パープレクシティのアプリは法廷での説明と矛盾 アマゾンが改正訴状で主張
ミューズ(Muse)遮断と同日に提出された41ページの改正訴状は、iOS版「コメット(Comet)」がパープレクシティ(Perplexity)自身のクラウドからアマゾンで買い物をしていると主張する。一方、同社の控訴審書面は「会社のいかなるコンピューターもアマゾンに直接触れることはない」と説明していた。二つの動きの背後にあるのは、人間のインプレッション(表示回数)を広告主に課金する680億ドル規模の広告事業だ。
Vincent Jiang · 3 min read
ミューズ遮断と同じ日、アマゾンは41ページを提出
ミューズの利用者が壁にぶつかり始めたのは2026年9月20日だ。「許可なきAIエージェントによる継続的なアクセスは、アマゾンの利用規約に違反する」12。アマゾンによれば、このエージェントは自らを名乗らず、顧客の認証情報を取得・保存している様子があり、アカウントデータをかき集めているという13。だが、より静かな動きは法廷の方で起きていた。9月21日、アマゾンはサンフランシスコで係争中のパープレクシティ相手の訴訟で改正訴状を提出。コンピュータ不正行為、カリフォルニア州のコンピュータデータアクセス法、不法干渉(tortious interference)の3つを41ページにわたって訴えた49。
新たな主張の的は、2026年3月18日に登場したiOS版「コメット」だ。この月にアマゾンが提訴すると、連邦地裁は3月9日、旧版「コメット」に差し止め命令を出していた49。訴状の主張では、iOS版アプリは利用者のアマゾン・セッションクッキーをパープレクシティのクラウドにコピーする。クラウド上の仮想ブラウザーがアマゾンのページを直接要求する。「いかなる利用者端末も、アマゾンのサーバーには触れない」4。
訴状が覆しにかかる判決
この一文が狙うのは2026年8月4日の判決だ。米連邦第9巡回区控訴裁判所がアマゾンの仮差し止め命令を取り消したのは、同裁判所が検討した記録の上では、アマゾンと通信していたのは利用者のブラウザーで、パープレクシティはスクリーンショットを処理するだけだったからだ。連邦のハッキング禁止法上の「アクセス」を行っていたのは会社ではなく利用者自身――そう判断した5。合議体はこのアシスタントを「道具であって人ではない」と評し、判断を当該記録に限定し、アマゾンの利用規約にも言及した6。
再審理の請求は9月10日に棄却された1。途中に利用者端末がなければ、この前提は消える。それが技術上の論点だ。
アマゾン側エンジニアが見たとする通信
パープレクシティが控訴審で4月1日と5月6日に提出した書面は、「パープレクシティのコンピューターがアマゾンのコンピューターに直接アクセスしたことは一度もない」と主張していた4。アマゾン側の主張はこうだ。自社エンジニアは3月18日から少なくとも5月11日まで、まさにその通信を毎日記録した。弁護団は5月6日、ページ単位での訂正を要求した。ところがパープレクシティは同日遅くに提出した反論書面で同じ主張を繰り返し、5月11日に「誠意を示す措置」としてiOS版の機能を停止した4。
訴状には損害の内訳も付いた。損害額は26万ドル超。トラフィックエンジニアリングチーム8人が2025年7月以降に投入した時間は計1280時間。6月15日までにAmazon.com上で確認されたコメットのセッションは、少なくとも18万5712回だった4。いずれの数字もアマゾン側の主張で、パープレクシティは改正訴状への答弁をまだ提出していない4。
ここまでのパープレクシティ側の答え
アマゾンの提出書面に引用された同社の公開見解は、アマゾンが「コメットの利用者がアマゾン上でAIアシスタントを使うことを禁じるよう要求している」というものだ4。2025年11月には、アマゾンからの警告状を「攻撃的な法的脅威」であり、「あなたに広告やスポンサー付き検索結果を見せ、購買判断に影響を与えることのほうに関心がある」会社からのものだと評した7。アマゾンの2025年の広告収入は680億ドルを超えている1。
アマゾンがエージェントそのものを拒んでいるわけではない。同社の「Buy for Me」機能は外部ブランドのサイトで買い物をする際に自らを名乗り、ブランド側に拒否(オプトアウト)の選択肢も与えている1。
裁判所が開けたままにした契約の扉
ミューズのポップアップは、誰かをハッキングで糾弾しているわけではない。2025年5月30日に改正された利用規約を根拠に、エージェントには「Agent/[エージェント名]」として名乗るよう求める48。訴状によれば、コメットはグーグル「クローム」のユーザーエージェント(UA)文字列を送信し、アマゾンが検出を学習するたびに文字列を変えた。クラウドフレアは2025年8月、この挙動を問題視したうえで、パープレクシティを認定オペレーター(verified operators)から外した4。
ポップアップも、判決が残した示唆も、訴状も、一つの扉に通じている。アマゾンが2025年5月30日に設けたエージェント条項という「契約の堀」だ。アマゾンは私的な利用規約を通じてアクセスを規制しうる――第9巡回区控訴裁判所自身がそう指摘した6。アマゾンは8月4日、「本件については自信がある」と述べ、次の一手を検討中だと表明した。改正訴状はその一つだ9。
係争記録が今、たった一つの問いを載せている。パープレクシティの弁護士が連邦裁判所に「そこにはない」と説明した場所に、同社のサーバーは実はあったのか。
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- 1GeekWire (Todd Bishop), Amazon blocks Meta's Muse AI assistant in new standoff over agentic shopping, 20 September 2026
- 2The Verge (Jess Weatherbed), Amazon blocks Meta's Muse AI agent, 21 September 2026
- 3Business Insider (Georgia Hennessy), Amazon is keeping Meta's Muse out of its shopping carts, 21 September 2026
- 4The Next Web, Amazon blocks Meta's Muse and accuses Perplexity of misleading a court, 21 September 2026
- 5JD Supra (Jones Day), Ninth Circuit Vacates CFAA Injunction Against Perplexity's Comet AI Agent, 14 September 2026
- 6PYMNTS, Ninth Circuit Rules AI Agents Act on Behalf of Users, Not Developers, 14 September 2026
- 7CNBC (Ashley Capoot, Annie Palmer), Perplexity AI accuses Amazon of bullying with legal threat over Comet browser, 4 November 2025
- 8SiliconANGLE (Maria Deutscher), Amazon blocks Meta's Muse agent from shopping on users' behalf, 21 September 2026
- 9Engadget (Ian Carlos Campbell), Perplexity has successfully overturned Amazon's injunction on its AI shopping bot, 4 August 2026
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