ElasticのDatadog挑戦、土台は自社採点のベンチマーク
Elasticは、自ら採点した数字を根拠にDatadogへの挑戦へ資金を注ぎ込んでいる。自社ラボによる最大30倍というベンチマーク上の主張と、収益約100万ドルのSRE(サイトリライアビリティエンジニアリング)エージェントを最大8500万ドルで買収すると報じられた取引だ。初の公開テストは10月8日に訪れる。
Vincent Jiang · 3 min read
争点:社内で値付けした陣取り合戦
Elasticは今月のオブザーバビリティー(可観測性)関連の投資家向け説明会で、メトリクス事業の拡大を売り込んだ。そこは、同社の最高経営責任者(CEO)自身が「歴史的に大きな存在感を持ってこなかった領域」と表現する市場だ2。目玉の数字はこうだ。クエリーはPrometheusやMimirより最大30倍、ClickHouseより8倍速く、ストレージはメトリクス1サンプルあたり約3バイトまで縮めたという12。ただし、これらの主張はいずれもElasticが自ら示したもので、第三者検証を受けていない1。ベンチマークの結果とコードはGitHubで公開されているが、手法は非公開だ13。リスト価格(定価)ベースでDatadogより約50%安いというコスト面の主張も、Elastic自身が公開したベンチマーク記事によるものだ3。この売り込みの速度数字はすべて、費用を出した当の会社自身が採点したものである。
唯一検証できる価格:最大8500万ドル
外部の金が実際に動いたのは、この買収案件だけだ。Elasticは2026年8月24日、Deductive AIの買収を完了した4。買収額は最大8500万ドルと報じられている5。Deductiveは2023年設立で、評価額3300万ドルのもとシード資金750万ドルを調達。年間経常収益は約100万ドルだった5。つまり、収益の約85倍にあたる倍率でエージェントを買う計算だ。顧客にはDoorDashやFoursquareが名を連ねる8。ただ、新たな上司となるオブザーバビリティー責任者のバハ・アザルミ氏は、どれだけの買い手が本番環境での実行を許すかについて「まだ何とも言えない」と話す3。CEOのアッシュ・カルカルニ氏は「自律的に検知し、調査し、修復を導ける本物のエージェント型SRE」の実現を目指して開発を進めている2。
売上高で2倍、成長率も2倍超――DatadogがElasticを引き離す
- Elastic
- Datadog
Data
| Elastic | Datadog | |
|---|---|---|
| 23年7-9月期 | $310.61M | $548M |
| 23年10-12月期 | $327.96M | $590M |
| 24年1-3月期 | $335M | $611M |
| 24年4-6月期 | $347.42M | $645M |
| 24年7-9月期 | $365.36M | $690M |
| 24年10-12月期 | $382.08M | $738M |
| 25年1-3月期 | $388.43M | $762M |
| 25年4-6月期 | $415.29M | $827M |
| 25年7-9月期 | $423.48M | $886M |
| 25年10-12月期 | $449.88M | $953M |
| 26年1-3月期 | $450.68M | $1,006M |
| 26年4-6月期 | $478.11M | $1,121M |
経営陣は投資家に「待て」と告げる
7月に終了した四半期の売上高は4億7800万ドルと、前年同期比15%増となった。約20億ドルへと引き上げた通期の業績見通し(ガイダンス)が、この攻勢の原資だ2。ただし、慎重な見方も同じく記録に残っている。導入は「ランプ型」(ramp style)で「販売サイクルはより長く」なり、ホッケースティック(急伸カーブ)にはならないという1。ガートナーの2026年版マジック・クアドラントでは、Datadogが6年連続、Dynatraceが16年連続で「リーダー」に位置づけられ、Elasticは3年連続にとどまる3。Datadogは自社の調査エージェントもすでに提供しており、売上高を2倍以上の速さで積み上げている3。オーストラリアのAI導入企業500社超を対象にElastic自身が実施した調査では、3分の1がAI予算を超過し、AIがリターンを生んだかどうかを追跡しているのは8%だけだった3。
Dynatraceは16年連続「リーダー」、Elasticの3年を圧倒
Data
| Value | |
|---|---|
| Dynatrace | 16 |
| Datadog | 6 |
| Elastic | 3 |
守りの論拠と、決着をつける日
強気シナリオ(Bull case)にも、実在の根拠はある。同カテゴリーのResolve AIは4月に評価額15億ドルを付けた5。これと比べれば、8500万ドルは割安なオプションだ。初期顧客のNorion Bankは、1か月分のストレージ費用の節約を「大幅」(substantial)と評価している1。さらに、アザルミ氏が4つ目の関門に挙げる「監査」(audit)は、既存大手なら誰も進んで用意しない、守りの効く行動記録(アクショントレイル)だ3。証明は10月8日、ニューヨークで開かれる「Elastic{ON} New York」で示される。ここではさらなるオブザーバビリティー関連の発表が約束されている1。見るべきは10~12月期のメトリクス収益であって、デモではない。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.



