SMIC、北方工場の残り49%取得に55億8000万ドル 中国はエヌビディアへの門戸再開
SMICは未保有だった中芯北方株49%を55億8000万ドルで買い増した。設備はほぼフル稼働、中国のAIハードウェアが経験した最悪の四半期の終わりという時点での決断だ。同じ週、中国政府は大手買い手がエヌビディア製チップをどれだけ欲しているか数え始めた。この「需要のメーター」が、買収価格の前提となる需要を反転させかねない。
Richard Tang · 3 min read
SMIC(中芯国際集成電路製造)は中芯北方の未保有分49%の株式買取を完了した。支払ったのは55億8000万ドル。今年の中国A株市場では最大級の買収案件の一つで、北方の製造子会社を完全に手中に収めた1。完了のタイミングは、まさにこの手のトレードを直撃する四半期と重なった。中国の半導体・AIハードウェア銘柄の組入れ比率が最も高い指数である科創50と創業板(ChiNext)は6月末から約30%下落し、直前3カ月で75%上昇した急騰の大半を吐き出している4。手を引いた少数株主はサイクルの頂点で固定価格を確保した。SMICに残る株主が背負うのは、統合リスクとこのタイミングだ。
買収の事業合理性は本物
SMICの決算は、純粋に業績面からでも統合を正当化できる。2026年4~6月期の売上高は初めて30億ドルの大台に乗り、30億600万ドルで前期比20.0%増だった。粗利益率は25.3%、設備稼働率は93.7%に達している2。稼働率がほぼ満杯であること自体が、生産能力は「作る」より「買う」べきだという論拠になる。買い手は建設を待つ間もなく、許認可も顧客も量産済みの工場も引き継げる。審査緩和を背景に中国の産業系買い手が今年、水平統合型のM&Aに傾いているのはそのためだ1。7~9月期のガイダンスは、売上高が前期比2~4%増、粗利益率が26~28%2。稼働率93.7%でこの目標域を満たすなら、最も筋が通るのは価格だろう。数量をさらに売る余地はほぼ残っていないためだ。ただ、どう届けるかをSMICは明かしていない。
通信社が見落とした「需要のメーター」のリスク
買収が完了した同じ週、中国工業情報化部(工信部)はアリババグループ、バイトダンスなどに対し、エンヴィディアのワークステーション向けチップ「RTX Pro 5500」を何個、何のために購入する予定かを尋ねるヒアリングを行った。米メディア、ジ・インフォメーション(The Information)はこれを承認への布石と解釈した。報道では、バイトダンスだけで約100万個の購入を検討中で、エンヴィディアは12月下旬から四半期あたり約50万個を出荷する計画だという5。このチップは学習済みモデルを推論で動かせるが、モデルの学習には向かない。そのため、SMICの工場群が統合によって供給を固めようとしている国産の推論用半導体と真っ向から競合する。競合相手には、SMICが製造を受託するファーウェイの「昇騰(アセンド)」も含まれる5。市場は9月28日、このリスクを再評価した。SMICは3.7%安、華虹半導体は5%近く安、ムーア・スレッドは6.3%安と急落した3。
工情報のヒアリング一通で中国半導体株が総崩れ――9月28日
Data
| Value | |
|---|---|
| SMIC | -3.7% |
| 華虹半導体 | ≈ -5% |
| ムーア・スレッド | -6.3% |
| 寒武紀 | -5.7% |
| 北方華創 | -3.4% |
| 長鑫存儲 | -4% |
誰が代償を払い、誰が得をするのか
恩恵を受ける側は明確だ。現金を手にして退出した少数株主と、もし値上げが定着すれば厚くなるSMICの粗利益率である。リスクを背負うのは株主だ。約61億ドルをつぎ込んで買った半導体工場(ファブ)事業は、需要のメーターが一通の省内文書で巻き戻されうる。しかもその買い付けは、中国のAIハードウェア株が記録した最悪の四半期の大詰めにまとまった1234。ヒアリングが示唆する規模で中国政府がエンヴィディアの販売を承認すれば、粗利益率ガイダンスの前提となるほぼ満杯の設備稼働率は、代替手段を手にした買い手と向き合うことになる。ガイダンスを支える計算は弱まる25。決着がつくのは、次に発表されるSMICの粗利益率の数字だ。同社の四半期決算のペースでは、7~9月期決算とともに11月上旬ごろ公表される。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.



