ゴールドマン自らが見通す4200億ドルのAI債務、運用部門はあえてアンダーウェイト
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントは、2027年に過去最大の4200億ドルの発行が見込まれるハイパースケーラー(超大手クラウド事業者)債をアンダーウェイト(基準比で保有比率を抑える運用)にしている。需要側の数字は今、同社の見立てに傾いている。社債の需要倍率は5倍から2倍未満へと低下した。一方、JPモルガン・アセットマネジメントは市場にさらに1.5兆ドルの吸収余地があるとの見方を維持している。
Vincent Jiang · 3 min read
あえて身を引いた運用部門
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントでマルチセクター債券運用のトップを務めるリンジー・ロズナー氏は、9月24日のテレビ番組で公言を避けてきた本音を明かした。「このセクター全体については、追加の発行が来ると分かったうえでアンダーウェイトにしている」1。ゴールドマンの調査部門はこの先の発行を積み上げている。2027年のハイパースケーラー債発行は過去最大の4200億ドルに達する見通しだ。7月時点の約4000億ドルからの上方修正で、今年の発行ペースを60%上回る23。同じゴールドマンの中で、ある部門はこの波を数え、別の部門はその波に乗ることを拒んでいる。
先に動いたのは需要側の数字
これはデフォルト(債務不履行)の予測ではない。運用マネジャーが懸念しているのは、巨大企業が支払いに失敗することではない。調達額の大きさと発行の読めなさ、そして集中が問題だ2。ブラックロックのラッセル・ブラウンバック氏は、一部の案件について「AA格の債務者がBBB格並みのスプレッド(上乗せ金利)で発行している」と指摘する。高い格付けの企業に資金を貸すのに、通常は信用力の劣る借入手に課される水準の対価を投資家が受け取っている構図だ2。
アポロのデータによると、ハイパースケーラーの新規社債への注文は2月には発行額のほぼ5倍だったが、7月には2倍を割り込んだ3。新規発行コンセッション(新規債に上乗せする利回り)の中央値は、2025年の2.25ベーシスポイント(bp)から今年は12bpに拡大した3。7月下旬には、2026年に発行されたハイパースケーラー債91銘柄のうち78銘柄が、発行時より広いスプレッドで取引されていた3。AI関連の発行体は無リスク金利に約115bpを上乗せして調達している。投資適格社債市場全体では78bpだ2。
AI関連債の買い手、いずれの指標でも高い上乗せを要求
Data
| ベーシスポイント | |
|---|---|
| 新規発行コンセッション(2025年) | 2.25 bp |
| 新規発行コンセッション(2026年) | 12 bp |
| 投資適格社債市場全体のスプレッド(現時点) | 78 bp |
| AI関連発行体のスプレッド(現時点) | 115 bp |
予測を追い越して積み上がる発行額
ゴールドマン・サックス自身の集計も膨らみ続けている。AI関連の借入は今年すでに4890億ドルに達し、同行が予測していた3220億ドルを大きく上回った4。モルガン・スタンレーは通年で5700億ドル近くに達するとみる45。総レバレッジ(グロス)は半年でほぼ倍増して約1.8倍となり、リースや購入のコミットメント(確定契約)はオフバランスに約3兆ドルたまる4。
AI借入、予測の枠を超えて膨張
- 2026年のAI関連債務発行額
- Estimate
Data
| 2026年のAI関連債務発行額 | |
|---|---|
| ゴールドマンの2025年予測 (estimate) | $322B |
| 発行済み(2026年1~10月) | $489B |
| モルガン・スタンレーの2026年通年予測 (estimate) | $570B |
最後の買い手
JPモルガン・アセットマネジメントのステファニー・アリアガ氏はその反対側にいる。ハイパースケーラー上位6社はさらに1.5兆ドルを調達できる、というのが同氏の見方だ。6社の債務負担は市場平均を大きく下回り、上位3社は支出のペースを上回る速さで顧客との契約を取り込んでいる6。同氏の計算は今のところ成り立っている。2026年の約7500億ドルに上るハイパースケーラー設備投資は、営業キャッシュフロー約7780億ドルの範囲内に依然収まっている3。
欧州中央銀行(ECB)の異論は、ハイパースケーラーではなくほかの発行体に向けられる。米ビッグテックは非金融企業による今年のユーロ建て債発行の10%弱を既に占めており、その調達が関係のないセクターの発行体の資金調達コストを押し上げる可能性がある7。
FRBには審判役が務まらない
ゴールドマン・サックスのロブ・カプラン副会長は同行自身のポッドキャストで、AIブームは「債務によって、そして場合によっては株式によって、イールドカーブ(利回り曲線)に沿って行われている」と指摘する。3.75~4%にとどまる政策金利が触れることのない領域での借り入れだ。あと1回の利上げで4%または4.25%に達した後、据え置きに転じるとみている8。金融引き締めの影響が及ぶのは、建設する側ではなく貸し手だ。
採算に必要な収益はまだ来ていない
しわ寄せがのしかかるのは、まだ届いていない収益だ。ゴールドマン・サックスの採算計算では年間約3000億ドルのAI収益が必要になる一方、クラウド売上高はAI以前のトレンドを約700億ドル上回るペースで推移している9。次の節目は10月28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、最も規模の大きい発行はまだプライシングを残している10。それまでの間のアンダーウェイトは、ソーンバーグのロン・エリクソンが語る戦略そのものだ。新規発行を見送り、キャッシュを保有し、スプレッドが広がってから買いに入る2。同行の引受部門がこの発行ラッシュをさばいて得る収入は、どこにも区分計上されていない。それこそ、ゴールドマンが公表しない唯一の数字だ。
Deepdive
AI-generated from this story and its cited sources. Not investment advice.



