スペースXの計算能力契約、アンソロピック分845億ドルは90日予告で解約可――株価は売上高の103倍
アンソロピック(Anthropic)がスペースXに約束した計算能力の支払いは、2029年までの総額で845億ドルとほぼ倍増した。ただし条件は、顧客側が90日の予告で大半を解約できるものだ。強気筋は540億ドルへのAI売上高の立ち上がりを織り込み、弱気筋は解約という出口を織り込む。株価は直近12カ月の売上高の103倍で推移している。
Vincent Jiang · 4 min read
スペースX−2.17% — スペースX, down 2.17 percent todayで最も速く伸びている事業は、ロケットではない。史上最大のIPOとして6月に約860億ドルを調達した同社は、いまエヌビディア−1.59% — エヌビディア, down 1.59 percent today製チップによる計算能力をAI開発企業に貸し出しており、その看板顧客がAI「クロード」を開発したアンソロピック$350B — アンソロピック, private, latest valuation $350Bだ3。9月下旬に判明した極秘提出のIPO書類によると、アンソロピックはこの計算能力のため、2029年までに最大845億ドルの支払いを確約した。月12.5億ドル・上限3年とされた5月時点の枠組みが示唆していた約450億ドルのほぼ2倍となる12。ただし、見出しの陰に条項が隠れている。この合意は、書面で90日前に通知すれば大半を解約できる1。
焦点:倍増した請求額、支払うのは赤字の顧客
支払う側は、支払いを確約しながら赤字を出している。アンソロピックの2025年の売上高は約46億ドルで、営業損失は80億6000万ドルに達した。年末時点の現金と短期投資の合計は202億8000万ドルで、自社のIPOは11月に先送りしたと報じられている2。売上高は2025年に約12倍に伸びたが、損失もそれに合わせて膨らんだ3。
5180億ドルの計算基盤構築、8割は使わなくても支払い
アンソロピックが6社の相手と10年にわたって進める計算基盤の構築は総額で少なくとも5180億ドルに上り、うち約8割は解約できないか、使用量にかかわらず支払いが発生する。内訳はブロードコム−4.06% — ブロードコム, down 4.06 percent todayの設備リースが1612億ドル、グーグルへの支払いが1111億ドル、アマゾン−2.33% — アマゾン, down 2.33 percent todayが1100億ドル、マイクロソフト−2.35% — マイクロソフト, down 2.35 percent todayが314億ドルだ1。一方、イーロン・マスク氏のxAI$200B — xAI, private, latest valuation $200Bを今年吸収したスペースXに向かう分だけが、開示された契約のうち書類で大半は90日の予告で解約できると記された唯一のものだ13。
90日の予告で解約できるのはスペースXとの契約だけ
Data
| Value | |
|---|---|
| ブロードコム(リース) | $161.2B |
| グーグル | $111.1B |
| アマゾン | $110B |
| スペースX / xAI | $84.5B |
| マイクロソフト | $31.4B |
この解約条項は、巨額の構築の下に横たわる。スペースXは第2四半期だけでもAI向け設備投資に158億ドルをつぎ込み、何年も稼働する前提でデータセンターを建設している。その一方で、売上は顧客が3カ月で返せるものだ3。
強気派の証拠品、年540億ドルは契約の立ち上がりが鍵
スペースXの投資家向け広報(IR)担当と面談したニーダムは、発表済みのAI計算能力契約について、本格稼働すれば合計で年換算540億ドルの売上高に達する可能性があると試算する。これは2026年末までに年間経常収益(ARR)合計約1000億ドルという目標を下支えするもので、契約の大半は第4四半期に立ち上がり、1件は12月に始まる4。同社は「買い」評価と目標株価250ドルを維持しており、これは66%の上昇余地を意味する。市場全体では37人のアナリストが「強い買い」でコンセンサスを示し、平均目標株価は株価をほぼ50%上回る4。
