AT&T、メキシコ携帯事業をテレビサらに20億ドルで売却 100億ドル注いだ10年
テレビサとフィンテック・ホールディングスがAT&Tのメキシコ携帯事業を20億ドルで買収する。この価格を「割安」と呼ぶ銀行もあれば、手放すキャッシュとして数える銀行もある。撤退が本当に賭けているのは、AIトラフィックが流れる土台――米国の光ファイバー網だ。
Richard Tang · 3 min read
AT&T−0.30% — AT&T, down 0.30 percent todayは10月13日、AT&Tメキシコをメキシコ最大の放送会社グルーポ・テレビサと、メキシコの大富豪デビッド・マルティネス氏の投資会社フィンテック・ホールディングスに、条件付き追加支払いを加えた20億ドルで売却することで合意した 1。この取引を評価した2行の結論は正反対で、どちらの読みも成り立つ。スコシアバンクはこの価格を「割安」と評価し、テレビサの国内の固定通信・携帯電話の加入者シェアが8%から約19%に拡大するはずだとみている 24。
BNPパリバは、AT&Tが手放すことになるキャッシュを年5億ドル近くと試算する 3。この読みの隔たりこそがシグナルだ。携帯網は、家庭向けブロードバンドとテレビを抱えてセットで売れる持ち主には利益を生み、そのどちらも持たない持ち主には足かせとなる。
10年と100億ドルで手にしたのは2位
AT&Tは2014年、イウサセルとネクステル・メキシコの買収でメキシコに参入した。以降、一連の買収や全国規模の4G網の構築、旧世代網の停波でメキシコに100億ドル超を投じてきた 3。その結果は、追い抜けない2位だ。メキシコの携帯回線の約6割は、カルロス・スリム氏のアメリカ・モビルが運営するテルセルが握っている 23。
手放される事業は、安定しているどころか縮小している。加入者数は2025年末の2,470万から、2026年半ばには2,340万に減った 2。スペインのテレフォニカは今年、モビスター・メキシコを4億5,000万ドルで売却し、もっと安いコストで撤退を済ませている 3。同事業は2025年、売上高854億ペソに対して営業利益は14億ペソで、利益率は約1.6%にとどまる 4。
メキシコに投じた資金と、回収した額
Data
| Value | |
|---|---|
| 4G網拡張 | $3B |
| イウサセル(2014年) | $2.5B |
| 売却価格(2026年) | $2B |
| ネクステル・メキシコ(2015年) | $1.9B |
資金の矛先は米国の光ファイバー
この連鎖を自ら語ったのは、ジョン・スタンキー会長だ。AIの未来は「光ファイバー資産を厚く備えた収束ネットワークの上で動く」と言う 1。売却合意の1週間前、AT&Tは光ファイバーの合弁事業2社をホールセール(卸売)専業の会社1社に統合した。新会社の株式の半分は、ブラックロック+0.99% — ブラックロック, up 0.99 percent today傘下のグローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(GIP)とカナダのCPPインベストメンツ(カナダ年金投資運用庁)が所有する。同社は2030年末までに米国内で6,000万拠点超の光ファイバー網の整備を進める。AIトラフィックが流れるのは、その回線だ 56。
主戦場は米国市場であって、メキシコではない。10月8日、スペースX−2.17% — スペースX, down 2.17 percent todayはグレイン・マネジメントが保有する全米規模の低周波数帯スペクトラムを、報道ベースで80億ドル、連邦当局の承認を条件に買収することで合意した 78。スターリンクを米国の主要携帯電話事業者へと押し上げる一歩だ。翌日、AT&Tとベライゾン・コミュニケーションズ+0.79% — ベライゾン・コミュニケーションズ, up 0.79 percent today、Tモバイル・USの3社は株式時価総額を合計500億ドル超失った 8。AT&Tの答えは収束(コンバージェンス)、光ファイバーと携帯電話をセットで売ることだ。そしてその答えには、資金がかかる。
最初の試金石は10月21日
AT&Tは10月21日、7~9月期(第3四半期)決算を発表する。あわせて米証券取引委員会(SEC)に提出する四半期報告書では、メキシコ事業を、買い手を待つ資産を意味する売却目的資産(ヘルド・フォー・セール)に分類し直す 12。株主が求めるのは、この簡素化が現金として手元に届くことだ。BNPパリバは、支払利息の削減効果を織り込んでも、撤退による純コストは年4億ドル近くに上るとみる 3。撤退で影響を受けかねない2027年のガイダンスは、フリーキャッシュフローを少なくとも190億ドルと掲げる 3。
AT&Tは2025年に194億ドルのフリーキャッシュフローを生み出した。つまりこのガイダンスは、キャッシュを手放しつつ昨年並みの水準を維持することを、ほぼ同社に求めている 9。メキシコでその穴を埋めるのはテレビサだ。同社のizziのブロードバンドとスカイ(Sky)のテレビ事業が、ようやくセット販売できる携帯電話網を手にする。残り半分はフィンテック・ホールディングスが保有し、メキシコ規制当局の承認を経て2027年1~3月期の取引完了を目指す 14。
2027年ガイダンスは2025年並みのフリーキャッシュフローを求める
- フリーキャッシュフロー
- Estimate
Data
| フリーキャッシュフロー | |
|---|---|
| 2020年度 | $28.4B |
| 2021年度 | $26.4B |
| 2022年度 | $12.4B |
| 2023年度 | $20.5B |
| 2024年度 | $18.5B |
| 2025年度 | $19.4B |
| 2027年ガイダンス (estimate) | $19B |
マージンはテレビサに、問いはAT&Tに
同部門の従業員1万8000人は、それまで業務は変わらず続くと伝えられた 2。セット販売のマージンを得るのはテレビサとフィンテック・ホールディングスだ。AT&Tの株主が得るのは、現金をめぐる問い。そしてAT&Tが引き受けたのは難しい方の仕事――経営の集中が現金に変わることの証明である。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.



