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ペイパル、新事業は消費者融資 60万6000ドルのロビー報告項目に信用規制も

48時間で出そろった3つの文書が浮かび上がらせるのは、縮小する決済事業を消費者融資に付け替えるペイパルの姿だ。同社自身のロビー活動報告書を見れば、その融資の価格付けを左右する規則をめぐる働きかけにも着手している。信用サイクルは、もはや味方ではない。

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Richard TangRichard Tang · 3 min read
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世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議、2023年1月)の5人パネルで、左から4番目の席に「ロレス」と書かれた名札を前に着席するペイパルのエンリケ・ロレス最高経営責任者(CEO)。
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世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)のパネル討論に出席するペイパルのエンリケ・ロレス最高経営責任者(CEO)=2023年1月

ペイパル−0.13% — ペイパル, down 0.13 percent todayはここへ来て、旧来の事業はもはや成長していないと認めた。新たな計画の軸は融資だ。しかも自社のロビー活動報告書は、その融資の価格付けを決める規則づくりに一役買っていることを示している。48時間で出た3つの文書が伝えるニュースはこれで、株主の保有物の中身を変える。決済ネットワークというより、景気循環が悪化すれば傷む消費者信用の貸出残高の色合いが濃くなる。

病名を口にしたのはCEO自身

10月19日にラスベガスで開かれた決済カンファレンス「マネー20/20」に登壇したのは、就任7か月目のエンリケ・ロレス最高経営責任者(CEO)だった。ロレス氏は「ペイパルは俊敏さが足りない」と述べ、管理の階層の多さが意思決定を遅らせてきたと語った。決済アプリ「ベンモ(Venmo)」や決済処理を手がけるブレイントリー(Braintree)は十分な注目も投資も受けられずにきた、とも指摘した1。同社はロレス氏の3か年計画の下ですでに人員削減に着手している。ブルームバーグと米ウォールストリート・ジャーナル紙は5月、世界の従業員を約2割減らす方針だと報じていた1。

ペイパルの売上高伸び率、24年初めの9%から直近四半期は4.8%に減速

0%5%10%23年10~12月期24年4~6月期24年10~12月期25年4~6月期25年10~12月期26年4~6月期4.8%
Data
売上高伸び率(前年同期比)
23年7~9月期8.4%
23年10~12月期8.7%
24年1~3月期9.4%
24年4~6月期8.2%
24年7~9月期5.8%
24年10~12月期4.2%
25年1~3月期1.2%
25年4~6月期5.1%
25年7~9月期7.3%
25年10~12月期3.7%
26年1~3月期7.2%
26年4~6月期4.8%
暦四半期ベースの前年同期比売上高伸び率(%)。直近の発表分にあたる2026年4~6月期までの12四半期。出所:ペイパル、米証券取引委員会(SEC)提出書類の四半期別数値(2026年10月21日取得)7

計画が目指すのは、ソフィ+1.60% — ソフィ, up 1.60 percent todayやチャイム−0.16% — チャイム, down 0.16 percent as of its last quoteに近い姿だ。ペイパルのアプリ利用者は4億人を超え、その中でも利用頻度の高い層はBNPL(後払い決済)や融資といった信用を求めている、とロレス氏は説明した。チェックアウト(決済)は残すが、位置づけは「補完」になる2。ただし厄介なことに、ロレス氏が将来の主戦場に据えるエージェント型コマース(agentic commerce)は、2028年まで有意な取引量を生まない1。それまでの間、株主が資金で支えている成長の正体は、信用だ。

信用サイクルはもはや味方ではない

信用主導への転換は、悪いタイミングでの消費者への賭けだ。10月14日に発表された基調インフレが予想を上回り、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加の金融引締め観測を強めたためだ6。ウォールストリートは、ロレス氏が語るより先にこれを織り込んでいた。BofA証券+0.32% — BofA証券, up 0.32 percent as of its last quoteはペイパルの評価を再開し、投資判断を「アンダーパフォーム」とした5。クリーブランド・リサーチも10月19日、ブレイントリーの動向の弱さを理由に「アンダーパフォーム」へ格下げした4。その疑念を最もはっきり映しているのが、5年間で約76%下落した株価だ1。

ペイパルが求めるルール

ペイパルが2026年7〜9月期に連邦ロビー活動へ投じた費用は60万6000ドルだった。10月19日付の届出には、活動課題として大麻関連の銀行取引とセーフ・バンキング法(SAFE Banking Act)、デジタル通貨、消費者信用、資金移動、消費者金融保護が並ぶ3。貸し手になろうとする企業が、融資の規制のあり方に強い関心を持つのは当然だ。ただ、どの課題にどれだけの資金が向けられたかは、届出には記されていない3。

消費者融資への転換を進める間、ペイパルの連邦ロビー活動費は四半期60万ドル前後

$0$200,000$400,000$600,000$800,0002025年7〜9月2026年4〜6月2026年7〜9月$606,000
Data
連邦ロビー活動支出
2025年7〜9月$570,000
2026年4〜6月$611,000
2026年7〜9月$606,000
四半期別の連邦ロビー活動支出(ドル)。引用した報道が対象とする3つの四半期分。ペイパルの2026年7〜9月期の届出は2026年10月19日提出。出所:The Marijuana Herald3

一方、売却をめぐっては、ペイパルがストライプとアドベント・インターナショナルから7月に受けた買収提案を検討していたものの、両社は8月に提案を撤回した、とブルームバーグが報じた。ロレス氏は登壇の場でこの件に触れなかった1。

焦点は貸出残高ではなく貸倒損失

次の決算発表に注目したい。自社ブランドのチェックアウトは出遅れ、ブレイントリーは価格競争で後れを取っている。これらに取って代わる消費者信用事業は、ペイパルが手がけうる事業の中で最も景気変動に左右されるものだ。ロレス氏が貸出残高だけでなく貸倒損失を示すまでは、株主の手元にあるのは立て直しではなく信用サイクルそのものである。

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