SAP、2030年12月31日で旧ERPからのシステム変換を打ち切り 残る道はゼロからの再構築のみ
SAPの最高技術責任者(CTO)がニュースリリースなしで公開したブログ記事が、「Business Suite 7」基盤が変換できなくなる日を示した。2030年12月31日、サードパーティー製データベースとJavaのサポート契約は拡張メンテナンスと運命を共にする。その後、SAPのクラウドへ至る道はゼロからの再構築しか残らない。
Vincent Jiang · 3 min read
期限の告知はブログ投稿1本
SAP+1.23% — SAP, up 1.23 percent todayのCTO、フィリップ・ヘルツィヒ氏は10月7日、自社のニュースサイトで終了日を公表した。ニュースリリースは出ていない。「Business Suite 7」のオプションとなる拡張メンテナンスが2030年12月31日に終了するとき、サードパーティー製データベースとJavaに関するSAPの再販・サポート契約も同じ日に失効する1。標準メンテナンスは2027年12月31日に終了する予定のままで、この日程は2020年以降いっさい動いていない1。動くのは、その下の配管だ。2030年以降、SAPはサポートチケットをデータベースベンダーに回さず、サードパーティー製データベース環境向けのカーネルやセキュリティーパッチも出さず、データベース関連ツールの提供も一切しないとしている1。
崖がサブスクリプション収益を潤す
餌を注ぎ込まれるエンジンはクラウド収益だ。第2四半期に22%増の63億ユーロと伸び、クラウドの受注残高(バックログ)は27%増の229億ユーロに達した。SAPは2026年のクラウド収益を258億~262億ユーロと見通しており、2025年の210億2000万ユーロから増える計算だ45。残る「Business Suite 7」の基盤こそ、注ぎ込む原料の最後の一山である。投稿はこれに対し、2030年末までに「SAP Cloud ERP」や「Autonomous Suite」への移行を終えるよう求めている1。
アメのわずか数日後にムチ
投稿が出たのは、クリスチャン・クライン最高経営責任者(CEO)が米ラスベガスで「SAPコネクト」の開幕を「Autonomous Suite」で飾った数日後のことだ。講演で同CEOは、SAP自身の従業員11万人が「Joule Work」を使い始めたことや、人事・財務・調達で20%超の生産性向上を遂げたと訴えた。一般提供済みのエージェントは200種類を超え、年末までに400種類を目指す。ノバルティス、ネスレ、PwCが顧客として名を連ねた23。クラインCEOは、Jouleが決算説明会の準備をあまりに見事にまとめてくれるため、「いったい誰にCEOが必要なのか」と問いかけたくなったと冗談めかした2。今回のブログ投稿が担うのは、この売り込みのもう半分だ。サードパーティー製データベース上の「Business Suite 7」からS/4HANAや「SAP Cloud ERP」へのシステム変換が可能なのは2030年末までで、それ以降はグリーンフィールド(新規構築)による再構築しか道はない。NetWeaver AS Java 7.5は2031年にカスタマー固有メンテナンス(customer-specific maintenance)へ移り、後継リリースは出ない1。
再構築は高くつく道
グリーンフィールド(新規構築)は長い道だ。グリーンフィールド方式のS/4HANA移行は平均20.2カ月を要し、システム変換の15.8カ月を上回る。米州のSAPユーザー団体ASUGの会員の68%は既に本番稼働済みか移行の途中で、そのうち62%は稼働から3年未満という6。取り残されるリスクを抱えるのは、まだ着手していない企業だ。そしてどの移行案件でも、最も高額な支払いの宛先はSAPではなくコンサルティング会社である。
S/4HANA移行の最大の取り分を得るのはシステムインテグレーター
Data
| Value | |
|---|---|
| パートナーとシステムインテグレーター | 37% |
| ライセンス | 28% |
| ホスティング | 20% |
| ビジネスケース構築 | 15% |
逃げ道には但し書きがつく
SAPが示した橋渡し策は「Transition Option for SAP ERP」だ。2031~33年に提供され、対象システムが2030年12月31日までにHANA基盤の「SAP ERP private edition」へ移行済みであることが条件となる。Javaに依存する機能は対象外だ 17。データベースをHANAに切り替えればサードパーティー製データベースへの依存は消えるが、崖は消えない。システムは結局、カスタマー固有メンテナンスに落ちる。それがビジネスの要となるシステムの持続可能な長期運用モデルではないと、SAP自身が認めているからだ 1。一方、ドイツ語圏のSAPユーザー団体DSAGのミヒャエル・ブロッホ理事は、あらゆる選択肢を包括的に評価した上で判断すべきだとの考えを示した。その表現が念頭に置いているのはサードパーティー・メンテナンスだ。ナスダック上場のリミニ・ストリート+1.59% — リミニ・ストリート, up 1.59 percent todayはSAP ECCと「Business Suite」のサポートを既に手掛け、「強制移行なし」を売り文句にしている 18。
注目すべきは基調講演ではなくカウントダウン
SAPは10月21日に第3四半期決算を発表する。そこで物を言うのは受注残高の売上転換だ 9。裏にある損得の構図は明白である。システムインテグレーターは2030年までの移行ラッシュを受注として確保し、データベースベンダーはSAPが再販してきたサポート収入という安定財源を失う。そして移行を見送ってきた企業は、そもそもシステム変換の権利そのものを失うのだ。SAPが売っているのは、もはやアップグレードではない。カウントダウンだ。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.