その証拠品は10月1日までの1週間に飛んだ。スターシップの14回目の飛行(フライト14)が軌道に達し、運用可能なスターリンクV3衛星26基を展開した。ただし、飛行は予定より早く終わった4。

検察側の反証、打ち上げ回数の試算は8割減
空売り投資家のジム・チャノス氏が数えるのは、マスク氏の約束の「裏側」の数字だ。チャノス氏はエンロン破綻をいち早く見抜いたことで知られる、キニコス・アソシエイツの創業者である。8月4日の決算説明会でマスク氏は、1年以内にスターシップの打ち上げを1日少なくとも1回行うと述べた。ところが10月1日に報じられたインタビューでは、来年のペースとして週1回または週2回を示した4。宇宙分野に特化した投資・調査会社マッハ33(Mach33)の創業者で最高経営責任者(CEO)のアーロン・バーネット氏は、この目標を年換算し、2027年は50~100回の打ち上げになると試算する4。
「1日1回」から週1~2回へ 2027年の打ち上げペースは中間値で約8割減
- 2027年の打ち上げ回数(示唆値)
- Estimate
Data
| 2027年の打ち上げ回数(示唆値) | |
|---|---|
| 1日1回(8月4日のガイダンス) (estimate) | 365 launches |
| 週2回(10月1日) (estimate) | 104 launches |
| 中間値(マッハ33) (estimate) | 75 launches (50–100 launches) |
| 週1回(10月1日) (estimate) | 52 launches |
チャノス氏は、中間値の75回を1日1回ペースを維持した場合の365回と比べ、2027年の予測が8割減る計算だと指摘する4。コンサルタントのティム・ファラー氏はさらに一歩踏み込み、週1~2回は2027年末の目標にすぎず、今後さらに引き下げられるか先送りになる可能性が高いと主張する。スターリンクのV3の容量計画はこのペースに掛かっている4。株価も見逃していない。上場初の四半期に12%下落し、年初来では8%下落している。先週は9%下落し、個人投資家のセンチメントは弱気に転じた46。
直近12カ月売上高の103倍 スペースX、上場大型株で最も割高
Data
| Value | |
|---|---|
| スペースX | 103x |
| パランティア | 87x |
| クラウドストライク | 52x |
| エヌビディア | 19x |
| テスラ | 13x |
| マイクロソフト | 12x |
| S&P500種 | 3.5x |
契約が埋めなければならないのは、この倍率だ。スペースXの株価売上高倍率は直近12カ月の売上高の103倍で、パランティア−8.14% — パランティア, down 8.14 percent todayの87倍、S&P500種株価指数の3.5倍を大きく上回る5。
反対尋問:1ドルと1ドルは別物
この条項は諸刃の剣でもある。ただ、アンソロピックの計算能力需要は供給を上回っており、いま契約を手放せば、痛手が大きいのは家主よりも顧客の方だ3。とはいえ、この振り分けの理由は顧客自身の提出書類が説いている。利用の有無にかかわらず支払う10年に及ぶ支出確約はクラウド大手に向かい、柔軟な契約が向かったのは新参りの家主、マスク氏が2月にXで「邪悪」と評した会社だ13。90日の予告で消えうる売上の1ドルと、10年縛りの1ドルは同じではない。売上高103倍の株価は、キャンセル可能な1ドルに、縛りのある1ドルと同じ振る舞いを求めているのだ。
評決ウォッチ:3つの日付
10月20日には、延期されていたメンフィス市議会のデータセンターの凍結(モラトリアム)をめぐる採決が行われる。先の満員の会合は、今年xAIを買収したスペースXが同市で運用する2つのデータセンターと建設中の3つ目をめぐり、怒声と警察への通報で物別れに終わった7。11月はアンソロピックの新規株式公開(IPO)で、目論見書の全文と解約条項が読めるようになる2。そして10~12月期には、収益の立ち上がりそのものが始まる。契約のうち1件は12月に始まる4。顧客の書類が収益より先に届くなら、読むべき数字は「90日」だ。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.



