アマゾン、AIで数年間フリーキャッシュフローマイナス 幹部の録音発言と社内メールで判明、エヌビディア製ラックは月30億ドル
AWS(アマゾンウェブサービス)の全社ミーティングの録音には、アマゾンの幹部自身がAIによる現金流出を語る姿が残り、社内メールからは、稼働に必要な電力が整わないまま、月およそ30億ドル分のエヌビディア製ラックが到着している実態が浮かび上がった。ガートナーはこのほど、AIデータセンターの保有者が2030年までに必要とする収益を8.5兆ドルと試算。同社が実際に得られると予想する収益は3.6兆ドルだ。
Vincent Jiang · 4 min read
「キャッシュマイナス、おめでとう」
9月に開いた社内会議で、アマゾン+0.08% — アマゾン, up 0.08 percent todayのクラウド部門で最高財務責任者(CFO)を務めるジョン・フェルトン氏は、プラサド・カリャナラマン氏に冗談を投げかけた。カリャナラマン氏は入社21年のベテランで、今年、アンディ・ジャッシー最高経営責任者(CEO)に直属する経営トップ組織「Sチーム」に加わった。「社全体のフリーキャッシュフローをマイナスにしてくれた。おめでとう」――。会議の録音によれば、フェルトン氏はこう語りかけた1。
AIインフラ整備の大部分を統括するカリャナラマン氏は、これを否定しなかった。機械学習とAIの事業は「フリーキャッシュフローが大幅にマイナス」の状態にあり、「今後2年ほど」はそれが続く見通しだと述べた1。
この「出血」はすでに数字に表れている。6月までの直近12カ月のフリーキャッシュフローはマイナス76億ドル。1年前はプラス182億ドルだった2。
現金流出、いっそう前倒し
アマゾンは7月、2026年の設備投資計画を2000億ドルから2200億ドルへ引き上げ、ジャッシーCEOはメモリチップの高騰をその要因に挙げた2。同時に、現金が会社から流出する時期も、かつてより早まっている。
「早期ラック受け取り(Early Rack Receipt)」と呼ぶ新たな手順では、エヌビディア+0.10% — エヌビディア, up 0.10 percent todayのGB300チップを搭載したサーバーラックについて、アマゾンがデータセンターへの搬入前に所有権を引き取る。搬送中の機材費用をサプライヤーが負担してきた従来の取り決めを手放した1。ある社内メールは、8月に約50億ドル分のラックが到着し、その後は「予見可能な将来にわたり」月およそ30億ドル分ずつ届くと見込んだ。届け先の一部には、機器を置くスペースはあっても、電源を入れるための電力が整っていない現場もあった1。
アマゾンは、サプライチェーンのチームに「明確な予測経路」が欠けていたとするこのメールの見解には異を唱える。導入予定地の近くでハードウェアを事前に保管・配置するのは「最善のビジネス手法」だとしている1。この開発の背後には、16州にまたがる44ギガワットの容量がある。調査会社Cleanview Researchの推計では、グーグル、メタ−2.11% — メタ, down 2.11 percent today、マイクロソフト−0.15% — マイクロソフト, down 0.15 percent todayの3社合計の2倍以上だ1。
「2027年までには必ず」の約束、ずれ込む
カリャナラマン氏は2023年、ジャッシー氏に対し、AWSのキャパシティ不足は「2027年までには必ず」解消されると伝えていた。ところが今年9月、需要がキャパシティを上回る状態は2027年も続くと語った1。
アマゾンの設備投資、2026年に営業キャッシュフローを上回る
- 設備投資
- 営業キャッシュフロー
Data
| 設備投資 | 営業キャッシュフロー | |
|---|---|---|
| 24年1~3月 | $13.94 | $18.99 |
| 24年4~6月 | $16.39 | $25.28 |
| 24年7~9月 | $21.28 | $25.97 |
| 24年10~12月 | $26.05 | $45.64 |
| 25年1~3月 | $24.26 | $17.02 |
| 25年4~6月 | $31.37 | $32.52 |
| 25年7~9月 | $34.23 | $35.53 |
