ウェハー価格は2027年に4割超上昇へ サムコ社長はなお売らず

サムコはこの日、日経平均採用銘柄で最大の上昇率を記録した。2027年のウェハー契約で4割超の値上げを見込む観測を背景に、UBS証券による投資判断の引き上げも出た。だが、ウェハーを売る当の本人は、提示されている値上げ幅ではコストに届かないと話しており、新工場の建設も退けている。

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Vincent JiangVincent Jiang · 3 min read
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エッチングされた回路パターンが敷き詰められた12インチシリコンウェハー
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12インチ(300ミリメートル)シリコンウェハー。2027年の契約交渉の中心となる規格で、12インチ研磨ウェハーの価格は4割超上昇の予測。

赤字企業の9%高

9月30日、サムコは9.08%上昇し、日経平均採用銘柄で最大の上昇率を記録した。出来高は58%増だった12。株価は4営業日で3,040円から3,588円へと伸び、上昇率は17.9%に達した2。UBS証券も投資判断を「買い」に引き上げた3。ただ、投資家が買ったのは4~6月期の数字ではない。売上高1136億1000万円、米会計基準(GAAP)の純損失44億3000万円。前年同期は3400万円の黒字だった4。

2027年の請求書、4割増しから

この買いの前提は、2027年に向けた長期契約(LTA)の交渉ラウンドにある。12インチ研磨ウェハーの新規契約は4割超の値上げが見込まれ、二番手顧客向けは5割超の可能性もある。TSMCが先端AIチップ向けに使うタイプのエピタキシャルウェハーは15~25%の値上げだ56。スポット価格は今四半期にも契約価格を上回るとみられる56。台湾の同業、GlobalWafersの12インチ平均価格は、今年の92ドルから2027年に122ドル、2028年には166ドルへの上昇が予測される56。請求額はまずTSMCに届き、最も重くのしかかるのは二番手のファブだ57。

GlobalWafersの12インチウェハー価格、2年で8割上昇の予測

  • 12インチASP
  • Estimate
$0$50$100$150$2002026年2027年予測2028年予測$922027年のLTA交渉で価格が組み直される
Data
12インチASP
2026年$92
2027年予測 (estimate)$122
2028年予測 (estimate)$166
12インチシリコンウェハー1枚当たりの平均販売価格(米ドル)。2027年と2028年の数値は台湾紙・工商時報(Commercial Times)経由で伝えられたアナリスト予測であり、実績値ではない。出所:TrendForce(2026年9月25日)、TweakTown(2026年9月29日)5,6

売り手はまだ署名していない

サムコの龍田次郎社長は8月、5~10%の値上げではコストを賄うには程遠いと述べ、新たな投資に見合うだけの価格上昇が必要だと訴えた。長期契約の更新には慎重姿勢を保ちつつ、工場新設(グリーンフィールド)による増産は行わない考えを明確にした5。一方の台湾勢は、すでに取引が動いている。台湾のウェハー大手3社は8月、3年続いた値上げ凍結を解いてそろって10%引き上げ7、顧客側も今はより長い契約を求めている7。マイクロンは5億ドルの拠出と10年の供給契約をGlobalWafersのテキサス工場に注ぎ込んだ7。

帳簿は買いを支持しない

サムコ自身の成績はどうか。2026年度上期の中間純損失は129億円2。2025年度も売上高4096億円に対し117億円の赤字だった8。この急騰で、市場は年内に1月の1434円から7月の5939円まで上昇を重ねた銘柄に、1兆2600億円――純資産倍率(PBR)で2.2倍――を支払っている2。モルガン・スタンレーの渡部崇人アナリストは9月29日、投資判断を「中立」に引き上げ、目標株価を3000円とした。目標株価は10月2日の終値より16%低く、コンセンサスの4143円にも届かない42。

強気論を公平に言えば

需要は本物だ。2027年はCoWoSのパッケージ能力が70.9%増、GPUとAI向けASICの出荷が44.9%増と予測される一方、DRAMのビット供給量の伸びは22%にとどまり、需要に届かない6。AIサーバー1台に必要なウェハー量は、標準的なサーバーの約3.8倍になる7。サムコのEBITDAマージンは昨年27.4%8で、キャッシュを生み出すエンジンはすでに備わっている。だが、2027年のたなぼた益がサムコの損益計算書に届くのは、社長がまだ署名していない契約を通じてのみだ。

2027年の伸び率予測、AI需要はDRAM供給を上回る

  • 2027年伸び率予測
  • Estimate
0%20%40%60%80%CoWoSパッケージ能力GPU・AI向けASIC出荷DRAMビット供給
Data
2027年伸び率予測
CoWoSパッケージ能力 (estimate)70.9%
GPU・AI向けASIC出荷 (estimate)44.9%
DRAMビット供給 (estimate)22%
2027年の前年比伸び率の予測。CoWoSはTSMCの先進パッケージ能力を指し、DRAMのビット供給量の伸びは需要に届かない見通し。出所:TweakTown(2026年9月29日)6

成否を分ける三つの節目

判定材料は三つ、いずれも日付が決まっている。一つ目は、12インチ品のスポット価格が今四半期中に長期契約(LTA)の水準を上回るかどうか5。二つ目は、11月中旬に発表を控える中間決算と業績見通し2。三つ目は、コロナ禍に結んだ契約が2027年にかけ相次いで期限を迎えるなか、更新の行方そのものだ5。40%の値上げがたなぼた益になるのは、誰かが署名してからのことだ。

Deepdive

AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.

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