米Cipher Digital、8億5000万ドルの無利子転換社債を発行――利子は株式払い、Barber Lake費用は約8億ドル増

米Cipher Digitalは10月14日、2032年償還の無利子転換社債8億5000万ドルの発行条件を決定した。転換価格は15.31ドルで、10月13日終値の11.34ドルに対して35%高い水準。調達資金はBarber Lakeに充てる。テキサス州にある同施設の予算は約8億ドル膨らんでおり、利子は株式で支払われる。

原文を読む

Vincent JiangVincent Jiang · 3 min read
Share
テキサス州のCipherのデータセンター建設現場を上空から撮影した写真。大型の更地をならしている土木重機が写る
1 / 6Slide 1 of 6
テキサス州のCipherのデータセンター用地での土工作業。同社は2026年10〜12月期に支払期日を迎える初回のAI賃料が入る前にBarber Lakeを完成させようと、工事を急いでいる。

米Cipher Digitalは、もとはビットコインのマイニング(採掘)事業者だったが、いまはAIテナント向け産業規模データセンターの建設を主力とする。同社は10月14日、8億5000万ドルの転換社債の発行条件を決定した。発表から1日後のことである12。社債は無利子で、2032年11月1日に償還を迎える。私募方式で機関投資家に売却され、諸費用を差し引いた手取りは約8億3510万ドル、1億5000万ドル分の追加発行オプション(13日間)が行使されれば約9億8250万ドルになる見通しだ1。

投資家は1株あたり約15.31ドルで株式に転換できる。10月13日の終値11.34ドルに対して35.0%の上乗せだ1。株価は同日、11.21ドルと過去52週間の安値を付け3、9月25日のBarber Lakeリース延長発表時の18.74ドルから下げている2。発行条件決定日の株価は5%安の10.72ドル。売りは1%安にとどまったセクターETFではなく、株式希薄化を伴うAIデータセンター関連の個別銘柄に集中した4。

調達の裏にある費用超過

Barber Lakeは米テキサス州コロラドシティにあるCipherの30万キロワット規模のデータセンターだ。当初の予算は21億6000万ドルだったが、テナント側が設計変更を求めた結果、総事業費は29億4000万〜29億7000万ドルに膨らむ見通しとなった5。9月25日にテナントのFluidstackと大手AIラボと結んだ契約では、費用超過のうち最初の3億5930万ドルをCipherが負担し、それを超えた分の半額をテナントが20年にわたる追加賃料として払い戻す6。Cipherの純負担は3億7500万〜4億ドルになる見通しだ5。

見返りに、リース期間は2倍の20年に伸び、契約収益は38億ドルから90億ドル超へ拡大した。うち約52億ドルは、Cipherが名称を明らかにしていないAIラボによる10年間の利用確約分である6。初回の賃料は2026年10〜12月期に始まる6。それまでの間、資金は燃え続ける。4〜6月期の営業キャッシュフローは2億4400万ドルのマイナスで、直近8四半期のうち7四半期が赤字だった7。

Cipher、直近8四半期のうち7四半期で営業キャッシュフローがマイナス

-$0.3B-$0.2B-$0.1B-$0B$0.1B24年7〜9月期24年10〜12月期25年1〜3月期25年4〜6月期25年7〜9月期25年10〜12月期26年1〜3月期26年4〜6月期Barber Lakeへの支出が本格化し、資金の燃え(cashburn)が拡大
Data
営業キャッシュフロー
24年7〜9月期-$0.01B
24年10〜12月期-$0.03B
25年1〜3月期-$0.05B
25年4〜6月期-$0.06B
25年7〜9月期-$0.05B
25年10〜12月期-$0.05B
26年1〜3月期$0.09B
26年4〜6月期-$0.24B
米証券取引委員会(SEC)提出資料に基づく四半期別の営業キャッシュフロー(単位は10億ドル)。マイナスは本業で現金を消費したことを示す7

負担を背負うのは既存株主

利子ゼロはタダではない。Cipherはクーポンを株式で支払う。調達資金のうち約8970万ドルは、転換に伴う株式の希薄化を和らげる契約「キャップトコール(capped call)」の設定費用に充てる。ただし守れるのは株価28.35ドル、終値の150%までだ1。一方、2030年満期・クーポン1.75%の旧社債(残高1億6590万ドル)の保有者に渡る4070万株には、こうした守りがない14。直近終値の11.34ドルで換算すると約4億6200万ドルの価値に当たり、返済される債務のほぼ3倍だ。新転換社債が当初の転換レートで転換されれば、さらに約5550万株が加わる1。

今も確実に進む希薄化、全転換なら最大1億600万株

  • Estimate
0M shares20M shares40M shares60M shares2030年物社債の株式交換(確定)40.7M shares2032年物転換社債(転換時)55.5M shares追加発行枠1億5000万ドル(行使時)9.8M shares
Data
Value
2030年物社債の株式交換(確定)40.7M shares
2032年物転換社債(転換時) (estimate)55.5M shares
追加発行枠1億5000万ドル(行使時) (estimate)9.8M shares
単位は100万株。株式交換分は確定。残る2項目は、保有者が額面1000ドルにつき65.3211株という当初の転換レートで転換した場合にのみ発生する1

勝負を分けるのは初回賃料

強気見通しには根拠がある。20年にわたる契約賃料と、6月末時点で40億ドルの現金だ67。だが、これで13カ月の間に3度目の資金調達になる。これに先立つ2回は、2031年満期の無利子転換社債11億ドルと、クーポン7.125%の担保付社債17億3000万ドルの発行だった2。新債の決済は10月16日。保有者は満期より2年早い2030年11月1日に現金での償還を請求できる1。10〜12月期に予定されるBarber Lakeの初回賃料こそ、新株を発行した甲斐があったかどうかを占う材料だ6。

Deepdive

AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.

Reader comments

0 comments

    Sign up

    Get your curated digest

    After email confirmation, you will receive a daily digest of the most relevant news that matter to your portfolio