力積電子製造、最高売上の持続を自ら保証せず 最新ファブを米マイクロンに18億ドルで売却
台湾の半導体受託生産(ファウンドリー)大手は台湾証券取引所に対し、強気の売上高見通しについて「メディアの憶測」だとコメントしなかった。3日後に株価は6.76%下落し、同業の半導体株はそろって上昇した。過去最高の数字は事実だ。ただ、それが続くと自ら約束しないという点の方が、より多くを物語っている。
Richard Tang · 3 min read
経営自身、自社の好況を保証しなかった
力積電子製造(PSMC)は台湾のファウンドリー(半導体受託生産)で、島内の成熟ノード(旧世代)向けチップの生産能力の多くを担う。同社は10月12日、台湾証券取引所に届け出て、売上高が今年は毎四半期、前四半期比2桁で伸びるという新聞報道について、「メディアの憶測」だとしてコメントしない考えを示した1。届け出が裏付けたのは、「良好な業界環境を反映して」第1~3四半期の売上が毎期増加していることだけだ1。
3日後、同社株は6.76%安で終えた。一方、他の台湾半導体メーカーである聯華電子(UMC)、華邦電子(Winbond)、旺宏電子(Macronix)の3社はいずれも5~6%上昇した1。当日の材料に、この明暗を説明するものは見当たらない。変わったのは、投資家が取引の前提にしていた成長ストーリーから、会社自身が距離を置いたことだ。
過去最高の月次売上高は事実、ただし主因は価格
9月の純売上高は76億台湾ドル強と過去最高を更新し、前年同月のほぼ2倍となった。その要因として届け出が挙げるのは、顧客需要の増加、数量の増加、価格引き上げの3点だ12。7~9月期の売上高は4~6月期比で約23%増えた1。4~6月期は売上高・利益の両面で市場予想(コンセンサス)を上回った3。
2026年は毎四半期、過去最高を更新
Data
| 純売上高 | |
|---|---|
| 2026年1~3月期 | NT$13.57bn |
| 2026年4~6月期 | NT$17.29bn |
| 2026年7~9月期 | NT$21.35bn |
原動力は価格だ。PSMCは一部製品で最大40%の値上げを求めていると報じられている4。背景にあるのは、AIサーバーの電力需要の高まりだ。電源管理チップやマイコン(マイクロコントローラー)の買い手は、世界最大のファウンドリー、台湾半導体製造(TSMC)−2.33% — 台湾半導体製造(TSMC), down 2.33 percent todayが一部から撤退した生産能力に流れ込みつつある。IC設計企業によると、値上げを見越して発注を前倒しする顧客が一部で出てきており、これは幅広い回復ではないという5。
2026年はほぼ毎月、売上高が上昇
Data
| 月次純売上高 | |
|---|---|
| 1月 | NT$4.62bn |
| 2月 | NT$4.22bn |
| 3月 | NT$4.73bn |
| 4月 | NT$5.05bn |
| 5月 | NT$5.77bn |
| 6月 | NT$6.47bn |
| 7月 | NT$6.67bn |
| 8月 | NT$7.01bn |
| 9月 | NT$7.67bn |
PSMC、好況を生んだファブを売却へ
同社は3月、2024年に開設した銅鑼P5ファブを、メモリー専業の米マイクロン・テクノロジー−6.00% — 米マイクロン・テクノロジー, down 6.00 percent todayに18億ドルで売却することで合意した。マイクロンは、メモリーの主力であるDRAMについて、同拠点での本格的な生産を2027年下期に見込んでいる。PSMCは低マージン製品を段階的に廃止する方針も示した61。

次の新たな生産拠点は、企業集団のタタグループとインドで共同建設を進めるドーララのファブだ。月産5万枚のウエハーを28~110ナノメートルのプロセスで手掛け、生産開始は早くとも2028年になる見通しだ7。一方、マイクロンはPSMCが手を引こうとするメモリー不足の果実を手にすることになる。台湾のメモリー業界は、この不足が2027年まで続くとみている1。
アナリストはなお、力積電が約束しない成長を織り込む
アナリスト5人が「買い」判定を示しており、平均目標株価は99.72台湾ドルに対し、終値は66.20台湾ドルだ81。外国人投資家は8月31日、台湾証券取引所でPSMCを最大の買い越し銘柄とした。9月18日も、外国人投資家の資金をPSMCより多く集めたのはアクティブ運用のETFだけだった1。
この目標株価に必要なのは、まさに会社が語るのを避けた点──価格が維持されること──だ。値上げを嫌って顧客が前倒しで買う場合、今期の売上高の一部は、本来なら来期の分の前借りにほかならない。第3四半期決算の発表は10月14日で、株価が下落したのはその翌日だった。決算が数量ではなく価格について何を語るかが、注目のポイントとなる3。
最も新しいファブを市況の頂点で売り抜ける──力積電の振る舞いは、景気循環がやがて反転すると見込む企業のそれだ。強気筋はいま、経営陣自身が約束を拒んだブームの保証人になろうとしている。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.