| 25年10~12月 | $38.47 | $54.46 |
| 26年1~3月 | $43.23 | $26.03 |
| 26年4~6月 | $53.08 | $45.39 |
「明確な道筋」、ガートナーの需給ギャップとぶつかる
ジャッシー氏は最新の株主向け書簡で、高いリターンへの「明確な道筋」があると主張し、AIを「一生に一度の機会」と呼んだ1。需要の裏付けは数字にもある。AWSの売上高は4~6月期に前年同期比37%増と、伸び率は18四半期ぶりの高さを記録。すでに契約を結びながらまだ提供していない仕事の残高(バックログ)は4960億ドルに達する12。
ところが話にはもう一方の側がある。ガートナーが10月14日に出した発表がその規模を示した3。AIデータセンターを保有する事業者が、発表済みの支出と資金調達コスト、投下資本利益率12%を回収するには、2030年までに累計8.5兆ドルの収益が必要になる。だがガートナー+5.25% — ガートナー, up 5.25 percent todayの予測では、実際に得られるのは最大でも3.6兆ドルだ34。
ガートナーが何を測り、何を仮定したか
この12%は、ガートナーが投資家の要求水準と仮定したリターンであって、実測値ではない4。モデルの全体像は、ガートナーの顧客にだけ販売される調査資料の中にある。減損への警告も条件付きだ。減損にさらされる「可能性がある」支出であって、すでに発生した損失ではない4。ガートナーは、2030年までに3.5兆ドル超の支出が減損にさらされる可能性があるとし、12%のリターンが達成されるのは2032年末以降になるとみている3。
前提を変えて試算したベイン・アンド・カンパニーも、ほぼ同じ結論に達する。同社はAIインフラへの年間投資が2031年までに1.5兆ドルに達するとみる。その支払いを賄うには、AIサービス市場が年間6兆ドルを超える必要があるという計算だ5。
いまや資金の相手は債券市場
しわ寄せが最も重いのは、GPUの計算能力を貸し出す専門業者「ネオクラウド」(neocloud)だ。ガートナーは、ネオクラウドの8割超が2030年までに独立運営を終えると予想する。最大手のコアウィーブ+2.40% — コアウィーブ, up 2.40 percent todayは発表当日に一時17%急落した36。
同社の無担保社債は、市場が危機と受け取る水準で取引され、マイク・イントレイターCEOはこの売りを「非合理的だ」と評し、同社のバックログは債務をカバーしていると述べた6。ガートナーによれば、ハイパースケーラー(超大手クラウド事業者)は収益源が多様で、今後数年にわたってこの水準の支出を続けられるという3。
アマゾンは今年、社債を発行している。2025年の設備投資は営業キャッシュフローの94%を占め、2023年の62%から上昇した7。次の判断材料は、数週間以内に発表される第3四半期(7~9月期)決算だ7。
AI投資の拡大でアマゾンの債務は9カ月で880億ドル急増
- 債務
- 現金
Data
| 債務 | 現金 | |
|---|---|---|
| 23年7~9月 | $137B | $49.6B |
| 23年10~12月 | $135.6B | $73.4B |
| 24年1~3月 | $134.7B | $72.9B |
| 24年4~6月 | $133B | $71.2B |
| 24年7~9月 | $134.7B | $75.1B |
| 24年10~12月 | $130.9B | $78.8B |
| 25年1~3月 | $133.2B | $66.2B |
| 25年4~6月 | $133.9B | $57.7B |
| 25年7~9月 | $135.4B | $66.9B |
| 25年10~12月 | $153B | $86.8B |
| 26年1~3月 | $209.9B | $101.8B |
| 26年4~6月 | $223.2B | $78.2B |
アマゾンは、サーバーラックが収益を生むのに必要な電力を電力会社が供給するより何カ月も前に、代金を払っている。会社自身の見通しでは、来月もさらに30億ドル分のラックが届く1。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.



