.18B |
同じ会社、45%の上昇余地
株式調査の読みはその逆を行く。ニューストリート・リサーチ(New Street Research)は9月23日、投資判断「買い」でカバレッジを開始し、目標株価を1株2450ドルとした。10月1日の終値1685ドルを約45%上回る水準だ。調査対象のアナリスト18人のうち12人が「買い」で、コンセンサスの目標株価は2283ドルとなっている 45。ザックス(Zacks)はこの銘柄をランク4(売り)としている6。
売上高は加速、利益率は半減
調達した債務が回す機械は、売上高をこれまでより速く伸ばしながら、利益として手元に残す分を減らしていく。第2四半期の売上高は101億7000万ドルと前年比49.8%増となった一方、1株当たり利益(EPS)は10.31ドルから9.19ドルに低下した5。与信ポートフォリオは75%増の164億ドルに達した。新規発行カードは260万枚で、1年前の160万枚を上回った。運用資産残高も68%増の232億ドルに膨らんだ6。純利益率は4~6月期で4.6%となり、2024年後半の10.5%を下回った7。
売上の伸びは加速、手元に残る利益率は半減
- 売上高成長率(前年比)
- 純利益率
Data
| 売上高成長率(前年比) | 純利益率 | |
|---|---|---|
| 24年7~9月 | 35.3% | 7.5% |
| 24年10~12月 | 37.4% | 10.5% |
| 25年1~3月 | 37% | 8.3% |
| 25年4~6月 | 33.8% | 7.7% |
| 25年7~9月 | 39.5% | 5.7% |
| 25年10~12月 | 44.6% | 6.4% |
| 26年1~3月 | 49% | 4.7% |
| 26年4~6月 | 49.8% | 4.6% |
クーポンが着地したのは、この20年で最も厳しい金利局面のなかでもある。モルガン・スタンレーのエイミー・ガウアーは長期債利回りが20年来の高水準にあると説明する。市場は米連邦準備理事会(FRB)の利上げを織り込んでおり、いまそれが現実のものとなっている8。
トレードの裏側
強気の論拠には裏付けが並ぶ。15~90日延滞の不良債権(NPL)率は与信残高の7%、カードは4.6%で、いずれも過去の低水準近くにある6。今回の発行には100社を超える機関投資家から需要が寄せられた9。6月末時点で株式を保有するヘッジファンドは107社に上り、82社から増加した2。弱気の答えは算術だ。発行価格97.864では、クーポンは実際の調達コストを過小に見せており、業界の20.2倍に対する予想PER33.1倍では、値幅のクッションがほとんど残らない26。
規制当局の期限が今日尽きる
顧客を丸ごと囲い込む同じ攻勢のうち、薬局という柱はブラジルで止まっている。メルカド・リブレが1時間配送による処方薬販売の開始を発表して4日後、ブラジル保健監督庁(Anvisa)は同社に通知を出し、事業の適法性が確認されるまで、医薬品販売の場の提供や宣伝、仲介をやめるよう命じた1011。
書類の提出期限は10月1日。Anvisaは、現行の規則では医薬品販売を仲介するマーケットプレイスを認めるものはないとしている1011。薬局チェーンのRD Saúde、Pague Menos、Panvelは発表当日に株価をそれぞれ5.4%、8%、4.9%下げた12。
医薬品販売の発表で薬局株は最大8%下落
Data
| Value | |
|---|---|
| RD Saúde | -5.4% |
| Pague Menos | -8% |
| Panvel | -4.9% |
同社は、通知は受けておらず、適用されるすべての規則を順守していると説明している。規制当局とは連絡を取り合っているという1011。
決着の行方
評価の割れは一つの問いに収れんする。この成長を株式として保有するのか、6.139%で資金を貸すのか。「ホールド」が意味するのは、2036年償還債の買い手はニューイシュー・コンセッションなしで10年分のデュレーションを抱え、与信残高が年75%で膨らむなかグロス・レバレッジは上昇し続ける、ということだ。その下にある賭けは、NPL率7%が利上げサイクルを通じて過去の低水準近くにとどまるというものだ。株式のケースは、社債が資金を供給するのと同じ成長を、予想PER33倍という値付けで買うことにほかならない6。
双方を律するのは二つの日付だ。一つは医薬品マーケットプレイスをめぐるAnvisaの判断。いま一つは次回の四半期決算で示されるレバレッジと利益率の指標で、6.139%の金利負担が買っているのが複利で伸びる成長なのか、バランスシートの引き伸ばしなのかが分かる。それまでの間、このトレードのすべては一文で言い切れる。年50%の成長は、10年物で今や6.139%のコストがつく。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.



