マックスリニア、AI利益は本物だが“借り物” インフラ収益210%増、コベナンツ下限を6000万ドルに
7~9月期(第3四半期)決算で、マックスリニアは数年ぶりの米会計基準(GAAP)による営業黒字を確保し、AI向け光インフラの収益は210%増えた。だが同日夜に提出された書類が示すのは、緩和された流動性コベナンツと、営業からなお流れ出る現金だ。拡大は本物だが、今期その原資を賄ったのは貸し手である。
Richard Tang · 3 min read
マックスリニア−17.40% — マックスリニア, down 17.40 percent todayはこのほど、AI転換が約束してきた決算をついに示した。だが同じ提出書類の中で、その裏にある融資の条件もひそかに緩めていた。売上高は2億1810万ドルで、前年同期比72%増 1。AIデータセンター向け光半導体を軸とするようになったインフラ収益は210%増えた 1。少なくとも3年ぶりに米会計基準(GAAP)で営業黒字を確保し、営業利益率は13.9%。1年前の同期は損失を出していた 12。
しかも決算発表の6日前にあたる10月16日、同社はコミットメント枠を7000万ドル追加し、担保付き融資枠を計2億ドルへと拡大する改正契約に署名していた 1。同じ書類で、流動性コベナンツの下限は8000万ドルから6000万ドルに切り下げられた 1。成長は本物だ。ただし今期分は、借りたお金でもある。
3週間前、本誌はCEOが5000万ドルの自社株を売却してから数週間後、先細りが続くケーブル事業で値下げに踏み切った同社を報じた 3。その記事が残した問いに、AI事業の側が答えを出した。それでも投資家の反応は冷ややかだった。売上高、利益、業績見通しのいずれも市場予想を上回ったにもかかわらず、10月22日の時間外取引で株価が下落した。株価はこの1年でおよそ4倍になっていた 45。
光半導体の拡大が今や事業の本体
第一段階は確かなものになった。AIクラスタはサーバー間のデータ転送を光ファイバーで行う。800ギガビットや1.6テラビットの伝送路にはそれぞれ、信号を送り出し、受け取って復元するデジタル信号処理装置(DSP)が必要だ 1。マックスリニアの「Keystone」PAM4 DSPは今期、本格量産に移行した。「Rushmore」「Annapurna」の各ファミリーが製品ラインを1.6テラビット対応の光・電気部品へ広げる 1。10~12月期の売上高見通しが2億4000万~2億6000万ドルであることも、拡大が続くことを示している 1。
売上高は8四半期連続で増加、10~12月期の見通しもさらに上向く
- 純売上高
- Estimate
Data
| 純売上高 | |
|---|---|
| 24年7~9月 | $81.1 |
| 24年10~12月 | $92.2 |
| 25年1~3月 | $95.9 |
| 25年4~6月 | $108.8 |
| 25年7~9月 | $126.5 |
| 25年10~12月 | $136.4 |
| 26年1~3月 | $137.2 |
| 26年4~6月 | $168.8 |
| 26年7~9月 | $218.1 |
| 26年10~12月(見通し) (estimate) | $250 ($240–260) |
利益は先に、現金はまだ
次の段階、つまり売上高を現金につなぐ移行はまだ実っていない。マックスリニアが米会計基準(GAAP)で計上した今期の利益は2890万ドルだった 1。だが営業活動では依然として1360万ドルの現金を失った。売掛金や在庫、仕入先への前払金が顧客からの入金を上回るペースで増えたためだ 1。前払金その他の流動資産は昨年12月以降、2倍以上に膨らんだ 7。9月30日時点の現金残高は8110万ドルで、リボルバー(回転融資枠)からはすでに4000万ドルを借り入れている 7。
利益を計上した四半期に、営業キャッシュフローは再びマイナス
Data
| 営業キャッシュフロー | |
|---|---|
| 24年7~9月 | -$30.7M |
| 24年10~12月 | -$27.8M |
| 25年1~3月 | -$11.4M |
| 25年4~6月 | $10.5M |
| 25年7~9月 | $10.1M |
| 25年10~12月 | $10.4M |
| 26年1~3月 | -$8.9M |
| 26年4~6月 | $4.8M |
| 26年7~9月 | -$13.6M |
そのずれが表れるのが流動性コベナンツだ。指標は使途制限のない現金に未引き出しのコミットメント枠を加えた額で、各四半期末に判定する。貸し手側は4月に下限を8000万ドルに設定したが、10月にはコミットメント枠を増額し、下限を6000万ドルに引き下げた。この2つの動きによって、融資が違反に触れる前に拡大のために費やせる現金の量が増えた 7。新たな枠の使途は「運転資金および一般的な企業目的」とされており、担保代理人はウエルズ・ファーゴ+0.73% — ウエルズ・ファーゴ, up 0.73 percent todayが務める 1。
貸し手が引き受けないリスクを株主が背負う
下振れリスクを誰が負うのか。提出書類はその担い手を名指ししている。成長は少数のハイパースケーラー(超大型クラウド事業者)顧客に集中しており、会社側はそうした顧客のAI向け設備投資がどこまで続くかをリスク要因として明記した 1。マックスリニアが2023年に破談とした合併をめぐっては、シリコンモーション−17.27% — シリコンモーション, down 17.27 percent todayがシンガポールで仲裁を続けており、解約金に加えて損害賠償も求めている。こうした支払いが発生する可能性は、会社自身が示す現金支出の使途一覧にも盛り込まれている 7。貸し手が確保しているのは担保と手数料だ。名指しされたリスクを抱えるのは株主である。
転換したのは、今四半期の損益計算書だけだ。キャッシュフロー計算書はまだである。同社株への強気論は、収益とキャッシュフローが持続的に上向く転換を今年ずっと柱にしてきた。決算発表前にレポートを書いたあるアナリストは、その転換を「まだ証明されていない」と評した 6。営業キャッシュフローが利益と並んでプラスに転じる四半期こそ、この立て直しが借り物でなくなる四半期である。今回の融資枠の修正は、その日までの待ち時間を会社も貸し手も織り込んでいたことを物語っている。
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