ズースケーラー、AIを「史上最大の機会」と強調 成長率3分の1減速の見通しは据え置き
ズースケーラーは2026年の投資家説明会で、エージェント型AI(agentic AI)を会社史上最大の機会と位置付けた。その一方で、成長率を16.6~17.5%に減速させる2027年度の業績見通しは引き上げず、従来通り再確認した。発表に盛り込んだARR(年間経常収益)100億ドル目標に期限はなく、その溝を埋めるはずの製品はまだ一般提供されていない。
Vincent Jiang · 3 min read
100億ドルの呼びかけ、書類に期限はなし
ニューヨークで開いた投資家説明会で、ズースケーラーの創業者兼最高経営責任者(CEO)、ジェイ・チョードリー氏は、エージェント型AIの時代を「わが社の歴史上で最も重要な機会」と述べ、投資家にARR100億ドルの目標を示した1。だが、米証券取引委員会(SEC)へ同じ朝に提出された8-K(臨時報告書)が返した答えは、書類であって勢いではなかった。同社は9月3日に初めて公表した2027年度の業績見通しを、引き上げるのではなく据え置いた23。
見通しは成長率を3分の1削る
数字は変わっていない。2027年度の売上高は39億800万~39億3800万ドル、成長率は16.6~17.5%で、33億5000万ドルと25%増だった2026年度からはっきり減速する14。ARRの見通しは42億2600万ドルにとどまり1、同じ発表に盛り込まれた100億ドル目標には期限が記されていない。据え置いたノンGAAP基準の1株当たり利益(EPS)4.86~4.90ドルは、ファクトセット(FactSet)集計のコンセンサス4.88ドルを挟み込む形だ5。見通しが最初に示された際には、株価は4%下落した10。
AIエンジンの提供はまだ先
その看板を担う製品「Autonomous Application Shield」は、早期アクセス・プログラム(Early Access Program)の段階にある6。レッドカナリー(Red Canary)と組んで開発した「Agentic SecOps」の寄与は2027年度後半より前には見込めず、レッドカナリーが今年中に純新規ARRを上乗せする見込みもない。これを除けば、直近四半期の純新規ARRは17%増だった7。ズースケーラーは9月1日、AIに経営資源を振り向けるため、約8700人の従業員の約3%を削減すると表明し、3000万~3300万ドルの費用を計上する85。
成長率は3年で40%から25%に半減 見通しは19%へ
- 売上高前年比成長率
- Estimate
Data
| 売上高前年比成長率 | |
|---|---|
| 23年度3Q | 39.7% |
| 23年度4Q | 35.4% |
| 24年度1Q | 32.1% |
| 24年度2Q | 30.3% |
| 24年度3Q | 26.4% |
| 24年度4Q | 23.4% |
| 25年度1Q | 22.6% |
| 25年度2Q | 21.3% |
| 25年度3Q | 25.5% |
| 25年度4Q | 25.9% |
| 26年度1Q | 25.4% |
| 26年度2Q | 24.9% |
| 26年度3Q予 (estimate) | 19% |
市場の伸びを下回る業績見通し
モルガン・スタンレーは、サイバーセキュリティソフトへの支出が2028年まで年23%ずつ増えると予測する。サイバー攻撃の激化で政府が義務化に動けば、伸びは年33%に加速するという9。ズースケーラーの業績見通しは、この低い方の数値すら下回っている。RBCは「AIの勢いがあるにもかかわらず慎重なトーン」と分析し、マッコーリーは引き上げを過度に慎重だと評した。オッペンハイマーはレッドカナリーと競争環境を懸念材料に挙げた5。ズースケーラー株は年初来8%超下落した一方、クラウドストライクとパロアルトネットワークスは最高値圏にある49。
AIセキュリティ相場で主要銘柄は軒並み上昇 例外はズースケーラー
Data
| Value | |
|---|---|
| クラウドストライク | 132% |
| パロアルトネットワークス | 131% |
| フォーティネット | 97% |
| CIBR(サイバーETF) | 50% |
| ズースケーラー | -8% |
ジェイ・チョードリーCEOの答え――需要は本物、提供はまだ先
チョードリー氏は「SaaS終末論(SaaSpocalypse)」は誇張が過ぎると反論する。数年前にはハイパースケーラーがセキュリティ企業を淘汰すると言われていたが、「結局、起きなかった」と指摘する4。7月に終了した四半期はAI向けセキュリティの受注額が前期比で50%超伸び、パイプラインも75%拡大した7。一方、減速を織り込んだ業績見通しについて、その理由を最高財務責任者(CFO)のケビン・ルービン氏自身が挙げるのは実行の問題だ。「営業体制の移行に要する時間」と、新製品の普及ペースである7。
100億ドルの成否を分ける3つの材料
注目すべき材料は3つある。10月期決算の内容、Autonomous Application Shieldが早期アクセス・プログラムから一般提供へ進めるかどうか、そしてAI関連の受注がARRに結びつくかどうかだ。アナリスト・コンセンサスは「買い」を維持したまま。46人のアナリストの平均目標株価は210.13ドルで、直近の終値は201.80ドル。説明会当日は株価が約3%上昇した510。ただ、このうち一つでも実現するまでは、100億ドル目標はスケジュールではなく、スピーチのままだ。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.


