エクセロンの発電所復活計画、米メリーランド州の料金負担の壁に直面
エクセロンは今週、メリーランド州の税還付分1億6000万ドルを顧客に返すと約束した。一方、電力会社が発電所を建て、費用を顧客の電気料金から回収できるようにする法案は、州都アナポリスで足踏みしている。規制当局の切り詰めが続いたこの1年が示すのは、誰が利益を得るかを決めるのはAI需要ではなく料金の天井だ、ということだ。
Vincent Jiang · 3 min read
同じ週に返金と「埋葬」
エクセロンは9月末、メリーランド州の税還付分1億6000万ドルを顧客に返還すると表明した。内訳はBGE(ボルチモア・ガス・アンド・エレクトリック)の家庭が1億1000万ドル、ペプコ(Pepco)が3000万ドル、デルマーバ・パワー(Delmarva Power)が2000万ドル 1。その数日後の10月1日、州公益事業委員会は、これらの電力会社が3年間の支出予測に基づいて料金を設定できるようにしてきた6年間の試みに、顧客への明確な利益はないとの判断で幕を引いた 2。返金が届くのは家計のひっ迫した世帯だ。6月にはBGEの顧客30万件が電気料金の支払いを滞っていた 3。
顧客を発電事業に引き込む法案
返金は、エクセロンのメリーランド州でのこの1年の「礼儀正しい半分」にあたる。2月、ケビン・ハリス州上院議員が、数週間のロビー活動でも法案を担ぐ他の議員が見つからないまま、手続き上の締め切りまで数時間という時点で同社の「アフォーダブル・エネルギー法(Affordable Energy Act)」を単独提出した 4。法案は、規制当局が少なくとも1社の電力会社に新規発電設備の建設を指示するもので、数十年続いた州の政策を逆転させる内容だ。費用に一定の利潤を上乗せした額は顧客の電気料金から回収する。草案で線を引いて消された文言は天然ガスを認めるもので、認められるのは蓄電池と州が承認した再生可能エネルギーだけとなった 4。州内最大の発電事業者であるコンステレーション・エナジー(Constellation)は、BGEは「その投資がメリーランド州の料金負担者の利益になるかどうかにかかわらず」保証された利潤を求めていると批判する 4。ビル・ファーガソン州上院議長は「一定の懐疑的な見方」があると明かす 4。
メリーランド州は2026年、天井を下げ続けた
州の他の部門もこの1年、同法案が越えねばならない天井を下げ続けた。5月12日に署名・成立した「ユーティリティ・リリーフ法(Utility RELIEF Act)」は、期中の料金精算を禁じ、データセンターの開発事業者には自らに必要な送配電網の増強費用を負担させる。これにより世帯の負担は年150ドル以上減ると推計される 2。8月には州公益事業委員会が、ペプコが求めた1億1990万ドルのうち5090万ドルしか認めず、変電所への支出1億6490万ドルは賢明(prudent)でないとして認めなかった 5。BGEによる月8ドル近くの値上げ要求は、いまだ未決だ 1。
メリーランド州の規制当局、エクセロンの直近3件の大型要求はおおむね半分しか認めず
- 申請額
- 認可額
Data
| 申請額 | 認可額 | Change | |
|---|---|---|---|
| BGE 事後精算(2025年12月) | 152.30 | 77.20 | -49.3% |
| ペプコ事後精算(2026年3月) | 30.60 | 13.36 | -56.3% |
| ペプコ料金審査(2026年8月) | 119.90 | 50.90 | -57.5% |
エクセロンには新たな資産クラス、コンステレーション・エナジーには縄張り争い
その果実は、送配電網にすでに四半期20億ドル超を注ぎ込む会社にとって、2つ目の成長エンジンだ。投資額は昨年末に24億ドルでピークに達した 6。エクセロンが再参入してぶつかることになる既存勢力、コンステレーション・エナジーのマーチャント発電(市場価格で売電する)設備は、2026年1~3月期だけで23億ドルの営業利益を稼ぎ出した 7。政治の空模様を決めたのは8月のウェス・ムーア知事だ。「一般のメリーランド州民が電気代を払う余裕もないのに、電力会社が不合理な利潤を得るべきではない」と述べた 5。
エクセロンの四半期設備投資、25億ドルへ迫る
Data
| 設備投資 | |
|---|---|
| 2024年7~9月期 | $1.7B |
| 2024年10~12月期 | $1.94B |
| 2025年1~3月期 | $1.95B |
| 2025年4~6月期 | $2.01B |
| 2025年7~9月期 | $2.14B |
| 2025年10~12月期 | $2.43B |
| 2026年1~3月期 | $2.36B |
| 2026年4~6月期 | $2.2B |
米連邦エネルギー規制委員会(FERC)でも同じ争い、焦点は1ドルの信用状
AI向け電力の資金を誰が負担するのか。この争いは連邦レベルでも起きている。9月22日、FERCはコメッド(ComEd)による送電契約の打ち切り申し立てを却下した。その契約が支えるのは、イリノイ州ジョリエットの180万キロワット(1.8ギガワット)・200億ドル規模のPowerHouse Hillwoodデータセンターで、当初の信用担保はわずか1ドルの信用状だった。デビッド・ラセルテ委員に言わせれば「恥ずべき法的擬制」だ8。FERCは訴訟を裁判所に委ね、大規模負荷をめぐるルールについて系統運用者に突きつけた理由開示命令(show-cause order)の回答期限を11月中旬に定めた89。
料金決定とFERCの期限、動かぬ法案
2月10日の提出以降、ハリス法案の行方を伝える報道は当デスクが確認できた限り見当たらない。エクセロンのCEOはといえば、8月下旬になっても電力会社による発電の再開を公に呼びかけ続けていた10。動向を占う手がかりは、保留中のBGEの料金決定と11月中旬のFERCへの提出期限だ。需要は機械のスピードでやってくる。許可は料金審査のスピードでやってくる。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.



