クアルコム、アップル穴埋めへデータセンター売上高を1年で16倍に
クアルコムの最高財務責任者(CFO)は、データセンター向け売上高が今期の約3億ドルから来年度には50億ドルへ急増し、データセンターと自動車で縮小するアップル分を「今後12カ月」ですべて埋めると説明した。アマゾンから入る最初の1ドルは10〜12月期まで待たねばならず、「最大600億ドル」の見出しの実態は、発注に応じて権利が確定する新株予約権だ。
Vincent Jiang · 3 min read
クアルコムのアカシュ・パルキワラ最高財務責任者(CFO)兼最高執行責任者(COO)は10月1日、アップルを失った後の会社の行方に数字と期限を与えた。来年度のデータセンター向け売上高は約50億ドル。今期は約3億ドルだ。縮小を続けるアップル向け事業は、本人の言葉を借りれば「今後12カ月以内に」データセンターと自動車ですべて置き換わる1。彼が数えているその会計年度は、すでに始まっている。
アップルの穴は今期に開く
離脱はもはや仮定の話ではない。アップル製品向け売上高は7〜9月期から10〜12月期へかけて約50%減る。新型iPhoneのモデムに占めるクアルコムのシェアも、想定していた2割を「著しく下回る」水準になる211。売上高全体は4〜6月期に前年同期比4%減の99億5000万ドルと、2期連続で前年を下回った34。スマートフォン向けチップ売上高は20%減3。
売上高は123億ドルでピークに、2期連続で減少
Data
| 売上高 | |
|---|---|
| 23年7〜9月 | $8.63B |
| 23年10〜12月 | $9.94B |
| 24年1〜3月 | $9.39B |
| 24年4〜6月 | $9.39B |
| 24年7〜9月 | $10.24B |
| 24年10〜12月 | $11.67B |
| 25年1〜3月 | $10.98B |
| 25年4〜6月 | $10.37B |
| 25年7〜9月 | $11.27B |
| 25年10〜12月 | $12.25B |
| 26年1〜3月 | $10.6B |
| 26年4〜6月 | $9.95B |
アマゾン契約の実態
9月8日のアマゾンとの契約には、「最大600億ドル」という見出しが付いた6。だが、クアルコムが提出した中身はもっと狭い。新株予約権(ワラント)は2500万株分。行使価格は1株161.26ドルで、約40億ドルに相当する。権利は、商用契約の締結と、アマゾンが2036年9月3日までにサーバー向け半導体などの技術を最大600億ドル購入するのに応じて、段階的に確定する57。
最初の売上は10〜12月期に計上される68。仕組みはThe Inferenceが9月27日に分析したものだ。クアルコムが自社株でアマゾンに支払い、アマゾンにクアルコムのチップを買ってもらう——そうした構造である。
「最大600億ドル」は上限、来期の目標は50億ドル
- Estimate
Data
| Value | |
|---|---|
| アマゾン購入上限(2036年まで) (estimate) | $60B |
| データセンター目標(2027会計年度) (estimate) | $5B |
| アマゾン向け新株予約権 | $4B |
| データセンター売上高(2026会計年度) | $0.3B |
すでに実在する部分
経営陣の主張には実質が伴う。2つのハイパースケーラーがすでに発注書を出しており、ウエハーの生産も始まっている8。メタは2028年からサーバー向けCPU「Dragonfly」を採用する5。
データセンター向け売上高の目標は2029会計年度までに150億ドルへと積み上がる。市場は1兆ドル規模で、クアルコムはその5%の獲得を目指す158。自動車向けは直近の四半期に売上高15億9000万ドルと過去最高を記録し、61%増となった3。最高経営責任者(CEO)のクリスティアーノ・アモンは7月、「われわれはいわば、データセンターでアップルを置き換えた」と語った2。
データセンター向け売上高、2029会計年度には50倍へ
- データセンター向け売上高
- Estimate
Data
| データセンター向け売上高 | |
|---|---|
| 2026会計年度 | $0.3B |
| 2027会計年度 (estimate) | $5B |
| 2029会計年度 (estimate) | $15B |
残る課題
自動車向けは実績のある柱だが、期末の年換算売上高で70億ドルから100億ドルへ伸ばすには2029年までかかる1。初めて手掛けるカスタムのサーバー向け半導体は、チップ部門の粗利益率を48〜50%という基準から1.5〜2ポイント押し下げる2。
参入も出遅れている。GPUの事実上の標準はいまだエヌビディアが握り、グーグルとメタのカスタムチップ採用枠はブロードコムとマーベル・テクノロジーが既に押さえている6。パルキワラ氏の反論は、演算処理はあらゆるワークロードにGPUを当てるかたちではなく、用途に特化した分解型・低電力の推論へと移っていくというものだ1。50億ドルという数字を検証する材料は、見出しの額面ではなく、このメカニズムの方である。
更新されたアップルとの特許ライセンス契約は2027年4月1日に発効し、2026年の新型投入で終わるモデム供給とは別枠だ10。バーンスタインの推計では、年15〜17億ドルの「通行料」が毎年入り続ける9。これはライセンス部門の話で、チップの売上高はそれでも去っていく。
最初の検証は11月4日
クアルコムは11月4日に決算を発表する。バーンスタインのステイシー・ラスゴン氏は、ライセンス契約の期間と条件に加え、10〜12月期の業績見通しが示される場になるとみる9。CFO自身の数字でいえば、年50億ドルの達成は四半期平均12億5000万ドルを続けることを意味する。現在のこの事業は四半期7500万ドル前後のペースだ1。この算術の答えを決めるのは、プレスリリースではなくアマゾンの発注台帳である。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.



