TSMC、法廷で争った相手に20億ドル AI半導体のボトルネックを米ニューヨーク州へ

グローバルファウンドリーズは、TSMCが先進実装技術「CoWoS」でパッケージするエヌビディアのAIアクセラレータの配線基板「シリコンインターポーザー」(silicon interposer)で、米国初の供給企業となる。契約期間は5年、総額約20億ドル。ニューヨーク州の生産ラインを今整備し、売上の計上は2028年まで待つ。

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Vincent JiangVincent Jiang · 3 min read
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会社提供のポートレートに写る、グローバルファウンドリーズのティム・ブリーン最高経営責任者(CEO)
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グローバルファウンドリーズのティム・ブリーン最高経営責任者(CEO)。同社はTSMCのCoWoSパッケージに使うシリコンインターポーザーの米国初のメーカーとなる。ニューヨーク州マルタの生産ラインは2028年に本格稼働する。

台湾から出られなかった配線基板

シリコンインターポーザーは、AIアクセラレータのロジックダイ(演算チップ)とメモリースタック(積層メモリー)の間の配線を担う、加工済みシリコンの薄板だ。TSMC−0.67% — TSMC, down 0.67 percent todayがエヌビディア−0.65% — エヌビディア, down 0.65 percent todayのAIアクセラレータなどに採用する実装技術「CoWoS(チップ・オン・ウェハー・オン・サブストレート)」の中核部材であり、今回合意が成立するまで、そのすべては台湾で作られてきた3。

10月8日、グローバルファウンドリーズ−2.07% — グローバルファウンドリーズ, down 2.07 percent todayはニューヨーク州マルタの自社工場でインターポーザーを生産すると発表した。契約期間は5年、総額は約20億ドルで、量産は2028年上半期に立ち上がる見通しだ12。マルタはこの部材の米国内初の供給拠点となる。発表を受けてグローバルファウンドリーズの株価は一時7%高となった14。

ボトルネック、解消は2028年

先進パッケージングはAI半導体生産を大きく制約する存在となっており、需要が供給能力を上回っている1。TSMCが昨年、エヌビディアの現行世代AI半導体「ブラックウェル」の生産を米アリゾナ州の工場で始めた際も、完成品は実装のため台湾へ戻された5。

米国側の他の対策もやはり待たされる。半導体の実装・検査受託(OSAT)大手アムコア・テクノロジーのCoWoS対応ラインは2028年に稼働する見通しで、TSMC自社のアリゾナ州の実装工場は2029年となる5。マルタもこの順番待ちに並ぶ。

TSMCが2019年に訴えた相手

先に訴えたのはグローバルファウンドリーズだ。同社は2019年8月26日に提訴した。被告はTSMCのほか20社で、エヌビディアやアップル+0.73% — アップル, up 0.73 percent todayのほか、販売会社も名を連ねた。提訴先は米国とドイツの裁判所だった6。TSMCは10月1日、米国、ドイツ、シンガポールで反訴。両社は10月29日、特許の存続期間を通じて有効なクロスライセンスで和解した6。このライセンスが両社に取引の自由を残し、今回の契約で、グローバルファウンドリーズはかつて自ら訴えた企業のサプライヤーとなる。

出費は今、回収は2028年

5年契約の総額20億ドルを期間で均等に割れば、年平均は約4億ドルになる。グローバルファウンドリーズが直近4四半期に計上した69億4000万ドルの約6%にあたる。ただし、いずれの収入も2028年より前には入ってこない17。出費のほうが先だ。第2四半期(4~6月)の設備投資は4億1100万ドルで、前年同期比158%増、2024年の最低水準の4倍となった7。

顧客側の支出はすでに動き出している。グローバルファウンドリーズの通信インフラとデータセンターを合わせたエンドマーケットは、第2四半期に前年同期比60%増となった2。

グローバルファウンドリーズの設備投資、24年の最低水準の4倍――インターポーザー収入は計上前

$0.1B$0.2B$0.3B$0.4B$0.5B23年10~12月24年4~6月24年10~12月25年4~6月25年10~12月26年4~6月インターポーザー収入は2028年に計上開始
Data
設備投資
23年7~9月$0.32B
23年10~12月$0.28B
24年1~3月$0.23B
24年4~6月$0.1B
24年7~9月$0.16B
24年10~12月$0.12B
25年1~3月$0.17B
25年4~6月$0.16B
25年7~9月$0.19B
25年10~12月$0.2B
26年1~3月$0.31B
26年4~6月$0.41B
米証券取引委員会(SEC)提出資料によるグローバルファウンドリーズの四半期別設備投資(10億ドル単位)。TSMCとの20億ドル契約による収入計上は2028年に始まる7

マルタの新ライン、頼みは顧客一社と一つの配線方式

シリコンインターポーザーは、パッケージ内の配線手段として唯一の選択肢ではない。CoWoS-Rはインターポーザーを再配線層に置き換え、CoWoS-Lは局所的なシリコンブリッジだけを残す。両社とも、今回の契約を特定の方式に限定したとは公表していない8。インテル・ファウンドリーは、TSMC製シリコンを受け入れられるCoWoS相当の実装サービスをすでに販売している5。

実装の主流がインターポーザーから離れていけば、あるいはTSMC自身のアリゾナ州の実装工場がこの仕事を引き取れば、マルタに残るのは一社の顧客の需要予測だけだ58。下支えとなるのは、需要の拡大に応じて生産能力を追加できる枠組みを契約に組み込んだ点だ18。

CoWoSをめぐる焦点、TSMCの10月15日決算説明会へ

TSMCは6期連続で過去最高となる四半期決算を発表する見通しだ。同社自身の開示によれば、7~9月期の売上高は1兆4900億台湾ドルで、前年同期比約39%増となっている910。10月15日の決算説明会では、10~12月期の業績見通しや粗利益率、2027年のAI需要をめぐる質問が並ぶ。背景にあるのは、7月に600億~640億ドルへと引き上げた設備投資計画だ911。CoWoSをめぐる焦点も、この決算説明会に持ち込まれる。

TSMCの売上高、直近9四半期のうち8四半期で過去最高を更新

$10B$20B$30B$40B23年10~12月24年4~6月24年10~12月25年4~6月25年10~12月26年4~6月$39.85B7~9月期決算は10月15日発表
Data
売上高
23年7~9月$16.94B
23年10~12月$20.36B
24年1~3月$18.53B
24年4~6月$20.7B
24年7~9月$24.05B
24年10~12月$26.73B
25年1~3月$25.42B
25年4~6月$31.95B
25年7~9月$32.48B
25年10~12月$33.45B
26年1~3月$35.43B
26年4~6月$39.85B
TSMCがSECに提出した書類でドル換算した四半期別売上高(2026年10月12日時点)。TSMCの決算報告は台湾ドル建てだ。同社が開示した7~9月期の売上高1兆4900億台湾ドル(前年同期比約39%増)は、10月15日の決算説明会で決算として確定する。12

Deepdive

AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.

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