OFACが遮断したのはウォレット7つ、集計したのは610万ドル。現金は2ホップ前にもう消えた

米財務省は9月30日、トレン・デ・アラグアのジャックポッティング(ATMから現金を不正に引き出す手口)ネットワークへの制裁指定で、TRONの入金アドレス7件を遮断した。周辺の資金数字はいずれもTRM Labsの集計による。受け取ったのは610万ドルだが、ジャックポッティングの現金と確認された部分はなく、下流のウォレットは約3500万ドルを、約10億ドル規模の資金洗浄(マネーロンダリング)ネットワークとされる先へ送っていた。

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Vincent JiangVincent Jiang · 3 min read
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FBIの最重要指名手配10人リストの手配ポスター。トレン・デ・アラグアのATMジャックポッティング・マルウェアの開発を担ったとされるアニバル・アレハンドロ・カネロン・アギーレ容疑者の、2023年撮影の写真3枚を掲載している
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写真はFBIの最重要指名手配10人リストに載るアニバル・アレハンドロ・カネロン・アギーレ容疑者(通称「プロメテウス」)。米財務省が9月30日に指定した一連の制裁の中心にあるジャックポッティング・マルウェアの開発者とされる人物だ

ATMの陰に潜む、最重要指名手配のプログラマー

米財務省の制裁担当部局は9月30日、トレン・デ・アラグアが関与したとされるATMジャックポッティング計画に関係する計10件の対象を制裁指定した。うち8人が個人、2社がメキシコ拠点の企業で、このほか金鉱山ギャングのリーダー1人も同時に指定を受けた1。主要な対象は、通称「プロメテウス」ことアニバル・アレハンドロ・カネロン・アギーレ容疑者だ。ジャックポッティング・マルウェアの開発を担ったとされ、サイバー犯罪容疑でFBIの最重要指名手配10人リストに載った初の人物でもある2。財務省はこの計画を、2025年8月までに米国内で発生した1500件超の事案に及ぶ届け出被害額4073万ドルと結びつけている13。

7つのウォレット、610万ドル、そして但し書き1つ

一連の措置のうち暗号資産に関わる部分は、TRONの入金アドレス7件だ。指定された関係者1人につき1件が帰属づけられ、いずれも名称が明らかにされていない単一の中央集権型取引所にホストされている14。TRM Labsの集計では、2022年3月以降の入金額は約610万ドル。最大のアドレスが受け取ったのは約210万ドルで、最後の入金は2026年7月に着金した14。ここで正直な仕事をしているのはTRMの但し書きだ。そのうちジャックポッティングの不正収益と確認された金額はない14。

ブラックリストが止まるのは、かつて資金のいた場所だ

7つのアドレスは中継役だった。資金をトレン・デ・アラグア(TdA)関連の別のウォレットへ流し、その下流のアドレスが約3500万ドルを、米当局がホルヘ・フィゲイラ容疑者と結びつけるネットワークへ送り込んだ。フィゲイラ容疑者はベネズエラ人で、約10億ドルの資金洗浄容疑で起訴されているが、有罪判決は受けていない14。ブラックリストは7つの文字列で止まる。現金はその2ホップ先へと動き続けている。

ブロックされたアドレスへの入金は事件で最小の金額

$0M$10M$20M$30M$40M$50Mブロックされた7アドレスへの入金$6.1M制裁リストが触れる唯一の金額下流のTdA関連ウォレットが先へ送金$35M米国のジャックポッティング被害(TdA関連)$40.7M
Data
Value
ブロックされた7アドレスへの入金$6.1M
下流のTdA関連ウォレットが先へ送金$35M
米国のジャックポッティング被害(TdA関連)$40.7M
TRM Labsによる帰属(アトリビューション)に基づく。2022年3月以降にOFACの制裁リスト掲載7つのTRON入金アドレスに入金された額。先への送金額は、これらの資金を受け取ったTdA関連アドレスが送った分で、入金アドレス7つ自体が送ったものではない。被害額は、米財務省が2025年8月までの米国内での報告済みジャックポッティング事件として集計した数値。単位は100万米ドル。送金額と被害額は概数。1,3

TRMは取引相手に対し、1~2ホップ先までエクスポージャーをスクリーニングするよう助言している。この助言に実効性を持たせるのが脅しだ。制裁指定を受けた相手との相当額の取引を処理する外国の金融機関は、二次制裁のリスクにさらされる124。

今週2件目のOFAC指定、民間の台帳頼み

TRMの集計を基に動いた制裁指定は、ここ数日で2件目となる。TRM Labsのデータを使うスクリーニング業者は、Bitgetの盗難資金に関わる送金5000万ドル超の受け入れを拒否しており、同社の数値は今やOFACの最新の制裁指定と並んで扱われている。詳しくはThe Inferenceが10月1日に報じた5。今回の指定では、アドレスも入金額も、さらにその次のホップで送られた資金も、すべてTRMによる帰属(アトリビューション)だ14。一方、競合のChainalysisはより広いネットワークを描き出した。対象ウォレットの取引相手は、コロンビアとメキシコのカルテル、そしてベネズエラの資金洗浄組織が使う資金洗浄(マネーロンダリング)ネットワークにさらされており、これらはステーブルコインへの依存度が高い4。

それでも米財務省が手にしているもの

この事件はウォレットの足し算だけで成り立っているわけではない。米国の管轄下にある資産は凍結され、米国人は原則として制裁指定された相手との取引を禁じられる12。ただし、公表された起訴者数は食い違っている。米財務省の発表では、2025年10月21日以降に起訴されたのは98人で、刑の上限は20年から335年とされる16。その後の報道は累計を119人としている2。ジャックポッティングでこれまでに言い渡された最長の刑は96カ月で、8月の判決だった2。Tetherはすでに、制裁対象アドレスと接点のあるウォレット上のUSDTを凍結している4。

ツケが回るのは取引所

対象アドレスは取引所がホストしている。そのため運営企業は、TRMの言葉を借りれば「背後の口座名義人や関連口座」を特定できる可能性があり、スクリーニングのツケはいまこの企業に回ってきている1。この件に関する報道のいずれにもホスト先の名前は出てこない。リスクの所在が示されるのは役割であって、社名ではない14。今後注視すべきはその先のネットワークだ。米財務省が封じたのは、そこへ資金を流し込んだウォレットであって、より巨額の資金を預かったネットワークの側ではない。

Deepdive

AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.

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