テキサス・インスツルメンツ、58億ドルの株主還元にCHIPS法の助成金12億ドルが必要
TIは1ドル52セントへの増配をすでに23年連続の増配と数えているが、取締役会の議決はまだ先だ。TIは米半導体支援法(CHIPS法)の助成金をフリーキャッシュフロー(FCF)に加えて算定しており、これを除けば、直近1年の配当と自社株買いは本業が生み出したカネを上回った。
Vincent Jiang · 3 min read
23回目の増配は、まだ計画にすぎない
テキサス・インスツルメンツは9月17日、四半期配当を7%引き上げ、1株当たり1ドル42セントから1ドル52セントとする。支払いは11月10日で、10月30日時点の株主が対象と発表した1。ただ、同じ一文に条件もあった。増配は10月の定例取締役会での正式決定を前提としている1。それでも見出しは、この段階で「23年連続の増配」と結果を確定させた。取締役会が実際に決定した直近の配当は、7月16日の1ドル42セントのままだ3。ハビブ・イラン最高経営責任者(CEO)は今回の増配を、中期的にFCFの全額を株主に還元する方針と結び付けている1。
FCFの定義に、政府のカネ
この公約の土台にあるカネも、同じ厳しい目で見る必要がある。TIはFCFを、営業キャッシュフローから設備投資を差し引き、CHIPS法の助成金収入を加えた額と定義している2。6月30日までの直近12カ月では、営業キャッシュフロー86億6700万ドルから設備投資33億1200万ドルを差し引き、助成金11億7900万ドルを加えて65億3400万ドルとなる2。助成金を外すと53億5500万ドルで、株主還元の総額58億1900万ドル(配当51億1200万ドル、自社株買い7億700万ドル)には届かない2。配当だけでも、発表ベースのFCFの78%、助成金を除いた額では約95%を占める。
CHIPS法の助成金を除くと、株主還元はFCFを上回る
Data
| Value | |
|---|---|
| TIの発表ベースのFCF | $6.53B |
| CHIPS法の助成金を除くFCF | $5.36B |
| 支払配当 | $5.11B |
| 自社株買い | $0.71B |
この定義の中身を鮮明に示すのが、4~6月期の数字だ。TIがこの四半期に受け取ったCHIPS法の助成金は5億4900万ドルで、同期の設備投資5億1400万ドルを上回った。このため、発表ベースのFCFは27億3800万ドルと、もとになる営業キャッシュフローそのものを上回った。さらに注記によると、年間の営業キャッシュフローには、CHIPS法の税額控除による4億3300万ドル分がすでに織り込まれている2。1年前の同期はこの開きがさらに大きく、FCFは17億6300万ドルに対して株主還元は67億1000万ドルだった。自社株買いはその後、四半期あたり2700万ドルまで削られた2。
配当ファンドが発表数字を下支え
この株には「買い」判定が付き、予想株価収益率(PER)は30.99倍と、業界平均の19.04倍を大きく上回る。その土台にあるのが、65億3000万ドルというFCFの数字と23年連続の増配だ4。実績PERも44.4倍で、米S&P500種の21.5倍に比べて高い。株価はこの1年で66.6%上がった45。シュワブ・アセット・マネジメントの米国配当エクイティETF(純資産1090億ドル)は現在、テキサス・インスツルメンツを最大の組入銘柄とし、純資産の4.94%を占める。額にして約54億ドルだ6。
強気材料:数量、価格、ファブの低コスト化
埋め合わせる材料は実際にある。4~6月期の売上高は23%増の54億6000万ドルと伸び、データセンター向け売上高は倍増した。7~9月期の業績見通しは上限で売上高61億5000万ドル、1株当たり利益2.57ドルと続く25。値上げはすでに始まっており、そのほとんどはこの見通しに織り込まれていない。10~12月期にはさらに出てくる見込みだ。一方、設備投資は直近12カ月ベースで49億4000万ドルから33億1000万ドルへと減り、今年は20億~30億ドルに向かう57。このほか、16億ドルの助成金と60億~80億ドルの税額控除もなお見込まれる4。買い手はすでにリスクをかぎつけている。7月22日の決算発表以降の株価上昇はわずか0.8%で、同じ期間に米S&P500種は3.5%上がった5。
助成金を除くと、設備投資後のキャッシュが配当を上回ったのは12期中2期
Data
| 設備投資控除後の営業キャッシュフロー | |
|---|---|
| 2023年7~9月期 | $0.44B |
| 2023年10~12月期 | $0.78B |
| 2024年1~3月期 | -$0.23B |
| 2024年4~6月期 | $0.51B |
| 2024年7~9月期 | $0.42B |
| 2024年10~12月期 | $0.81B |
| 2025年1~3月期 | -$0.27B |
| 2025年4~6月期 | $0.56B |
| 2025年7~9月期 | $0.99B |
| 2025年10~12月期 | $1.33B |
| 2026年1~3月期 | $0.84B |
| 2026年4~6月期 | $2.19B |
10月に決まること
10月には、この問いが二つの形で決着する。取締役会は10月30日の権利確定日を前に、1.52ドルへの増配を議決する。10月21日の決算は、10~12月期に値上げが定着するかどうかを示す3。答えを占う鍵は定義そのものだ。TIのフリーキャッシュフローに政府助成金という項目が欠かせない限り、その「フリー」の一部はワシントンからの小切手なのだ。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.


