マイクロソフトの意思決定モデル、入力100万トークン当たり0.042ドル 基盤はアリババの無償Qwen、入れ替えへ

マイクロソフトは10月9日、意思決定モデル(decision model)「Microsoft-Decision-1」の一般提供を開始した。価格は入力100万トークン当たり0.042ドル。基盤にはアリババグループの「Qwen3.5-9B」のウェイト(学習済みパラメータ)を使い、マイクロソフトの負担はゼロだ。基盤を開発した企業は米情報機関の勧告で名指しされており、マイクロソフトはすでに基盤の入れ替えを表明している。

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Vincent JiangVincent Jiang · 3 min read
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テクノロジー会議「RISE」のステージで講演するアリババグループのジョー・ツァイ会長
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香港で開かれたテクノロジー会議「RISE」で講演するアリババグループのジョー・ツァイ会長(2017年)。会長が進めるオープンウェイト(無償公開のウェイト)戦略こそ、Qwenが他社モデルの中身として使われることの論拠だ

アリババの無償ウェイトがマイクロソフトの名を借りる

米マイクロソフト+0.42% — 米マイクロソフト, up 0.42 percent todayが新しく出した最も安いAIモデルは、中国の研究所が無償公開したオープンウェイトにマイクロソフトのバッジを付けたものだ。「Microsoft-Decision-1」は10月9日に一般提供を開始した。文章を書く代わりに、あらかじめ決めた選択肢ごとに確率を返すモデルで、顧客の問い合わせの振り分けや、AIエージェントが提案する行動の採点に向けて開発された1。中身の土台はアリババグループ−1.36% — アリババグループ, down 1.36 percent todayの「Qwen3.5-9B」だ。90億パラメータのオープンウェイトモデルで、公開データと合成データで再学習し、推論1回で選択肢に点を付けられるようにした12。3週間前にJevが登場して以降、注目を競う意思決定モデルは100を超えた。その中でも特に目立つマイクロソフトとH2O.aiの2つは、中身がQwenだ3。

価格は米オープンAIを下回る

Decision-1の価格は入力100万トークン当たり0.042ドルで、出力は無料だ。テキスト分類ではオープンAI$1.18T — オープンAI, private, latest valuation $1.18Tの「GPT-6 Sol」の20分の1未満で、同社の意思決定用エンドポイント「Luna Decisions」の入力価格の半分にも満たない123。マイクロソフトは自社の36ベンチマーク比較で最高の精度を主張する。14万7137問で83.5%だったといい、キャリブレーション(確率の較正)スコアは92.2で、Jevの93.7には及ばない12。目を引く速度のうたい文句「GPT-6 Solの約35倍」は汎用モデルとの比較であり、意思決定モデルの「GPT-6 Luna Decisions」と比べると、同じ公表値からは約3.5倍になる1。

マイクロソフト公表の85ミリ秒、第三者測定では459ミリ秒

0 ms1,000 ms2,000 ms3,000 ms4,000 msDecision-1(マイクロソフト測定)85 msDecision-1(JevBench測定)459 msJev 1.13.0240 msQuyet-1.0-Large380 msGPT-6 Sol3,010 ms約35倍という主張はこれ(GPT-6 Sol)との比較で、意思決定モデルではない
Data
Value
Decision-1(マイクロソフト測定)85 ms
Decision-1(JevBench測定)459 ms
Jev 1.13.0240 ms
Quyet-1.0-Large380 ms
GPT-6 Sol3,010 ms
応答時間の中央値(ミリ秒)。マイクロソフトの85ミリ秒はFoundryの同一リージョン内で測定した値。競合モデルの数値は同社の36ベンチマーク比較に基づく「JevBench v1.6.1」の調整済み中央値を使う。JevBenchによるDecision-1の459ミリ秒は、2026年10月10日にAzure Foundry経由で実施した独自テスト(124リクエスト)の結果で、設問もネットワーク経路も異なる。出典:Xenospectrum [1]1

マイクロソフト、自ら「期限」を公表

マイクロソフトは、Decision-1の基盤モデルを「まもなく」自社の「MAI」モデルとオープンAIのモデルに置き換えると明らかにした。理由は示していない32。この低価格を支える基盤モデルはマイクロソフトにとって無料だが、今は終了日まで明示されている。代わりにアリババグループが手にしているのは普及と、安全保障当局のファイルだ。9月9日、米国家安全保障局(NSA)、米連邦捜査局(FBI)、米サイバーセキュリティ・安全保障局(CISA)は、2024年後半以降に米国の最先端モデルを産業規模で蒸留(ディスティレーション)している中国企業6社の中にアリババグループを名指しし、同社が2025年後半にClaudeとGPT-5を蒸留してQwenファミリーの性能向上に使ったと非難した45。Anthropic$350B — Anthropic, private, latest valuation $350Bは9月の報告書で、2026年5~7月にアリババグループによる蒸留活動が1億5100万件を超えたと指摘した。6社はいずれもコメントの求めに応じておらず、疑惑は依然として争われている6。

アリババグループの設備投資は3倍の182億ドルに 2026年3月期の営業利益は62.5%減

  • 営業利益
  • 設備投資
$0B$5B$10B$15B$20B2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期2026年3月期$18.21B
Data
営業利益設備投資
2021年3月期$13.69B$6.27B
2022年3月期$10.99B$8.41B
2023年3月期$14.61B$4.9B
2024年3月期$15.7B$4.39B
2025年3月期$19.42B$11.51B
2026年3月期$7.27B$18.21B
単位は10億ドルで、3月31日締めの会計年度。アリババグループが米証券取引委員会(SEC)に提出した資料(2026年10月11日取得)による全社ベースの数値[7]。2026年3月期の営業利益にはAI支出の急増が反映されており、クラウド部門単体の数値ではない7

Qwenを支える出費は決算にも表れている。アリババグループの設備投資は2026年3月期に182億ドルに達して58%増となり、全社ベースの営業利益は62.5%減の73億ドルに落ち込んだ7。ジョー・ツァイ会長によれば、AIの構築にはEC(電子商取引)事業のフリーキャッシュフロー(FCF)のうち年間約250億ドルを充てており、インフラ向け設備投資は3年連続で倍増しているという8。

普及こそアリババグループの切り札

無償のウェイトは、いずれクラウドを購入するエコシステムに種をまく。需要はすでに目に見える形で現れている。Ecosiaは今週、品質問題とサーバーの過負荷を理由にMistral AIの利用を取りやめ、自社の検索AI向けにQwen、GLM、Kimiの採用を比較検討している9。ツァイ会長は先週、トリノでの聴衆に向けて、オープンソースこそ欧州がAI主権に至る唯一の道だと売り込んだ8。だが、オープンウェイトは諸刃の剣でもある。ツァイ会長自身が説明した通り、誰もがレシピを手に取り、再学習し、元の開発者への依存を断つことができる。マイクロソフトが事前に予告したのは、まさにそれだ8。

行方を決めるもの

残る疑問は、マイクロソフトによる基盤モデルの置き換えや米国の政策措置で無償での提供が終わる前に、Qwenの普及をアリババクラウドの収益に転化できるかどうかだ。答えは、アリババグループの次の四半期決算と、マイクロソフトが置き換えの実施日として示す日付が教えてくれる。無料は採用される。対価は払われない。

Deepdive

AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.

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