ホンハイ過去最高の四半期益、その財源は自社のコスト削減

AIラックが初めてホンハイの売上高の過半を占め、営業利益は四半期として過去最高を更新した。だが売上総利益率は3年連続で下がっており、営業利益率の上昇分はすべてコストの分散効果で、価格によるものではない。2027年の天井は、ホンハイが所有しないTSMCのパッケージ(後工程)ラインが握る。

原文を読む

In this storyTSM2317.TWMSNVDA
Vincent JiangVincent Jiang · 3 min read
Share
台北で開かれた見本市「AMPA 2026」に出展したホンハイのブース。社名ロゴと、展示された電気バスや自動車の上に「World's Largest AI Server Provider(世界最大のAIサーバー企業)」と映し出されたスクリーン
1 / 7Slide 1 of 7
台北の展示会「AMPA 2026」のホンハイブース。同社はここで世界最大のAIサーバープロバイダーを名乗る。

8月売上高が過去最高 7~9月期も市場予想上回る見通し

ホンハイ(鴻海精密工業)は、7~9月期(第3四半期)の業績が市場予想を上回る見通しだと明らかにした1。8月の売上高は9218億台湾ドルで、前年同月比52%増と8月としては過去最高を記録した。直前の7月には月次売上高としての歴代最高を出したばかりだ12。

一つ手前の4~6月期は、市場が「ミックスシフト(製品構成の変化)の成功」と評する決算だった。売上高は41%増の2兆5300億台湾ドル、純利益は35%増の599億7000万台湾ドルと、アナリスト予想の582億2000万台湾ドルを上回った345。AIラック事業にあたるクラウド・ネットワーク部門が売上高の51%を占め、初めて過半を超えた。一方、iPhoneを担う部門は29%に低下した36。

下がる売上総利益率、上がる営業利益率

ホンハイが作った製品から得る取り分は縮み続けている。売上総利益率は6.12%で、1年前の6.33%を下回った。年間ベースでも2023年の6.30%、2024年の6.25%、2025年の6.15%と3年連続で低下している38。営業利益率は逆に3.75%まで上昇し、約9年半ぶりの高水準に達した。営業利益は948億台湾ドルで四半期として過去最高だ。それでも純利益率は2.37%に下がった378。

売上総利益率は3年連続で低下、営業利益率は毎期上昇

  • 売上総利益率
  • 営業利益率
2%3%4%5%6%7%2023年2024年2025年2026年1~3月期2026年4~6月期6.12%通期ベースはここまで、以降は四半期
Data
売上総利益率営業利益率
2023年6.3%2.7%
2024年6.25%2.92%
2025年6.15%3.2%
2026年1~3月期6.18%3.57%
2026年4~6月期6.12%3.75%
各比率は発表値(%)。2023~25年は通期、2026年は1~3月期と4~6月期の四半期ベースで、集計基準の切り替え地点は図中に記した。3,8

営業利益率を押し上げたのは経費削減

ホンハイは営業経費比率を公表していない。だがそれは、公表している二つの利益率の差として導ける。1年前は売上高の3.17%だったのが、今回は2.37%だ8。前年比の積み上げは一本道になる。製品側(売上総利益率)がマイナス0.21ポイント、膨らんだ売上高に経費を分散させる効果がプラス0.80ポイント、差し引きで営業利益率はプラス0.60ポイントという計算だ8。

売上総利益の伸びは36%で、売上高の41%増を下回った8。先にこの構図を指摘したのは経営陣自身だった。2025年3月、最高財務責任者(CFO)は、原因はサーバーの販売が増えているためだと説明した8。エヌビディアはTSMCのCoWoS生産量の約6割を握っており、その大半は2027年いっぱいまでの先約で確保済みだ。北米のハイパースケーラー(超大手クラウド事業者)5社が2026年のAIサーバー支出の9割近くを占める57。特需がホンハイに払うのはラック1基ごとの代金で、その値段は別の場所で決まる。

営業利益率の上昇分はすべて経費による

-0.5 pts0 pts0.5 pts1 pts製品(売上総利益率)-0.21 pts経費(営業経費比率)0.8 pts結果(営業利益率)0.6 pts
Data
Value
製品(売上総利益率)-0.21 pts
経費(営業経費比率)0.8 pts
結果(営業利益率)0.6 pts
2026年第2四半期の営業利益率への前年比寄与度(単位はポイント)。経費比率の棒は売上高に占める営業経費の低下分で、公表されている2つの利益率の差から導き出した8

強気筋にも根拠はある

日本の証券会社1社は、2026~28年の業績予想をそれぞれ12.8%、23.4%、24.9%引き上げ、目標株価も台湾ドル352から台湾ドル435に切り上げた8。公開された強気シナリオでは、今年の売上高を台湾ドル11兆、営業利益率を3.7%と見込む9。劉揚偉会長は、ラックの生産能力を2026年末までに週2000基へ倍増させると表明している8。

先の年になるほど引き上げ幅は大きい

  • Estimate
0%5%10%15%20%25%202612.8%202723.4%202824.9%
Data
Value
2026 (estimate)12.8%
2027 (estimate)23.4%
2028 (estimate)24.9%
日本の証券会社1社によるホンハイ業績予想の年別引き上げ幅(%、2026年9月)。推計値であり実績値ではない8

ホンハイには造れない天井

だが、そのどれもがCoWoSを買うことはできない。完成したGPUダイを出荷可能なラックにつなぐ、TSMCの後工程「パッケージ」がCoWoSだからだ。輪番CEO(最高経営責任者)のマイケル・チャン氏は、2027年の制約は需要ではなく半導体の供給だと明言した。量は「半導体の供給次第だ」と語った67。TSMCは2026年末までに月産12万5000~13万枚のウエハーを目標に掲げる。同社CEOはこのラインの2026年分は売り切れだと述べ、業界報道では9月も不足が続いているとされる710。モルガン・スタンレーの推計では、買い手側が組み立て業者を増やすなか、ホンハイのハイエンドAIラックのシェアは今年51%から39%へと低下する68。

台湾・新竹の夕暮れ。TSMCのFab12B棟がガラス張りの外壁を光らせ、車のライトの光跡が流れる道路の上に建つ
新竹のTSMC・Fab12B。ホンハイの2027年のラック数量に天井を敷くパッケージ(後工程)能力は、こうした工場のラインにある。ホンハイはその一本も所有していない。 · 曾成訓 (tsengphotos on Flickr), via Wikimedia Commons

2つの日付、1組の数字

月次売上高の発表は2026年10月5日だ。第3四半期(7~9月)の決算日は9月25日時点で未発表となる8。注目は1組の数字、売上総利益率と営業利益率である。総利益率が上向きに転じ、営業利益率も伸び続ければ、ミックスシフトが初めて値付けに成功したことを意味する。4年連続の乖離は、このモデルが量であり、ゼロに向かって縮む経費で支えられていることを意味する。

Deepdive

AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.

Reader comments

0 comments

    Sign up

    Get your curated digest

    After email confirmation, you will receive a daily digest of the most relevant news that matter to your portfolio