サンディスク株2100ドル、シティ「買い」の支えはマイクロン決算 自社ガイダンスは逆を向く

米マイクロン・テクノロジーのNAND売上高が前四半期比42%増となった翌日の10月1日、米シティグループはサンディスク株への投資判断「買い」と目標株価2100ドルを維持した。この外挿の真価が問われるのが10月29日の決算だ。ガイダンス(業績予想)が示す成長率は前四半期の3分の1にとどまり、7月締め四半期の営業キャッシュフロー71億ドルのうち28億ドルは、顧客からの預かり金と未払いの税金だった。

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Vincent JiangVincent Jiang · 3 min read
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サンディスク最高経営責任者(CEO)のデビッド・ゲックラー氏が、米国大使ラーム・エマニュエル氏とともに日米両国旗の前に立つ様子
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2023年4月、東京で当時の駐日米大使ラーム・エマニュエル氏(左)とともに写るサンディスクCEOのデビッド・ゲックラー氏(右)。ゲックラー氏は当時、まだマイクロンのCEOだった。

マイクロンの決算が「買い」を更新した

シティグループは10月1日、サンディスク株の投資判断「買い」と目標株価2100ドルを維持した。その前日にマイクロンはNAND事業で過去最高の141億ドルの四半期を記録していた12。根拠はこうだ。マイクロンのNAND売上高は出荷ビット量が約10%増、価格が30%近く上昇したことで前四半期比42%増となり、シティ自身が想定していた価格2割増を上回った。供給は2028年まで逼迫が続くとみられ、アナリストのアティフ・マリク氏は、データセンターがAIのキー・バリュー・キャッシュ(Key-Value Cache)処理をより安価なSSDにオフロードしていると指摘する1。

そもそもこの「買い」はマイクロンの決算発表より前から存在する。シティは9月9日にも同じ2100ドルを再提示していた3。サンディスク株の終値は10月1日が1728ドルだった1。同社は10月29日に2027年度第1四半期の決算を発表する4。

粗利率が示すのは市況であって、サンディスクではない

サンディスクはキオクシアとの合弁会社フラッシュ・ベンチャーズ(Flash Ventures)から、ウェハーをすべて原価に小幅なマージンを上乗せした価格で購入している5。そのため契約価格の上下はほぼ丸ごと粗利率に反映される。この仕組みの下、直近四半期の売上高は89億6500万ドルと前四半期比51%増、粗利率は84.6%に達し、増収の3分の2は価格によるものだった6。原価プラスのウェハーで粗利率84.6%という数字が示すのはNANDの価格であって、サンディスクではない。

第1四半期のガイダンスは103億~108億ドルで、前四半期比17.7%増を示唆する。前四半期ペースの3分の1だ46。調査会社トレンドフォース(TrendForce)は、前期に70~75%上昇した契約価格が今期は10~15%の上昇にとどまるとみる7。マイクロンは総売上高が31%増となった後、12月期のガイダンスを13%増とした2。買い手がいつでも離れていける消費者向けの売上高は、前期に32%減った6。

6四半期で19億ドルから89億7000万ドルへ ガイダンスが示す次の伸びは51%増ではなく18%増

  • 売上高
  • Estimate
$0B$5B$10B$15B25年度3Q25年度4Q26年度1Q26年度2Q26年度3Q26年度4Q27年度1Q予想$10.3–10.8B粗利率84.6%、増収の3分の2は価格
Data
売上高
25年度3Q$1.7B
25年度4Q$1.9B
26年度1Q$2.31B
26年度2Q$3.03B
26年度3Q$5.95B
26年度4Q$8.97B
27年度1Q予想 (estimate)$10.55B ($10.3–10.8B)
サンディスクのSEC(米証券取引委員会)提出資料に基づく四半期別の売上高(単位:10億ドル)。2026年度第1四半期は14週間の四半期だった。最後の棒は2027年度第1四半期のガイダンス103億~108億ドルの中間値で、ガイダンスの範囲とともに予想として表示した。出典:Sharadarの四半期別ファンダメンタルズ(サンディスクのSEC提出資料に基づく)、サンディスク2026年度第4四半期決算発表資料4,6,8

キャッシュの5分の2は他人カネ

第4四半期の営業キャッシュフローは71億2600万ドルだった6。うち20億9100万ドルは新ビジネスモデル(New Business Model、NBM)契約に基づいて計上した顧客からの前受金と返金可能な保証金で、このほか未払いの法人税が7億3000万ドル含まれる6。いずれも繰り返されない。サンディスク自身も、NBMによる前受金・保証金の影響額19億3800万ドルを差し引き、当四半期の調整後フリーキャッシュフローを50億3500万ドルとしている6。

営業キャッシュフロー71億ドルのうち28億ドルは保証金と未払い法人税

$2.09B 29.3%顧客からの前受金・返金可能な保証金$0.73B 10.2%計上済みで未払いの法人税$4.31B 60.5%その他すべての営業キャッシュ
Data
Part2026年度4Qの営業キャッシュフローShare
顧客からの前受金・返金可能な保証金$2.09B29.3%
計上済みで未払いの法人税$0.73B10.2%
その他すべての営業キャッシュ$4.31B60.5%
2026年度第4四半期(2026年7月3日終了)の営業キャッシュフロー71億2600万ドルの内訳。開示によれば、新ビジネスモデル(NBM)契約で計上した顧客からの前受金・返金可能な保証金が20億9100万ドル、未払いの法人税が7億3000万ドルで、いずれも繰り返されない。残りは差し引きで算出した。出典:サンディスク2026年度第4四半期決算発表資料6

貸借対照表には未払いの法人税12億8600万ドルが残る6。第4四半期に45億2400万ドルを買い戻したうえで、取締役会は自社株買いの総枠を155億ドルへと引き上げたばかりだ。その原資は営業キャッシュフローである56。

ガイダンスが天井なら、誰が代償を払うのか

アナリスト予想の平均は、会社自身が示した天井より上にある。売上高の予想平均は106億3300万ドル、1株当たり利益(EPS)の予想平均は46.11ドルで、44~46ドルというガイダンスの上限を突き抜けている4。ガイダンスが現実のものになれば、余剰は自社株買いと、598億ドルの購入確約分を握り、うち約19%は12カ月以内に引き渡せるNBM顧客に向かう56。

そうならなければ、損失を被るのは、6月の高値2354.39ドルからすでに約27%下落した水準で株を抱える投資家だ17。売買記録には、この3カ月で1億2140万ドルの内部者による株式売却が残っている910。それが疑念の表れか、資産の分散か、提出書類は語らない。決着をつけるのは10月29日の2つの数字——売上高が108億ドルの上限に届くか、粗利率が84.6%を保てるかだ。

Deepdive

AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.

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