シリコン・ラボラトリーズ買収のさや9.06ドル、鍵を握るのは北京
テキサス・インスツルメンツ(TI)はシリコン・ラボラトリーズ(Silicon Labs)株を1株231ドルで買い受ける契約を結んでいる。市場価格は221.94ドルだ。米国の独占禁止法審査は5月に終了した。残る審査は北京にあり、報道によれば、中国の市場監督当局は6月11日時点でも企業結合の届出を正式に受理していない。9月10日に伝わった第2段階審査への移行も、裏付けは取れていない。
Vincent Jiang · 3 min read
シリコン・ラボラトリーズ株は10月7日、221.94ドルで取引を終えた4。テキサス・インスツルメンツ−0.03% — テキサス・インスツルメンツ, down 0.03 percent todayとの契約が定めるのは1株231.00ドルの現金払いだ1。この差9.06ドルは、米国の独禁審査をすでに終えた統合の決着を待つ間に、裁定取引筋が受け取る報酬である3。
9.06ドルのさやこそ取引のすべて
TIは2026年2月4日、1株231.00ドルでの買収に合意した。企業価値は約75億ドル。買収資金は手持ち現金と借入で賄い、資金調達の成否を条件とする条項は付かず、完了は2027年上半期の見通しだ1。株価は10月1日に222.51ドルの史上最高値を付けたが、それでも提示価格には及ばない10。221.94ドル時点の差額は、231ドルの提示価格で測れば3.9%、終値で測れば4.1%に当たる。待ち期間はTIが2027年半ばまでと上限を設けており、6月末まで続けば年率換算で約5%になる14。
障害の所在は報道が指す先ではない
「新たなつまずき」を伝える報道は、米ハート・スコット・ロジノ(HSR)法審査とブリュッセルを注視せよと読者に促す7。だが、シリコン・ラボラトリーズが自ら提出した開示資料によれば、米国の待機期間は5月22日午後11時59分(米東部時間)に満了済みで、残るは他当局の承認だ3。未了のまま残る審査案件は北京にある。報道によると、中国の市場監督当局は6月11日時点でも企業結合の届出を正式に受理していない5。両社がともに回答しなかった9月10日の報道は、当局が業界の意見聴取を経て第2段階審査の準備を進めていると伝え、この過程で中国企業1社が値上げと抱き合わせ販売を訴えたという6。
破談コスト、契約書が定める値段
提示価格は68%のプレミアム(上乗せ)だった。逆算すると、合意前の株価は137ドル前後になる。実際、発表前日の売買値もおおむねその水準だった75。契約書は破談というテールリスクの値段まで決めている。規制上の理由で破談となれば、TIはシリコン・ラボラトリーズに4億9900万ドルの解約金を支払う。最終期限(アウトサイドデート)は2027年2月4日で、2027年8月、さらに2028年2月へと延長される2。アナリスト8人の目標株価は平均222.86ドルで、最高値はちょうど231ドルだ4。ウォール街は提示価格を天井と値付けしている。
上端には9ドルのさや、下には137ドルの破談水準
- Estimate
Data
| Value | |
|---|---|
| 合意前終値(約137ドル) (estimate) | $137 |
| 2026年10月7日終値 | $221.94 |
| アナリスト平均目標株価 (estimate) | $222.86 |
| TIの現金提示価格 | $231 |
単独経営の下限は成長する、それでも赤字が続く
第2四半期の売上高は2億2819万ドルで18.3%増となった。ただしGAAP(米国会計基準)ベースの営業損失は1070万ドルで、業績見通しは買収成立まで停止している4。過去12カ月の売上高は8億5590万ドル(21.7%増)で、売上高総利益率は60.6%、営業損失は売上高の5.1%に相当する8。単独経営ケースをめぐる唯一の新たな証拠は、その終値と同じ10月7日に登場した。Simplicity AI SDKの公開ベータ版で、これによりGitHub CopilotやCursor、CodexがBluetooth LEのプロジェクトを設定・ビルド・書き込み(フラッシュ)できるようになる。2027年1月には「Hardware Intent」エージェントのアルファ版も登場する予定だ9。
6四半期連続の増収、営業損益は一度も黒字化せず
- 売上高
- 営業損益
Data
| 売上高 | 営業損益 | |
|---|---|---|
| 2024年Q1 | $106.38M | -$59.13M |
| 2024年Q2 | $145.37M | -$48.02M |
| 2024年Q3 | $166.4M | -$29.71M |
| 2024年Q4 | $166.25M | -$28.63M |
| 2025年Q1 | $177.71M | -$32.08M |
| 2025年Q2 | $192.85M | -$22.87M |
| 2025年Q3 | $206M | -$12.34M |
| 2025年Q4 | $208.21M | -$3.25M |
| 2026年Q1 | $213.5M | -$17.08M |
| 2026年Q2 | $228.19M | -$10.67M |
取引はおそらく成立する、それがポイントだ
買い手の決意は固い。資金調達の成否を条件とする条項はなく1、合意を破棄すれば4億9900万ドルの解約金(ブレークフィー)が発生する2。TIは統合完了後3年以内に年間約4億5000万ドルのシナジー(相乗効果)を見込む1。中国はこれまでの半導体案件では、拒否するよりも条件を付けることが多かった5。
待機の行方を決める3つの日付
まず、北京が企業結合の届出を受理した兆候が出ないか注視したい。受理されれば、さやは2ドル前後まで縮むはずだ5。次は11月3日の第3四半期決算で、業績見通しの公表を取りやめて以来、初めての発表となる4。最後は1月に予定される「Hardware Intent」エージェントのアルファ版だ9。中国の沈黙が手続きなのか、交渉のカードなのか。市場はその答えを3.9%で買っている。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.



