米海軍の発注記録:極超音速ミサイル「ブラックビアード」、試作から7カ月で444発調達へ

米海軍航空システム司令部(NAVAIR)が新たに公開したスーパーホーネットの映像は、ハード面のニュースにすぎない。経済性を語るのは契約の記録だ。2026年2月以降の発注5件で、Castelionの極超音速ミサイル「ブラックビアード(Blackbeard)」は試作段階から444発の生産調達へと進んだ。1発あたり9万8000ドル換算で、輸出向けの条項もすでに契約に書き込まれている。

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Vincent JiangVincent Jiang · 3 min read
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荒天の雲の下、米空母ジョージ・ワシントンの飛行甲板に着艦する第103戦闘攻撃飛行隊(VFA-103)のF/A-18Fスーパーホーネット
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2023年、米空母ジョージ・ワシントンに着艦する「ジョリー・ロジャース」のF/A-18Fスーパーホーネット。NAVAIRが9月25日に公開した動画で翼の下に「ブラックビアード」2発を搭載していたのは、この複座機だ

2026年9月25日、米海軍航空システム司令部は、F/A-18Fスーパーホーネットの翼下に「ブラックビアード」2発を搭載したまま飛行する映像を公開した。飛行中の同兵器を捉えた公開映像としては、これが最も鮮明な1本だ1。内容はキャプティブ・キャリー(発射せず、ミサイルを搭載したままの飛行)で、ミサイルは飛ぶが撃たない2。映像のほうが小さい話だ。2月以降、米海軍はCastelionに5回の支払いを行っており、最後の発注額で計算すると、極超音速攻撃ミサイル1発あたり9万8000ドルに換算できる13。

5件の発注、7カ月、1つのミサイル

2026年2月、4990万ドル。「多任務・低コスト・大容量エフェクター(MACE)」計画に選ばれたばかりの「ブラックビアード」が、試作から早期運用能力(EOC)への移行を始めた14。4月、1億500万ドル。スーパーホーネットへの統合と空母運用適合性の取得が対象で、配備は2027年を目指す15。6月、2340万ドル。量産前の試作50発とその収納コンテナが調達対象だ6。

8月25日、8999万7162ドル。EOC用の弾体、正式計画(プログラム・オブ・レコード)への登録、そして同盟国向け販売のビジネスを契約に静かに組み込む「防衛輸出対応機能(Defense Exportability Features)」が内容だ16。9月14日には最大2億ドル――初の生産発注。まず4365万ドルで完全装備弾(AUR)444発分を発注36。「ブラックビアードは初日から生産ラインのために設計した」と、最高経営責任者(CEO)のブライオン・ハーギス氏は述べた6。

7カ月で発注5件、「ブラックビアード」は試作から生産へ

  • 米海軍の発注額
  • Estimate
$0M$50M$100M$150M$200M26年2月26年4月26年6月26年8月26年9月$90M初の生産ロット:444発
Data
米海軍の発注額
26年2月$49.9M
26年4月$105M
26年6月$23.4M
26年8月$90M
26年9月 (estimate)$200M ($43.65–200.00M)
いずれも発表済みの発注額。9月の生産発注は最大2億ドルの上限額で、初ロットはより少額の当初支出から始まっている。出典:The Aviationist、Defense Daily、Navy Times、The Defense Post、Castelion1,3,4,5,6

極超音速ミサイル、1発あたりの価格が急落

444発で計4365万ドル。1発あたり約9万8000ドルで、これは発注額そのものを割り算しただけの数字だ3。米海軍の2027会計年度の予算要求はMACEミサイル353発に1億5600万ドルを計上しており、1発あたりは約44万2000ドルとなる4。6月の試作弾の調達は、収納コンテナ込みで1発約46万8000ドルだった6。

その手法は、サプライチェーンの借り物だ。運転支援用に開発された車載グレードのプロセッサーは、航空宇宙用の同等品の約10分の1の価格で、納入は約6倍速い。水圧破砕(フラッキング)井戸向けに設計された精密鋼管が、航空宇宙グレードの金属の代役を務める7。創業者らは、同等のシステムの10分の1のコストで兵器を作り、ミサイル1発のコストを数百万ドルから数十万ドルに引き下げられると主張する8。

得をするのは民間、敗者は1発数百万ドルの価格モデル

得をするのは民間の側だ。Castelionは8月、シリーズCで10億ドルを調達し、企業評価額は130億ドルに達した。ラウンドはアンドリーセン・ホロウィッツ、カーライル、J.P.モルガンが共同でリードした。評価額は12月の28億ドルから上昇し、軍需契約としては5億ドル超をすでに手にしている89。一方の敗者は、1発につき数百万ドルを課す価格モデルだ。米海軍自身の発表は「アグレッシブな商業競争」をうたい4、ロッキード・マーティンの「ダークイーグル」は推計27億ドルを獲得したとされる一方、発数は公表されていない10。

初の生産ロット、報じられた目標価格を下回る

  • Estimate
$0k$100k$200k$300k$400k$500k6月の試作弾$468k2027会計年度MACE要求$442k報じられた本格量産目標$0–300k初ロット(444発)$98kすでに報道目標を下回る
Data
ValueRange
6月の試作弾$468k—
2027会計年度MACE要求$442k—
報じられた本格量産目標 (estimate)$300k$0–300k
初ロット(444発)$98k—
1発あたりの推定価格。発表済みの発注額を発注数で割って算出した。試作弾には収納コンテナが含まれる。目標価格は報道値であり、契約による数字ではない。出典:Defense Daily、Navy Times、Castelion、Defense News3,4,6,7

2027年に規模拡大、それともHALOの二の舞

一方の道は規模の拡大だ。5月には年間約500発を対象とする枠組み合意が結ばれ、Saronicの無人艇からの発射実証は2027年に予定される。輸出に必要な基盤もすでに契約に組み込まれている156。もう一方の道は、つい最近の経緯をなぞる。キャプティブ・キャリーの先は何も確定しておらず、性能数値も機密指定のままだ。米海軍が前回取り組んだ航空機発射型の極超音速兵器計画HALOは、レイセオンとロッキード・マーティンが数年間競い合った末、2024年に打ち切られた24。

注目は第2ロット

早期運用能力(EOC)の実現は2027年が目標だ15。見極めのカギは第2生産ロットの1発あたり価格で、第1ロットの9万8000ドルと比べてどうなるか3。この20年、計画を10億ドル単位で値付けしてきた分野が、初めての生産発注を1発9万8000ドルで受けたばかりだ。445発目がこの価格を維持できるか――そこに勝負のすべてがかかっている。

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