S&P、暗号資産融資ボールトの格付け開始 ロビンフッドの11億ドルは未格付け
S&Pグローバル・レーティングは10月4日、「ボールト・リスク評価(Vault Risk Assessment)」を始めた。ただし、この枠組みで評価したボールトはまだ一つもない。貸付プロトコルMorphoのダッシュボードを10月12日に確認すると、ロビンフッド・チェーン上の預け入れ額は約11億ドル。S&Pが9月に集計したボールト市場全体は約100億ドル規模だ。
Vincent Jiang · 4 min read
アルファベットの尺度、まだ一つも格付けされていない
社債の価格形成を支える格付け見解を発表する信用格付け機関、S&Pグローバル・レーティング$123B — S&Pグローバル・レーティング, private, latest valuation $123Bは10月4日に「ボールト・リスク評価(Vault Risk Assessment)」を開始した1。この評価は、デジタル資産融資ボールトで預け入れ者のポジションが毀損する確率を、ポートフォリオの信用品質からボールトのセキュリティーやガバナンスまで6つの要素にわたって判定し、AAA(v)を最高位とするアルファベットの尺度で示す12。同社はこれを信用格付けではないと明確に位置づけている。まだ一つのボールトにも付いていない。
最初の評価は今後の発表で出てくるとS&Pは説明する1。同社が標準化を狙うこの市場の預け入れ額は9月時点で約100億ドルと、2年前の約15億ドルから膨らんでいる12。サービス開始の日は、ブロックチェーン・セキュリティー企業CertiKがBase上のボールトを問題視した日でもあった。Baseはコインベース+0.43% — コインベース, up 0.43 percent todayのイーサリアム・レイヤー2ネットワークで、このボールトは預け入れ者と大手貸付プロトコルAaveの間に介在したプロキシ(代理)コントラクトを通じて約600万ドルを失っていた。新枠組みがまさに評価対象とする層である2。
ボールト預け入れは2年で約7倍、ロビンフッド・チェーンは1割を占める
Data
| Value | |
|---|---|
| 全ボールト(2024年9月) | $1.5B |
| 全ボールト(2026年9月) | $10B |
| ロビンフッド・チェーン(2026年10月12日) | $1.1B |
格付けなしに膨らんだ11億ドル
米ネット証券のロビンフッド+1.03% — ロビンフッド, up 1.03 percent today(NASDAQ: HOOD)は7月1日、Arbitrumを基盤に構築したイーサリアム・レイヤー2「ロビンフッド・チェーン」を開設した39。10月12日に伝えられた同社の数値によれば、チェーン開設から100日間で株式トークンの累計取引額は150億ドル、保有者は約20万人に達した34。けん引したのは9月だ。同月のオンチェーン株式取引の約42%(約65億7000万ドル)がこのチェーンを経由した3。
チェーンに組み込まれた貸付プロトコルMorphoによれば、預け入れ額は約11億ドルに上り、その大半は株式トークンを担保に受け入れるボールトに集まっている34。株式トークンはRobinhood Assets (Jersey) Limitedが発行する債務証券で、カストディで保管する株式が1対1で裏付けとなる。連動対象は190銘柄超の米国株式・ファンドで、120カ国超で販売される一方、米国、英国、カナダの購入者には売られず、議決権も付かない34。
S&Pの発表資料は、個別ボールトの情報開示を「総じて限定的」と評している1。AMC最高経営責任者(CEO)のアダム・アロン氏は、裏付け株式が空売り投資家に貸し出されているのかと公の場で問いかけた。一方、競合の仮想通貨取引所クラーケンは、自社の「xStocks」で裏付け資産8億ドル超、保有者30万人を数える4。
初の格付けが動かすもの
重要なのは格付けの文字そのものより仕組みだ。EUの暗号資産市場規制MiCAは暗号資産サービス事業者に規則を設けた一方、ボールト型のオンチェーン集合投資スキームを網羅する枠組みは整えていない5。この空白のため、機関投資家は投資配分の関門として頼れる独立した意見を持てずにいる。その溝を埋めるのがボールト・リスク評価だ。株式トークンを扱うボールトに低い格付けが付けば預け入れ資金と利回りは流出し、高い格付けなら、そのボールトを抱えるチェーンに機関投資家の資金が流れ込む25。預け入れ者が手にするのは、S&Pが欠けているとする開示だ。低い評価のリスクを負うのは、ボールトの運営者とチェーン側である12。
S&Pグローバル(NYSE: SPGI)にとっても、この評価はデジタル資産分野で広げてきた布石をさらに広げる一歩となる。デジタル資産の市場データ提供会社Kaikoへの戦略的出資、スマートコントラクト・セキュリティー企業のOpenZeppelin買収(手続き中)、分散型金融(DeFi)プロトコル初の信用格付けとなるSky Protocolへの格付け、そしてビットコインを裏付けとする証券化金融での初の格付けと続く取り組みだ15。
まだ業績に映らないチェーン
ロビンフッドにとって、チェーンはまだ決算にほとんど映っていない。同社は第2四半期に13億1000万ドルの収益を計上し、直近10四半期で最大となった6。一方、10月上旬には利用者がチェーンのネットワーク手数料として1日約6万5000ドルを支払っており、バーンスタインの試算ではその約9割をロビンフッドが手元に残している8。預け入れ残高は10億ドル超を保つ一方で、9月中旬以降、日次取引は42%減少した。ロビンフッドが利用者のスワップ手数料のうち50セントを超える分を肩代わりするのは12月31日までだ8。株式トークンの保有者20万人は、入金済み顧客2620万人を抱える同社の中ではごく一部だ7。
ロビンフッド、収益過去最大の四半期――ただしチェーン抜きで
Data
| 純収益合計 | |
|---|---|
| 24年1~3月期 | $0.62B |
| 24年4~6月期 | $0.68B |
| 24年7~9月期 | $0.64B |
| 24年10~12月期 | $1.01B |
| 25年1~3月期 | $0.93B |
| 25年4~6月期 | $0.99B |
| 25年7~9月期 | $1.27B |
| 25年10~12月期 | $1.28B |
| 26年1~3月期 | $1.07B |
| 26年4~6月期 | $1.31B |
当面は任意の物差し
この評価は任意で、現時点では一つも格付けしておらず、S&Pも評価対象のボールトを明らかにしていない。このまま数あるデューデリジェンス(投資調査)の判断材料の一つにとどまる可能性もある15。評価が何になるかを決めるのは3つの日付だ。最初のボールト・リスク評価の公表、10月27日のロビンフッドの第3四半期決算7、そして12月31日に期限が切れる手数料補填である8。まだどのボールトにも格付け記号は付いていない。最初の格付けが、2年間で約7倍に膨らんだこの市場での「開示の値段」を定める15。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.



