AI半導体のパッケージング、TSMCが20億ドルでグローバル・ファウンドリーズに委託 世界先進の完売シンガポール工場も参入
世界先進積体電路(VIS)とエヌエックスピー(NXP)の合弁会社VSMCは、シンガポールでリスク生産(量産前の試験生産)に入った。インターポーザー(中継基板)を新たに技術メニューに加え、第1期分の生産能力はすべて埋まっている。その一方で、TSMCはまさにこの部品をグローバル・ファウンドリーズに20億ドルで作らせることで合意した。AIパッケージングのボトルネックは成熟ノードに移り、その能力を握るファウンドリーがいま価格を決めている。
Richard Tang · 3 min read
AIハードウェアで最も希少なウエハーは、実は最も安く作れる部類の一つだ。台湾の特化型ファウンドリー 世界先進積体電路(VIS)と半導体メーカー エヌエックスピー(NXP)+4.29% — エヌエックスピー(NXP), up 4.29 percent todayがシンガポールで設立した合弁会社 VSMC(VisionPower Semiconductor Manufacturing Company)は、タンピネスに建設した初の300mmファブで、量産に先立つ試験生産に当たる リスク生産を開始した 1。初回サンプルの歩留まりは99%を超え、量産開始は2027年1~3月期の予定だ。AIアクセラレータの土台となる実装層のシリコンインターポーザーも、新たにこのファブの技術メニューに加わった 1。
一方、TSMC+2.42% — TSMC, up 2.42 percent todayは、まさにこの部品を 米グローバル・ファウンドリーズに20億ドルで製造させることで合意したばかりだ 2。AI需要により、業界のボトルネックは最先端ロジックから成熟ノードへと下りてきた。この地味な能力を握るファウンドリーが、値段を付け始めている。VIS−2.14% — VIS, down 2.14 percent todayとVSMCの会長を兼ねる ファン・リュエ氏 1 は世界先進の第2四半期決算説明会で、来年の値上げ幅は今年を下回らないとアナリストに語った 3。
TSMCは仕事を手放す
インターポーザーは、シリコン貫通電極(TSV)と呼ばれる微細な銅の接続を刻み込んだ薄いシリコン片で、演算ダイとパッケージの間に置かれる。これによってプロセッサーとメモリーの積層体が、通常の回路基板では不可能な密度でやり取りできるようになる 3。インターポーザーはトランジスターをほとんど積まず、数十年前の古いプロセスノードで作られる。それなのに、12インチの生産能力を食ってしまう。TSMCならその能力を本来、1枚最大3万ドルとされる演算用ウエハーで埋められるはずなのだ 2。
こうして仕事は最先端から流出していく。グローバル・ファウンドリーズ+4.10% — グローバル・ファウンドリーズ, up 4.10 percent todayは2028年上半期にインターポーザーの生産を本格化させ、成熟ノードでTSMCと競合する台湾のユニセム(UMC)も専用ラインを月産6000枚へと倍増させる 2。調査会社Futurumのアナリストは、AIアクセラレーターの生産を左右する制約は、今やロジックの集積密度ではなく2.5Dパッケージングの能力だと論じる 4。
世界先進、ライセンス技術と満杯の受注簿で登場
VSMCはTSMCからライセンスした技術で30〜40nmのインターポーザーを製造する。量産開始の目標は、通常の成熟ノード品と同じ2027年1〜3月だ 3。世界先進はすでに台湾から、TSMCのパッケージング技術「CoWoS」のエコシステムにインターポーザーを供給しており、シンガポールでの生産はこの供給を台湾の外へ広げる 4。しかも工場は、操業開始の時点で売り切れだ。満載時の生産能力は2029年までに月産4万4000枚とし、当初発表の5万5000枚から切り下げた。第1期の生産量はすべて長期契約で埋まっており、交渉できるスポット枠は残っていない 13。
エヌエックスピー(NXP)は16億ドルを払って40%の持分を取得しており、同社が確保する予定の同地での生産能力は変わらないとしている。Futurumの読みでは、削減はそっくり、世界先進が市場で販売するマーチャント(一般販売)分にのしかかる 4。
TSMC以外で動き出すインターポーザー増設、規模は大きく異なる2つ
- 現在
- フル生産時
Data
| 現在 | フル生産時 | Change | |
|---|---|---|---|
| ユニセムのインターポーザーライン | 3,000 | 6,000 | +100.0% |
| VSMCシンガポール工場(全製品) | 0 | 44,000 | — |
インターポーザーが利益率を押し上げるかは未証明
インターポーザーの価格は公開されていない。調査会社TrendForceは、TSMCによる生産委託を、利益率の低い業務を手放す動きと位置づけている2。一方、世界先進が自ら示す兆しは上向きだ。経営陣は投資家向けに、インターポーザーラインによってVSMCが単なる成熟ノードの生産能力から、「より多様で付加価値の高い応用」の拠点へと変わると説明した。AI関連製品の売上高に占める比率は1桁前半から2桁台へと上がっている3。Futurumの分析では、顧客をつなぎ止めているのはこの工場を取り巻く車載・産業向けの認定制度であり、乗り換えコストを押し上げている4。
市場はすでにそう読んでいる。世界先進の9月売上高は前年同月比15.5%増となり、1~9月累計でも18%増と好調だ5。大和証券は10月12日、世界先進の株価調査(カバレッジ)を「アウトパフォーム」で開始し、目標株価を210ニュー台湾ドルとした。株価は当時160ニュー台湾ドルだった5。
決着をつける3つの開示
焦点は3つの開示だ。まず、インターポーザーの量産が2027年1~3月期に実際に始まるかどうか13。次に、インターポーザーの数量が世界先進の開示する売上項目になるかどうかで、これはFuturum自身が「未解決の問い」と挙げる点である4。最後に、出資2社がシンガポール第2工場の建設に踏み切るかどうか。第2工場は評価が始まった段階で、時期は示されていない3。これらが出そろうまで、工場は売り切れ状態のままで、利益率を押し上げるかは未証明のままだ。
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