マイクロン、過去最大350億ドルの自社株買い 1四半期分のキャッシュを充当
取締役会が10月8日に承認した買い入れ枠は、1四半期の調整後フリーキャッシュフロー(FCF)の100%に相当する。背後には2030年までの顧客契約1500億ドルが控える。ただ、メモリーが繰り返してきた市況循環、中国の供給攻勢、顧客側の借入コストは逆の見方を支持する。
Vincent Jiang · 3 min read
1四半期分の現金、株主へ
マイクロン−6.00% — マイクロン, down 6.00 percent todayの取締役会は10月8日、351億6000万ドルの自社株買いを承認した。メモリー半導体大手の同社としては史上最大の買い上げ上限枠で、翌日に年次報告書で開示した 12。マイクロンの株主にとって、この承認こそ「今回の市況はこれまでとは違う」という取締役会の信任投票だ。
枠の額は、2018年に設けた自社株買い枠の残額21億6000万ドルに、9月3日締め四半期の調整後FCFの100%分を加えたものだ。調整後FCFは、米連邦政府の半導体支援策であるCHIPS法の補助金収入と配当を差し引いた後のキャッシュを指す 23。つまりこの枠は、事実上、1四半期で稼ぎ出したキャッシュの総額そのものだ 1。
規模も異例だ。2019会計年度から2026会計年度までの全期間で、同社が自社株買いに投じた額は計78億4000万ドルにとどまる 1。CHIPS法はマイクロンの米国内工場への補助金として最大64億ドルと結び付いており、その条件により、2年間は従業員への株式報酬を相殺する範囲でしか買い入れが認められなかった。買い入れの開始が2026年12月9日となるのはこのためで、その後3年間もFCFに連動する上限が続く 12。
マイクロンの四半期売上高、11四半期で47億ドルから542億ドルへ
Data
| 四半期売上高 | |
|---|---|
| 23年10~12月 | $4.73B |
| 24年1~3月 | $5.82B |
| 24年4~6月 | $6.81B |
| 24年7~9月 | $7.75B |
| 24年10~12月 | $8.71B |
| 25年1~3月 | $8.05B |
| 25年4~6月 | $9.3B |
| 25年7~9月 | $11.32B |
| 25年10~12月 | $13.64B |
| 26年1~3月 | $23.86B |
| 26年4~6月 | $41.46B |
| 26年7~9月 | $54.23B |
小切手を切った四半期
9月期の売上高は542億3000万ドルで、前年同期比379%増。粗利益率は86.8%だった 28。設備投資を差し引いて残るキャッシュである調整後FCFは332億ドルで、1年前の8億300万ドルから一気に膨らんだ 1。2026会計年度は売上高1331億9000万ドル、純利益849億7000万ドルで幕を閉じ、DRAMの平均販売価格は年間を通じて約180%上昇した 23。
その土台にあるのは契約群だ。2030年までの残存履行義務は26件・約1500億ドルに上り、見込み売上高の35%超をカバーする 4。いずれもテイク・オア・ペイ(take-or-pay)契約で、顧客は最終的にチップが不要になっても、契約した数量の代金を支払う義務を負う 4。契約上の価格下限は、最高財務責任者(CFO)のマーク・マーフィー氏によれば「過去どのサイクルのピーク時利益率よりも相当に高い」水準にある 4。
イーロン・マスク氏は今週、マイクロンについて「今後のメモリー価格については良心的だった。他社は法外だった」と投稿した 45。サムスン電子はその数日前、四半期営業利益が過去最高の107兆4000億ウォン(約802億ドル)との見通しを示した 6。マイクロン、サムスン電子と並ぶメモリー半導体大手3強のもう一角、SKハイニックス−6.61% — SKハイニックス, down 6.61 percent todayも8月に40兆ウォンの自社株買いを発表した 7。
マイクロンの粗利益率、11四半期でマイナスから86.8%へ
Data
| 粗利益率 | |
|---|---|
| 23年10~12月 | -0.7% |
| 24年1~3月 | 18.5% |
| 24年4~6月 | 26.9% |
| 24年7~9月 | 35.3% |
| 24年10~12月 | 38.4% |
| 25年1~3月 | 36.8% |
| 25年4~6月 | 37.7% |
| 25年7~9月 | 44.7% |
| 25年10~12月 | 56% |
| 26年1~3月 | 74.4% |
| 26年4~6月 | 84.6% |
| 26年7~9月 | 86.8% |
サイクルは繰り返す
同じ会社が粗利益率をマイナスに沈めたのは、わずか11四半期前のことだ8。市場はすでにサイクルの転換を織り込みつつある。年次報告書の提出後、最初の取引日に株価は約4%下落した。6月につけた高値からは21%下の水準にとどまる。従来型DRAMの契約価格は今四半期もさらに10~15%上昇するとの見方があるにもかかわらず、である2369。
同じ週、イーロン・マスク氏は中国のLPDDR5とLPDDR6の進展を称賛していた。供給不足に終止符を打つモバイル向けメモリーの供給である45。買い手に融資する側もたじろぎを見せている。借入金で設備投資を賄うAIデータセンター運営会社、コアウィーブ−12.18% — コアウィーブ, down 12.18 percent todayが6月に発行した社債は利回りが9.675%から15%へと上昇。9finのアナリスト、マックス・フルームス氏はこれをAIクレジット(信用)の「炭鉱のカナリア」と呼んだ10。
12月9日が節目となる。新たな買い上げ上限枠による最初の買い上げが始まる日だ。その裏には、約615億ドルの10~12月期の売上高ガイダンスと、フリーキャッシュフロー(FCF)が前四半期を「大幅に上回る」というマーフィーCFOの約束がある1211。UBSの強気シナリオでは、2029年までの累積FCFが4,000億ドルを超える11。一方、サイクル・シナリオを示すのは上の粗利益率チャートそのものだ。マイクロン、サムスン電子、SKハイニックスはそろってブームがもたらす現金をため込む。そのチップを買うクラウド各社は、借金をしてまで購入している。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.



