スペースXとテスラ、約3.5兆ドルの経営統合を検討--xAIの400億ドルGPUリースが焦点
スペースXはイーロン・マスク氏のAI研究所xAIを2500億ドルと評価して取得し、昨年はその計算基盤の構築に127億ドルを投じた。多額の現金を燃やしながら、直近では400億ドルのGPUリースも確定させた。2つの特別委員会が約3.5兆ドル規模の統合を検討しており、本当の論点は、損失をどちらの株主が背負うかだ。
Vincent Jiang · 3 min read
2社の取締役会が協議、マスク氏は入れず
2026年10月27日、米ブルームバーグはテスラ−1.55% — テスラ, down 1.55 percent todayとスペースX−3.00% — スペースX, down 3.00 percent todayの取締役会が、独立取締役で構成する特別委員会をそれぞれ設けて統合を検討し始めたと報じた。統合が実現すれば、時価総額約1.96兆ドルのスペースXと約1.61兆ドルのテスラが一つになる 12。両社の最高経営責任者(CEO)であるマスク氏は、協議から外されている。「私は利益相反のある当事者で、実際に協議の場には入れない」--マスク氏はスペースXの決算説明会でこう語り、この仕組みを「奇妙な歌舞伎踊り」と評した 13。両特別委員会とも条件ではまだ合意しておらず、合意が得られる保証もない 3。
俎上の資産は、規模拡大で赤字が膨らむ2500億ドルの研究所
両取締役会が本当に分け合おうとしているのはxAI$200B — xAI, private, latest valuation $200Bだ。AI「Grok」、SNS「X」、データセンター「コロッサス」(Colossus)を抱える部門である。スペースXは2026年2月、xAIを2500億ドル、統合後の企業を1.25兆ドルと評価する全株式交換の取引でxAIを買収。その後、同年6月に1株135ドルで株式公開し、約750億ドルを調達した 4。
IPOの提出書類によると、AI部門は2025年に売上高32億ドルを確保した一方、営業損失は63.6億ドルに上り、設備投資には127億ドルを投じた 4。2026年1~3月期だけでも同部門の設備投資は77.2億ドルに達し、スペースXの宇宙事業と通信事業を合わせた額を超えた 4。
スペースX傘下入りの前に、xAI評価額は21カ月で10倍に
Data
| xAI評価額 | |
|---|---|
| 2024年5月 | $24B |
| 2024年12月 | $50B |
| 2025年3月 | $80B |
| 2025年7月 | $150B |
| 2026年1月 | $230B |
| 2026年2月 | $250B |
勝者を待つ400億ドルのリース
スペースXは10月26日、約400億ドルのGPUファイナンスリースを確約する臨時報告書(8-K)を提出した。スキームは、アポロ・グローバル・マネジメントが管理する会社−0.42% — アポロ・グローバル・マネジメントが管理する会社, down 0.42 percent todayがエヌビディア−0.09% — エヌビディア, down 0.09 percent todayの「ベラ・ルービン」チップを購入し、約5年かけて分割でスペースXにリースバックする仕組みだ。これは史上最大の確約済みGPUファイナンスで、ブロードコム+0.84% — ブロードコム, up 0.84 percent todayが支援するAnthropic$350B — Anthropic, private, latest valuation $350Bの360億ドル取引を上回る56。設計はゴールドマン・サックス+0.69% — ゴールドマン・サックス, up 0.69 percent todayが担当し、ブラックロック+1.00% — ブラックロック, up 1.00 percent today、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント、KKRが引受に応じた6。債務のうちピムコだけで40億ドル分を引き受ける7。
債券市場が他社を締め出す一方、スターリンクの収入がスペースXに道を開いた
なぜスペースXが他社には望めない条件を得られたのか。マスク氏は率直に理由を語った。債券市場は、収入をAIデータセンターに依存する企業を「ほぼ全面的に」閉め出しているといい、スペースXはスターリンクと打ち上げ事業の収入で条件を満たした8。最高財務責任者(CFO)のブレット・ジョンセン氏によると、7〜9月期のスペースXの収益146億ドルのうちAI部門が76億ドルを生み、全社の設備投資は200億ドル近くに上った6。
AI部門の設備投資、収益の数倍規模で推移
- AI部門の収益
- AI部門の設備投資
Data
| AI部門の収益 | AI部門の設備投資 | |
|---|---|---|
| 2025年通期 | $3.2B | $12.7B |
| 2026年1〜3月期 | $0.82B | $7.72B |
設備投資が3四半期連続で収益を上回る
- 収益
- 設備投資
Data
| 収益 | 設備投資 | |
|---|---|---|
| 2025年1〜3月期 | $4.07B | $4.14B |
| 2025年4〜6月期 | $4.07B | $2.83B |
| 2025年7〜9月期 | $5.58B | $6.88B |
| 2025年10〜12月期 | — | — |
| 2026年1〜3月期 | $4.69B | $10.11B |
| 2026年4〜6月期 | $7.81B | $18.37B |
| 2026年7〜9月期 | $14.58B | $19.59B |
争点は「誰が血を流すか」
2026年1〜9月、スペースXは収益270億8000万ドルを計上する一方、現金を350億ドル近くも消費した。テスラは収益786億7000万ドルを確保し、フリーキャッシュフローもプラスだった9。ニューヨーク大学(NYU)教授で投資家のスコット・ギャロウェイ氏は、テスラを「患者」、スペースXを「臓器提供者」と呼ぶ9。
強気筋は成長で応える。AI部門の収益は直近四半期、前年同期比830%増の76億ドルに伸びており2、Anthropicは2029年5月まで「コロッサス」の計算能力の利用料として毎月12億5000万ドルを支払う4。RBCはテスラ株1株あたり480ドルという仮定の提案を描き、JPモルガンのプレミアム込みの計算は500ドル前後に着地する92。投資家のゲイリー・ブラック氏は株式の希薄化がその利益を食い潰すと警告し、米企業研究所(AEI)のデレク・シザーズ氏は、ペンタゴン(米国防総省)との契約とテスラの中国リスクをめぐり、米政府が2029年に解消させかねない統合だと指摘する9。
成否を分ける「扉」
提案はまだ存在しない。マスク氏はこの統合を「良い考えだ」と呼ぶが、ハードルは自ら設けた。どんな取引も、投じられた票だけでなくテスラの全株式の50%の賛成を得る必要がある3。予測市場のトレーダーは2027年6月までに発表される確率を52%と見込む2。注目すべき文書は、いずれかの特別委員会が最初に提示する正式な株式交換比率だ。それまでの間、400億ドルのリースにはすでに担保がいる。スペースXの株主という担保だ。特別委員会が天秤にかけているのは、テスラの株主がそこに加わるかどうかである2。
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