スポティファイ、スパム楽曲7500万曲を削除 看板プレイリストは縮小へ
スポティファイが2025年4月にボット一掃に乗り出してから、「RapCaviar」は毎月フォロワーを減らし、再生数も30~50%落ち込んだ。一掃の行方は10月6日、米国初のストリーミング詐欺(streaming fraud)の量刑として法廷に持ち込まれる。ちょうど同じ頃、メタのAIエージェント「Muse」が音楽ディレクターの椅子に座ろうとしている。
Vincent Jiang · 3 min read
ボットこそ「RapCaviar」の最も忠実なフォロワーだった
「RapCaviar」は8年間、悪い四半期が一度もなかった。PlaylistSupplyによるChartmetricデータの分析によると、2017年から2025年初めまでフォロワー数は横ばいか増加を続けていた 1。スポティファイによる不正一掃が2025年4月ごろに始まってからは、「Today's Top Hits」「Top 50 Global」「Viva Latino」とともに毎月フォロワーを減らしている 1。「RapCaviar」はフォロワーが2.6%減、再生数は30~50%落ち込んだ 1。
レポート自身の仮説は機械的なものだ。偽アカウントは本物に見せるため、最大級の定番プレイリストをフォローする。そのため、アカウント一掃の影響はまずそこに表れる。ただし、既存曲(カタログ)の比率上昇や視聴習慣の変化も数字に反映されている 1。ボットはまさにこのプレイリストの最も忠実なフォロワーの一員で、スポティファイはこの1年、彼らを削除し続けてきた。
コストは損益計算書ではなくチャートに現れる
スポティファイは2025年だけでAI生成楽曲を7500万曲超削除したと、同社シニアディレクターのサム・デュボフ(Sam Duboff)氏が明らかにした 2。一掃の波は、メジャー(大手レコード)各社が契約で掲載枠を保証されている棚にも及ぶ。カタログ部門は、正確なカウントを前提としたストリーミング予測の上で、数十億ドル規模の取引を取りまとめてきた 1。
スポティファイ自身の売上高はびくともしなかった。一掃開始から最初の四半期の49億ドルから、4四半期後には55億ドルへと伸びている 3。それでも業界は浄化を求める。ロイヤルティーは一つの有限な分配原資から支払われ、不正な再生のたびに正当な再生の価値を薄めていたからだ――スポティファイも名を連ねる「Music Fights Fraud Alliance」が量刑を決める法廷にそう語った 4。この算術を逆にたどれば、受益者が姿を現す。不正を一掃すれば、残る1再生あたりの価値は上がる。
不正一掃の波、売上高には届かず
Data
| 売上高 | |
|---|---|
| 23年7~9月期 | $3.55B |
| 23年10~12月期 | $4.07B |
| 24年1~3月期 | $3.92B |
| 24年4~6月期 | $4.09B |
| 24年7~9月期 | $4.43B |
| 24年10~12月期 | $4.41B |
| 25年1~3月期 | $4.54B |
| 25年4~6月期 | $4.93B |
| 25年7~9月期 | $5.01B |
| 25年10~12月期 | $5.32B |
| 26年1~3月期 | $5.25B |
| 26年4~6月期 | $5.45B |
ディスカバリーの場、ロングテールへ
サードパーティー(第三者)プレイリストのフォロワー数の中央値は、2023年1月から70%増えた。エディトリアル(編集)プレイリストは19%増にとどまり、この1年は横ばいだ 1。月間リスナーが100万人未満のアーティストでは、ディスカバリー(楽曲の発見)の80~92%を、サードパーティー(第三者)プレイリストが今では担っている 1。縮んでいるのは、どこに置かれていようと、昔ながらのヒット曲リストというフォーマットだ。
フォロワー減少、スポティファイ自社プレイリスト以外にも拡大
Data
| Value | |
|---|---|
| Afrobeats Hits 2026 | -11.1% |
| Dance Music 2026 | -10% |
| Country Hits 2026 | -6.2% |
| Billboard Hot 100 | -5.9% |
音楽ディレクターの座、AIエージェントへ
メタのAIエージェント「Muse」が9月8日に始動して以来、スポティファイはその中でコネクター(連携機能)を務めている。9月23日に公表した機能の詳細はこうだ。曲を流す、保存する、プレイリストを作る、カレンダーに合わせて組み替える――いずれも会話だけで済む 5。ChatGPTは2025年10月、Claudeは2026年4月に加わった 5。「Muse」は最初の12日間で280万回のダウンロードを記録しており、Appfiguresの推計では、ChatGPTのモバイル版の登場時を上回るペースだ 67。
ラジオの世界では、これを「デイパーティング(時間帯別編成)」と呼ぶ。番組ディレクターの仕事だったものが、プレイリスト編集者へ、さらに今はAIエージェントへと移っていく 89。月間利用者7億7700万人のスポティファイは、エージェントのいる場所でリスナーと出会おうとしている 5。アマゾンはすでに「Muse」に自社サイトでの買い物を禁じている 5。
懲役46か月という価格シグナル
マイケル・スミス被告は3月、AI楽曲をボットで再生して800万ドル超のロイヤルティーを生み出した電信詐欺(wire fraud)の共謀罪で有罪を認めた。量刑判決は10月6日に言い渡される 10。検察は懲役最低46か月と809万ドルの没収を求めている。量刑指針は46〜57か月の範囲で、保護観察局は24か月を提示した 10。
保護観察局の24か月は量刑指針の下限を22か月下回る
Data
| か月 | |
|---|---|
| 保護観察局 | 24 months |
| 検察 | 46 months |
| 量刑指針上限 | 57 months |
スポティファイは、自社の防御策によって、スミス被告が同社プラットフォームから引き出した金額は約6万ドルにとどまったと説明している 10。この量刑は、ストリーミング詐欺に対する抑止力に価格を付けるものだ。より純粋なシグナルは「RapCaviar」の次のフォロワー数である。偽の聴衆が消えたあとに残る、本物の聴衆の規模だ。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.



