IBM、110億ドルのコンフルエント買収――着地したのは有機成長ゼロのソフト部門
米IBMは3月、コンフルエント(Confluent)の買収を1株当たり31ドル・総額約110億ドルの現金取引で完了し、ソフトウェア部門に組み込んだ。同部門の6月期(4~6月)は報告ベースで5%増、有機成長(オーガニック)はゼロだった。7~9月期の決算は、この部門の売上をIBMがどれだけ自力で取り、どれだけカネで買ったかを示すことになる。
Vincent Jiang · 3 min read
音もなく切られた110億ドルの小切手
ジェイ・クレップス氏は「世界のデータを動かす」を標榜してコンフルエントを創業した。そして3月、自らが共同創業した会社を、1株当たり31ドルの現金・企業価値で約110億ドルで売却した1。IBMは完了日を2026年3月17日とした。2025年12月8日に発表した取引で、自ら掲げた2026年半ばという目標より数カ月早い完了となる456。専門誌の扱いは、会議プレビュー記事に埋もれた一行だけだった3。
顧客6500社、売上高の11倍、それでも3億4500万ドルの赤字
コンフルエントには企業顧客が6500社超あり、米フォーチュン500企業の4割超に導入されている。アンソロピック、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)、スノーフレイクとの提携も持つ6。単独企業としての最終年度は売上高9億6360万ドル、最終損益は3億4500万ドルの赤字だった7。IBMはなお赤字の続く事業に対し、手元資金から過去12カ月の売上高の約11倍を支払った。買収は初年度に調整後EBITDA、2年目にフリーキャッシュフローを押し上げるという6。
ソフトウェア:前年は10.6%増、報告ベース5%増、有機はゼロ
ソフトウェアはIBMのエンジンだ。2025財年の売上高300億ドルは全体の44%を占め、成長率も10.6%増と、全体の7.6%増を上回った2。ところが6月期。ソフトウェアは報告ベースで5%増となったものの、経営陣は有機成長が横ばいだと説明した。顧客がサーバー、ストレージ、メモリーの購入を優先するなか、大型案件数十件がずれ込んだためという2。会社全体の売上高は1.1%増だった9。3月から連結しているコンフルエントは、報告ベースの数字には算入され、有機の数字には算入されない。
コンフルエントを連結しても、IBM全体の成長率は6月期に1.1%へ低下
Data
| 売上高前年比 | |
|---|---|
| 23年7~9月 | 4.6% |
| 23年10~12月 | 4.1% |
| 24年1~3月 | 1.5% |
| 24年4~6月 | 1.9% |
| 24年7~9月 | 1.5% |
| 24年10~12月 | 1% |
| 25年1~3月 | 0.5% |
| 25年4~6月 | 7.7% |
| 25年7~9月 | 9.1% |
| 25年10~12月 | 12.1% |
| 26年1~3月 | 9.5% |
| 26年4~6月 | 1.1% |
買収で稼いだ成長、引き下げた通期見通し
IBMソフトウェアの成長率:前年は10.6%、6月期は報告ベース5%、有機はゼロ
- ソフトウェア売上高成長率
- Estimate
Data
| ソフトウェア売上高成長率 | |
|---|---|
| 2025財年 | 10.6% |
| 2026財年6月期・報告 | 5% |
| 2026財年6月期・有機 | 0% |
| 2026財年見通し (estimate) | 7% (6–8%) |
6月期のソフトウェアの伸びは、そのすべてが買収によって加わった売上だった。経営陣は2026年のソフトウェア通期見通しを6~8%に引き下げ、7月22日の決算説明会の時点で、ずれ込んだ案件のうち約3分の1はすでに成立したと説明した28。株価は年初来22.3%安と、高値から31%下落した水準にある。PERは19.8倍で、S&P500種の21.4倍を下回る2。
古いデータではAIエージェントは動けない=IBM
IBMの主張はこうだ。AIエージェントは古いデータでは動けない。「AIの意思決定もトランザクションと同じ速さで行われる必要がある」と、ソフトウェア部門を統括するロブ・トーマス氏は語る1。その“証拠”となるのがコンフルエント自身の導入事例(会社側の自己申告)だ。Kafkaの運用で推定35%のコストを削減したミシュラン、30カ所以上の工場からデータをストリーミングするBMW――110。もっともな話だ。ただ、投資家が相場の判断材料にする唯一の数字、すなわち有機成長については何も語らない。
見極めは7~9月期の有機成長の数字
7~9月期のソフトウェア部門の有機成長が横ばいを上回れば、6月期からずれ込んだ案件は単なる延期だったと読める。横ばい以下なら、顧客の予算を先に食うのはいまだハードウェアだということだ2。IBM傘下で初めての「Confluent Current」は11月4~5日、サンフランシスコで開かれる。セッションは80を超え、プログラムはAIエージェントに大きく傾いている。主宰するのは、IBMでコンフルエント・アンド・データのゼネラルマネージャーを務めるショーン・クラウズ(Shaun Clowes)氏だ3。6月期のソフトウェア成長の5ポイントは、買って手に入れたもの。契約で獲得したものはひとつもない。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.



